伊藤直也氏の謝罪文について

元はてな社員で現一休CTOの伊藤直也氏が不倫について謝罪する記事をブログで公開している。
http://d.hatena.ne.jp/naoya/20170725/1500942772

当該ブログの文面は少し長いが興味深いので全て読んでみた。
読んで気になった点が幾つかあったのでまとめていこう。

なお、私は伊藤氏と話したことが過去に一度あるが、個人的な恨みはない。
また、私は不倫自体は特段問題とは考えておらず大人の男女のやり取りであると思う。

なお、当該ブログのタイトルは「Aさんの件について」であるが、結びが「大変、申し訳ありませんでした。」で終わるため、以下簡略化して謝罪文として扱う。

  1. 謝罪相手の個人情報について
    伊藤氏は謝罪をするという形を取りつつ、不倫相手の女性の機微な情報を開示している。
    例えば、自殺願望があることやリストカットを行っていることだ。
    上記のブログから引用すると、
    「A さんは別れたくない、別れるなら死ぬという言い合いになりました。」
    「2016年 2月頃、その私の態度に悲しんだ A さんがリストカットを行ったため、私は慌てて、私たちは交際関係にあると伝えました。」
    単に謝罪するだけであれば、これらの機微な情報を開示する必要はあるのだろうか。
    自殺願望や自殺企図はかなりセンシティブな個人情報だと思われる。
    謝罪するという体裁でこれらの情報を開示されると個人の将来に大きく影響すると思われる。
  2. 謝罪の意図について
    一般的な理解として、謝罪とは係争関係の終結を求める行為である。
    したがって、通常謝罪文は謝罪すべき点を簡潔に述べて、それに対して謝罪するという体裁を取る。
    もし、相手の主張と相容れない部分があり、認めがたい場合はそれには触れずにまず謝罪できる部分についてのみ言及し、そのうえで話し合いを行うことが多い。
    だが、伊藤氏の謝罪文は相手の主張との差異を明確に打ち出している。
    以下引用すると、「私は、自分は脅迫されているという恐怖心と被害者意識が非常に強くなっていたため、A さんとじっくり話すということよりも、関係を解消するということに焦ったんだと思います。」「6月、7月と二度弁護士同席のもとでの面会がありましたが、そこでは謝罪するではなく、言い合いになってしまいました。」「ここに私が書いたことは A さんがブログに書かれたことと、矛盾していることも多数あるとは思います。」これらの文脈から言えるのは、係争関係が現在も進行形であるということである。
    実際に係争状態にあるのだろうが、それを謝罪の場で述べるのはどうだろうか。
    これでは、謝罪するというより、係争関係が今後も継続することを確認しただけのように読める。
    これは果たして謝罪なのだろうか。
    私は当該ブログ全体を通して読んでみて、謝罪というより釈明という印象を抱いた。
  3. 読み手は誰なのか
    伊藤氏はこのブログを書いた目的を次のように記載している。「今回こうして、あえて公のブログに書いたのは、私自身の間違いをきちんと公の場で認めること。そしてそれをもって、A さんに謝罪すること。妻に謝罪することです。」
    不倫相手と奥方に謝罪するのであれば、ブログという手段は適当だろうか。
    全体的に第三者の読み手をかなり意識して書かれた記事に読める。
    例えば、「A さんとは 2015年終わりくらいから徐々に、本格的な交際関係に発展していきました。」など、当事者たちにとっては自明の事柄をも分かりやすく解説している。
    だが、相手を傷つけたと思う事柄を、第三者に向けて詳細に発信するのはどうだろうか。

 

以上の3点を勘案した結果、私はこの記事が本来言わんとしていることが何なのかわからなくなった。
謝罪であり、釈明であり、(相手方女性の脅迫行為の?)告発でもあるのだろうか。
しかし、3.で書いた通り、伊藤氏は謝罪を目的としてブログを書いたらしい。

仮に私がもしこの謝罪文を受け取ったとして、素直に受け入れるかはかなり微妙だ。
第三者の目から見ても、係争関係が未だ存在することが伝わってくる謝罪文は興味深い。
炎上してしまったネット上の情報に対して、火消しとして行ったのかもしれないが、
IT企業の執行役員CTOのコメントとしては評価は難しいだろう。

 

 

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