2017年に閉鎖された、かつて多くの資金調達を行ったスタートアップたち10社
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立ち上がるスタートアップもあれば、失速するスタートアップもある。2017年にはいくつもの著名なスタートアップが失敗に終わった。JawboneからBeepi、Yik Yakに至るこれらの企業は、最終的にその扉を閉ざす前に大金を調達していた。
以下に挙げるのは、2017年の最初の9ヶ月に閉鎖される、もっとも多くの資金調達を行った10社だ(破綻順)。これらの企業は合計で、ベンチャーキャピタリストと銀行から合計17億ドルを調達している。
最終的に何もかもが失われるわけではない。経験と教訓が残されるのだ。創業者や開発者、マーケティング担当者、そして販売担当者たちは、苦戦を強いられたスタートアップで働くことによってのみ得られる知識を、この先活用することができる。
2017年にはまだ数ヶ月が残されていて、より多くのスタートアップが年末までには閉鎖されるだろう。しかし、企業が倒れることによって、起業家精神はさらに飛躍する。
1/10:Beepi
5ラウンドを経て、35人の投資家から1億4895万ドルを調達
Beepiは良いアイデアに基くスタートアップのお手本だった。利用者たちは中古車を売買できるマーケットを提供していた。Beepiによって中古車が査定され、事務処理が行われ、新しいオーナーに配達される仕組みだった。従来の中古車販売代理店のコストのかかる手間と、手数料の構造を回避することを可能にするものだった。そして運用もしっかりしていて、強力なカスタマーサービスも大きなセールスポイントだった。しかし、最終的に会社は破綻に追い込まれた。
これまでのラウンドでは最高5億6000万ドルと評価され、Yuri Milner、Comerica、 Redpoint、Foundation Capital、Sherpa CapitalそしてFabrice Grindaなどを含む35の投資家たちから資金を調達していた。
しかし、とある情報源によると、Beepiは優先順位の設定に間違いがあったということだ。かつての従業員の1人が語るには、Beepiは最高で300人を雇用していたときには、月に700万ドルを失っていたということだ(先の12月にはFair.comへの売却交渉のために200人をレイオフした)。
2/10:HomeHero
2017年2月にシャットダウン
HomeHeroは、非医療在宅介護サービスの提供に失敗し、2017年2月に閉鎖された。CEOのKyle Hillは、Mediumの投稿の中で、1099型請負形態(税務の責任が全て労働側にあるフリーランス契約)からW2型雇用形態(雇用者側で源泉徴収の発生する契約)に転換したことを、「劣った雇用ビジネス」と呼び、中心となるアイデンティティを企業が失った理由とした挙げた。
同社は、在宅介護労働者たちを、それを必要とする家族たちとつなぐために2300万ドルを調達していた。途中、病院と提携し、HomeHeroに雇用された医療従事者の世話を受けて、家族の健康状態をモニタすることを助けるサービスを開始していた。
最終的な目標は、入院のリスクを減らしてくれるHomeHeroのようなサービスの費用をカバーできる保険会社と、直接仕事をすることだったが、明らかに会社を救うことはできなかった。
3/10:Auctionata
2017年2月にシャットダウン
Auctionataは、期待していた資金調達に失敗し、事業を停止した。同社は、2012年の設立以来、美術品と蒐集品のオンラインオークションをライブ放送するために、9500万ドル以上を調達していた。
4/10:Quixey
2017年5月にシャットダウン
4ラウンドで1億6490万ドルを調達
Quixeyは当初Mountain Viewを拠点とするモバイル検索会社として立ち上げられた。しかしその後アプリのためのデジタルアシスタントを作成するために分離した。
同社は1億6490万ドルを調達し、評価額は一時は6億ドルに達した。しかし、同社がデジタルアシスタントを構築していたときには、AppleやGoogle、そして最終的にはSamsungに買収されたVivのようなスタートアップも存在していた。
かつての同社の売りは、ユーザーがアプリ内でコンテンツを検索するのを助け、そして検索結果からパーソナライズされたアクション(例えば近くにいるFacebookの友人を表示したり、Spotifyの中で個人的なプレイリストを呼び出したり)を行える技術を開発したということだった。
5/10:Yik Yak
6/10:Sprig
2013年の創業以来、Sprigは健康に配慮したランチとディナーを提供するために、5670万ドルを調達してきた。Sprigは、その最後の数ヶ月の間、興味深い戦略を試行していた。
同社はチップ機能を追加し、競合他社のほとんどが契約社員に頼っていた時に、従業員たちにフルタイムの雇用を提案した。Sprigはこのことによって顧客の引き留めをより効果的に行なうことができると考えた。これはSprig社のCEOであり、元TechCrunchライターのGagan Biyaniが1月に語ったことだ。
7/10:Jawbone
14ラウンドで、19人の投資家から 9億5080万ドルを調達。400万ドルの借入金。
コンシューマー向けウェアラブル市場における存在感を維持するための、複数年にわたる闘いを続けた後、Jawboneは2017年7月に清算を開始した。
それは1990年代後半にその起源を持つJawboneの、長く引き伸ばされてきた終焉だった。かつて隆盛を誇ったJamboxスピーカービジネスは、私たちがこの会社の転換を今年の始めに報告したときには、既に関係のないものになっていた。そして同社はウェアラブル業界の継続的な縮小により、特に大きな打撃を受けているようだ。
合計で同社は約9億5100万ドルを調達したようだ、投資したのはAndreessen Horowitz、Sequoia、Kleiner Perkins、JP Morgan、Mayfield、Khosla、そしてBlackRockのような従来の貸出銀行(lending bank)たちだ。
しかし、すべてが失われたわけではない。新しい無名の投資家からの資本注入により、元の会社の背後にあった原動力のなかから、Jawbone Health Hubという新しいビジネスが立ち上がろうとしている。
8/10:Hello
ベッドサイドに置く睡眠トラッカーのSenseを作っていたHelloは2017年5月に閉鎖された。 同社のブログ記事によれば直前まで会社の買い手を探していたようだ。
9/10:Pearl
2017年6月にシャットダウン
Pearlは、車のナンバープレートカバーに埋め込まれる後方用カメラとして、2016年に世に出された。途中4人の投資家から5000万ドルを調達したものの、1年後の2017年6月に閉鎖された。
元Appleのエンジニアたちのチームによって設立された同社は、最高の後方用カメラを提供しているという意見も見られる。しかしそれは、後方用カメラがほぼ全ての車両の標準装備となっている現在、500ドルという価格は買い手にとって過大なものに映ったものと思われる。
10/10:Juicero
Juiceroは創業後わずか16ヶ月で閉鎖される。同社は、Google Ventures、Kleiner Perkins、Campbell Soup Companyなどの著名なVCから1億1800万ドル以上を調達した。
しかし同社はブルームバーグの記事によって苦しめられた。この記事は、同社の提供するジュースパックは同社の提供する400ドルの絞り器を必要とせず、手で絞ることができることを示したものだ。
キューリグのコーヒーメーカーに触発されて、大きな注目を集めることができる類似のキッチンアプライアンスを探していたベンチャー投資家たちがいたようだ。ジュース提供は増加する傾向にあり、Juiceroのアイデアは、皆が自宅で簡単にジュースを用意できるようにするというものだった。しかし、マシンの初期費用は高く、 単に新鮮なフルーツを買って搾るのではなく、詰め替用ジュースパックの追加費用を支払わなければならなかった。
[原文へ]
(翻訳:Sako)
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