脱臭用の微生物資材 効果ほとんどなし 国内販売30製品を測定 畜産環境技術研
2017年09月04日
畜産現場では脱臭効果をうたった多様な微生物資材が利用されているが、畜産環境整備機構畜産環境技術研究所が一律な基準で脱臭効果を測定したところ、効果が認められた資材はほとんどなかった。「効果は限定的」「効果があったとしても即効性のある脱臭は期待できない」とまとめている。
畜産農家は臭気の苦情が来ないように、さまざまな脱臭資材を利用しているが「効果が不明なものもある」と同研究所。国内で販売されている30資材を集め、同じ条件で科学的に脱臭効果を測定することにした。
豚舎のスラリー(液状きゅう肥)に、これらの資材を振り掛けてから臭気ガスをにおい識別装置にかけ、臭気を測定。比較のため、資材の代わりに水をまいたサンプルも用意した。比べたところ、30資材のうち、臭気低減効果が確認できたのは1資材だけ。29資材は水と変わらなかった。
効果が認められた1資材も、臭気指数は減ってはいるが、一般的な感覚ではかなりにおうレベルだった。研究報告では「効果が認められるのは限定的」と言葉を選んでいるが、今回の実験では、微生物資材に実質的な脱臭効果は、期待しにくいようだ。
畜産農家は臭気の苦情が来ないように、さまざまな脱臭資材を利用しているが「効果が不明なものもある」と同研究所。国内で販売されている30資材を集め、同じ条件で科学的に脱臭効果を測定することにした。
豚舎のスラリー(液状きゅう肥)に、これらの資材を振り掛けてから臭気ガスをにおい識別装置にかけ、臭気を測定。比較のため、資材の代わりに水をまいたサンプルも用意した。比べたところ、30資材のうち、臭気低減効果が確認できたのは1資材だけ。29資材は水と変わらなかった。
効果が認められた1資材も、臭気指数は減ってはいるが、一般的な感覚ではかなりにおうレベルだった。研究報告では「効果が認められるのは限定的」と言葉を選んでいるが、今回の実験では、微生物資材に実質的な脱臭効果は、期待しにくいようだ。
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日本 見直し提案せず TPP11首席会合終了
環太平洋連携協定(TPP)署名11カ国は30日、オーストラリア・シドニーで3日間の首席交渉官会合の日程を終えた。知的財産分野の見直しでは一致したが、その他の分野で各国から修正要望が続出。日本は農業関係者が要望する農産品関税の見直しを提案しなかったもようだ。次回は9月後半に再び日本で首席交渉官会合を開く。
米国要求項目 棚上げ
12カ国で合意した内容のどの部分を見直すか具体的に議論した。米国が要求した項目について、いったん凍結し棚上げすることで米国のTPP復帰を促し、最終的に12カ国での発効を目指す。しかし、米国に復帰の兆しは見えず、先行きは依然不透明だ。
交渉関係者によると、焦点の関税分野の見直しについては、各国から要望が出なかった。日本の農業関係者は、乳製品の輸入枠など米国の参加を前提にした合意内容の見直しを求めているが、日本は今回見直し提案をしなかったもようだ。
日本は議論を主導する立場のため、「各国が慎重な関税分野の見直しを率先して提案しにくい」(交渉筋)。政府は米国の焦りを引き出すため11カ国での発効を急ぎたい考えだが、米国の2国間交渉で追加の農産品の市場開放を求められるとの警戒感は農業関係者に根強く、日本国内の意見調整も難航しそうだ。
今回の会合で、実質8年の医薬品のデータ保護期間については凍結する方向でおおむね一致した。議論を主導する日本とオーストラリア、ニュージーランドはTPPの自由化水準を下げないよう協定の内容の見直しを極力少なくしたい考え。ただ、投資などルール分野の修正要望が続出。国内調整が引き続き必要な国もあり、見直し項目を絞り込みきれなかった。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までの合意を目指し、来月の首席交渉官会合で検討を継続する。
2017年08月31日
見山ジュレ 赤しそとあまっこ 大阪府茨木市
大阪府茨木市で直売所「de愛・ほっこり見山の郷」を運営する農事組合法人・見山の郷交流施設組合が販売するゼリー。特産の赤シソとミニトマト「甘っこ」を使った。赤シソの爽やかな香りやトマトの甘味が味わえる。柔らかい食感で、ストローで飲むこともできる。
