地元の超一流・地銀をすぐ辞める若者の本音

彼らの満たされない思いとは?

地元の人気企業から公務員への転職が増えている(写真:kikuo / PIXTA)

優秀な若手人材が、公務員に転身していく

この連載の一覧はこちら

地方のある金融機関で、新卒入社組の研修を依頼されたときのことです。地元でも抜群の人気を誇る企業ですから一流大学の卒業生がずらりと並んでおり、まさに地元のエリート集団という感じでした。それでも、研修をすすめていくと能力・意欲・ポテンシャルにばらつきがあることがわかってきました。

たとえば、研修中のグループワークでリーダーとして仕切れる人。逆に受け身で何も発言ができない人。地元に対する貢献をどのようにしていきたいのか、各個人が想いを語る場面で、心を込めて具体的なことを話せる人。まったく、他人ごとのように冷めている人。

あるいは、金融機関のおかれた現状における課題を分析させたところ、明確な分析のできる人と、わかりませんとあきらめる人。すでに違いが明らかにあると感じながら研修をすすめていきました。おそらく、配属後に1年もたてば大きな違いがでてくるに違いない……と思い、受講者で優秀だと感じた数名を選んで、その人物名を人事部に伝えておきました。はたして、その数名が翌年にはどのように活躍しているか? 気になり、1年後に人事部に問い合わせてみると……

「みなさん、転職してしまいました」

と回答が返ってきたのです。筆者は耳を疑いました。地元で有数の人気企業をわずか1年で辞めて、転職を決断するとは。社内でも優秀な人材として期待をされた状況であったはずです。どうしてなのか、そして、どこに転職してしまったのか? それを聞いたところ、全員が(地元の)公務員試験を受けて、役所に転職したとのこと。

次ページこのようなケースは地方で増えている
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • 当事者だが8b6d9ef19c31
    地銀から田舎公務員になった自分含め同僚らの末路
    →1〜2年で転職。今は地方で介護職やフリーター、医療事務。

    ⚫︎転職理由
    ・効率の悪い仕事、度重なる遅くまでの残業、モチベーションが削られ休日は休みたくなった。ボランティアは承認欲求と気づいた。
    ・地方独特のネチネチした人間関係のストレス
    ・ご近所さんの監視によりどこで何してるかプライベート筒抜け
    ・ヤンキーやモンスター老人が増えて市民の対応が無理ゲー化している

    ⚫︎若者に全力で伝えたいこと
    人助けを生きがいにするな!
    大人に騙されてるよ。年収は一定以上で好きな仕事に就いている奴が結局は長続きして、結婚もでき幸せになってる現状を知れ。

    年功序列的風習が色濃く若者の意見が封殺されているからやりたい事はほぼできない。
    地銀辞めたことを地域住民から一生馬鹿にされ続ける人生。
    自分の満足を人に求めるな!
    自分で満足できる仕事しろ

    up50
    down3
    2017/9/4 07:16
  • NO NAME4e3776c7b51b
     はたから見ると、地銀の将来性のなさが一番の原因ではないでしょうか?また、仕事のしんどさから割に合わないと感じているのかもしれません。

     仮に将来性もあり、給料も今後増え続ける見込みがあれば、「地方のためにがんばりたい」と若者は地銀を辞めていくだろうか?

     失礼ながら、今の若者は「地方創生」なんて他人のために働きたい人ばかりなのか?転職理由は、本音は別にあり「地方創生」を出せばそれなり形になる理由だからではないか?面接官を納得させ、かっこよく見えるための。

     今の若者は賢い、銀行に受かるような人材なら余計そうかもしれない。その賢い彼らからすれば、銀行というものが就職口として魅力的に見えないのかもしれません。とりあえず、銀行と公務員なら将来安心と言われた時代とは違ってきているようです。
    up25
    down1
    2017/9/4 09:31
  • NO NAMEdf405354b2de
    東京から見れば地銀なんて終わってる業界のイメージだけど地方ではそうでもないんだな
    確かにいい大学出て地銀はもったいない
    up19
    down2
    2017/9/4 09:10
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去1週間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチAD
本物の会計力<br>経済ニュースを深読みする

小難しい会計理論とはおさらば。ニュースを材料に会計&ファイナンスを学ぶ。ヤマトの未払い残業代、東芝の米原発での約1.3兆円損失…決算書が読めればニュースの裏が見えてくる。