もう一度「オタク・イズ・デッド」に戻ってみよう。
あれから11年。僕らは新しい、オタクとアニメの在り方を知り得るかも知れない。


岡田さんはオタクの世代を三つに分けた。
第一世代、「貴族主義」の世代。
第二世代、「エリート主義」の世代。
そして第三世代、「アイデンティティ」の世代。

「貴族主義」はオタクの黎明期、一種の選民思想に基づいて、高い知性と理性を誇り、むしろ周りの一般人を下に見た。
「エリート主義」は「宮崎勤事件」以降、急激に吹く時代の逆風に耐え、オタク文化の「復権」を、血眼になって訴えた。
そして、「アイデンティティ」の世代。

僕はこの世代が「ポタク」のボリュームゾーンであると考える。
20代後半~40歳代前半くらいの人々だ。

「萌え」により動物化・脱知性化し、SNS、特に匿名掲示板の発達により、とにかく声がでかければ自分がアニメより上に立てる、アニメを牛耳ることができると勘違いした、思い上がった世代だ。


僕はその下に、今、第四世代が生まれていると考えている。
それを名付けるには、なんとも味気ないかも知れないが「普通」の世代としておこう。
「普通人」の世代とでも言うべきか。

所謂「ライトオタク」と言われるものだ。
今年取材したが、アニメ好きの女子高生なのに『おそ松さん』や『ユーリ』を観ていない、知らない、という、え?アニメ好き名乗っていいの?と、僕らの世代からは思わず疑問がこぼれてしまう、そんな「普通」の人達だ。

だから彼らは2ちゃんを見ない。
ニコ生すら怖くて近寄らない。
使うSNSはせいぜいTwitterとLINE、それからインスタグラム。
あくまで「普通」の感覚の、「普通」の人々だ。

つまり、今、世にアニメがあることが当たり前になったのだ。
そして評価を受けることも当たり前となった。
アニメはもうずっと「クールジャパン」だし、ジブリは世界を席巻したし、『君の名は。』が大ヒットするのも当たり前。漫画やアニメで人気を博したものがどんどんスター俳優で実写化される。
だから、もはやアニメが特殊な趣味にも見えないし、ましてやいかがわしい趣味にも見えない。
そんなオタクが、いやもうオタクではない、アニメが「一般化」したのだ。


そういう意味では「オタク」は、確かに死んだ。
しかしアニメにとっては、見るに堪えなかった魔の10年、「アニメ・イズ・デッド」からの華麗な復活を遂げるチャンスが来たとも言えよう。
あまつさえ更なる飛躍の可能性すら孕んでいるのだ。

その前に、ずっと足を引っ張る「ポタク=第三世代」には、いち早くご退場願いたいけどね。