山間部にある見山地区では、昼夜の寒暖差を生かして赤シソの生産が盛ん。ゼリーは追手門学院大学(同市)と連携して開発し、昨年から販売する。ユズを使った商品もある。
120グラム入りで200円。同直売所やJA茨木市の農産物直売所「みしま館」で販売する。問い合わせは同組合、(電)072(649)3328。
2017年09月04日
国産にほろ酔い 「野菜の日」でJAグループ
国産野菜でほろ酔いに――。JAグループは30日、東京・銀座のレストラン「ビストロバーンヤード」で国産野菜を使ったカクテルの提供を始めた。8月31日の「野菜の日」イベントで、食の専門誌「dancyu」と協力。埼玉県産のエダマメを使ったモヒートや茨城県産パプリカを使ったウェルカムドリンクなど30種類を用意。来店者を楽しませた。9月1日まで。
バーテンダーで世界のコンテストで優勝経験のある保志雄一さんらが監修。保志さんは「国産野菜は濃厚な味と香りがある。カクテルにぴったり」と太鼓判を押す。
希望者はチケットを購入。1000円でドリンク3杯と国産野菜を使った11品の料理の食べ放題が付く。
エダマメを提供した全国農協青年組織協議会(JA全青協)の飯野芳彦会長は「エダマメがカクテルになるとは思わなかった。国産野菜の新たなPRにしたい」と期待する。
2017年08月31日
牛肉SG 価格への影響否定 米国に理解求める 農相
斎藤健農相は29日の閣議後会見で、日本が発動して間もなく1カ月になる牛肉の緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)について、米国産牛肉の価格には影響を与えていないとの認識を示した。SGの発動が牛肉価格の上昇を招き、消費者の負担増になるのではないかとの批判があるが、これを否定した。SGの仕組みの見直しを迫る米国に対して、発動は両国政府間の合意に基づくものだと理解を求め続けていく考えも示した。
2017年08月30日
テンサイシストセンチュウ 国内初、長野で確認
農水省は1日、重要病害虫のテンサイシストセンチュウを、国内で初めて、長野県原村で確認したと発表した。海外では、アブラナ属の作物などに大きな影響を及ぼしている。同省は長野県と連携し、まん延を防ぐため発生地域の農家に土壌を移動しないよう呼び掛ける他、発生地域の圃場(ほじょう)の土壌消毒を進める。同害虫が付着した作物を食べても人の健康に影響はない。
同村でアブラナ属の野菜を栽培する農家が、生育不良の株について、専門家に調査を依頼。同省名古屋植物防疫所が1日に確認した。
同害虫は欧州諸国で被害が多く、テンサイでは防除していない場合、収量が25%減少したという。症状として生育の遅れや黄化、しおれ、枯死がある。地下茎部はひげ根が異常に増えて奇形になる。
国内の一部地域で発生が確認されているジャガイモシストセンチュウと同様に、土壌を介して広がる。侵入経路は確認できていないが、同省植物防疫課は「海外から輸入した資材に付いていた可能性もある」と話す。
海外ではセンチュウの密度を減らす対抗植物を使った対策も取られている。日本でも同様の効果を得られるか検討する。同省は調査結果を基に、来週にも有識者らで対策検討会議を開く。
発生を受けて長野県は1日、病害虫発生予察特殊報を発表し、生産者に警戒を呼び掛けた。発生地域の土壌の移動を制限する他、使用した農機具や車両の洗浄の徹底、栽培残さの圃場外への搬出を避けるよう求めた。他の圃場の土を持ち込まないよう徹底する。
県は「国の専門家の指示の下、JAなどと連携しまん延防止に全力を挙げる」(農業技術課)とし、週明けにもJAや地元行政と防除対策や発生状況の確認について会議を開く予定だ。
<ことば> テンサイシストセンチュウ
アブラナ属のキャベツやブロッコリーなど、フダンソウ属のテンサイなどに寄生して病害を引き起こす。根に寄生した雌は卵を内包して直径0・6~0・9ミリほどのシスト(包のう)になる。シストは乾燥や低温に強く、長期間土壌に生存できる。アジアや欧州など世界中に分布する。
2017年09月02日
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豚舎のスラリー(液状きゅう肥)に、これらの資材を振り掛けてから臭気ガスをにおい識別装置にかけ、臭気を測定。比較のため、資材の代わりに水をまいたサンプルも用意した。比べたところ、30資材のうち、臭気低減効果が確認できたのは1資材だけ。29資材は水と変わらなかった。
