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絶対儲かるといわれたアパートローン「私はこうして破産した」

銀行員の言葉に ダマされて
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自宅まで差し押さえられて…

その後、Cさんを待っていたのは、やはり前出のAさんと同じ「家賃保証」の減額の通告だった。

「毎月40万円の支払いを受けていましたが、10年目を過ぎて突如『17万円に減額する』と言い渡されました。ローンの支払いが月43万円あるうえ、修繕など様々な費用が重なるため、赤字になるのが目に見えていた。

毎月膨らんでいく赤字にたまりかね、今度は買い戻し補償について改めてD社に相談に行くと『そんなこと、契約を取るためにうまくやるのは当然でしょ』と他人事のように言うのです」(Cさん)

途方にくれていたCさんは結局、銀行に購入物件を差し押さえられてしまった。

その後も、銀行に対し月1万5000円程度のほそぼそとした返済を続けていたCさんだったが、昨年の7月頃、「返済額を引き上げて欲しい」と要求される。その額は、月8万円に上ったという。

「いまの私にはそんな金額を支払う余裕はなく、ついには自宅まで差し押さえられてしまった。老後の資金を確保しようと始めた不動産投資で、私はすべてを失ってしまったのです。いったい、これからどうやって暮らしていけばいいのか……」(Cさん)

 

いま、弁護士事務所や消費者センターには、こうしたサブリースの賃料大幅減額による窮状を訴える相談が、日に日に増えている。だが、地銀はアパートローン貸し出しの手を緩めることはない。

「企業への貸し付けが右肩下がりの地銀にとって、アパートローンはいわば最後の『金脈』。

とりわけ、スルガ銀行、静岡銀行、オリックス銀行の3行は不動産融資への力の入れ方が半端ではなく『アパートローン御三家』と呼ばれている」(前出・大手地銀関係者)

貸し付けられるなら、顧客の将来のことなど二の次。銀行の無責任な姿勢は日銀も問題視している。今年4月には、〈これまで以上に審査や管理を綿密に実施することが重要〉と異例の「警告」を行っている。

老後の資金づくりのつもりが、全てを失ってしまった――。そんなことにならないよう、「甘い誘い」には十分用心しなくてはならない。