効果が認められた1資材も、臭気指数は減ってはいるが、一般的な感覚ではかなりにおうレベルだった。研究報告では「効果が認められるのは限定的」と言葉を選んでいるが、今回の実験では、微生物資材に実質的な脱臭効果は、期待しにくいようだ。
2017年09月04日
豚の精液 輸入可能に 英と合意 コスト減、改良に拍車
日本養豚協会と英国養豚協会は、種豚の衛生や能力面の条件で合意し、英国からの豚の精液輸入が可能になった。英国には中ヨークやバークシャーといった肉質に定評のある品種がそろっている。精液が輸入できれば生体での輸入より低コストになり、国内の中ヨーク、バークシャーの更新や今後の種豚改良に役立つと期待される。
2017年09月03日
テンサイシストセンチュウ 国内初、長野で確認
農水省は1日、重要病害虫のテンサイシストセンチュウを、国内で初めて、長野県原村で確認したと発表した。海外では、アブラナ属の作物などに大きな影響を及ぼしている。同省は長野県と連携し、まん延を防ぐため発生地域の農家に土壌を移動しないよう呼び掛ける他、発生地域の圃場(ほじょう)の土壌消毒を進める。同害虫が付着した作物を食べても人の健康に影響はない。
同村でアブラナ属の野菜を栽培する農家が、生育不良の株について、専門家に調査を依頼。同省名古屋植物防疫所が1日に確認した。
同害虫は欧州諸国で被害が多く、テンサイでは防除していない場合、収量が25%減少したという。症状として生育の遅れや黄化、しおれ、枯死がある。地下茎部はひげ根が異常に増えて奇形になる。
国内の一部地域で発生が確認されているジャガイモシストセンチュウと同様に、土壌を介して広がる。侵入経路は確認できていないが、同省植物防疫課は「海外から輸入した資材に付いていた可能性もある」と話す。
海外ではセンチュウの密度を減らす対抗植物を使った対策も取られている。日本でも同様の効果を得られるか検討する。同省は調査結果を基に、来週にも有識者らで対策検討会議を開く。
発生を受けて長野県は1日、病害虫発生予察特殊報を発表し、生産者に警戒を呼び掛けた。発生地域の土壌の移動を制限する他、使用した農機具や車両の洗浄の徹底、栽培残さの圃場外への搬出を避けるよう求めた。他の圃場の土を持ち込まないよう徹底する。
県は「国の専門家の指示の下、JAなどと連携しまん延防止に全力を挙げる」(農業技術課)とし、週明けにもJAや地元行政と防除対策や発生状況の確認について会議を開く予定だ。
<ことば> テンサイシストセンチュウ
アブラナ属のキャベツやブロッコリーなど、フダンソウ属のテンサイなどに寄生して病害を引き起こす。根に寄生した雌は卵を内包して直径0・6~0・9ミリほどのシスト(包のう)になる。シストは乾燥や低温に強く、長期間土壌に生存できる。アジアや欧州など世界中に分布する。
2017年09月02日
「平年並み」13道県 早場6県「やや良」 8月15日現在水稲作柄概況
農水省は30日、2017年産米の作柄概況(8月15日現在)を発表した。東日本を中心にした早場地帯の作柄は「平年並み」または「やや良」とした。同省はおおむね天候に恵まれたとしているが、8月中旬以降は日照不足の影響が一部地域であり、今後は不透明。卸など流通関係者は、東北地方の太平洋側に吹き寄せるやませや大雨などの影響が今後出てくる可能性を指摘する。一方、西日本を中心にした遅場地帯の生育は「平年並み」または「やや良」で推移している。
早場地帯は19道県あり、作付面積の7割を占める。このうち、作況指数(平年作=100)の99~101に当たる「平年並み」は13道県。102~105の「やや良」が6県となった。天候に恵まれたため、全もみ数は北海道や三重県など一部を除き「平年以上に確保した」(農水省)。
「やや良」となった岩手、宮城、福島と「平年並み」だった青森の4県について、同省は「7月末から低温・寡照傾向になっているが最も冷害の影響を受ける減数分裂期の気温は平年並みだった」と説明。ただ、8月後半から収穫期に向かう9月上旬の天候や気温の回復状況を「注視していかなければならない」(同省)としている。
一方、遅場地帯は第二期稲のある沖縄県を除いた27都府県で、作柄よりも一段階前の生育を発表。「やや良」が17都府県、「平年並み」が10県だった。最も収穫が早い西南暖地5県(徳島、高知、宮崎、鹿児島、沖縄)の早期栽培米の作況指数は鹿児島が107、徳島と高知が104、宮崎が103と豊作。沖縄は96だった。
同省は「平年並み」を前提に、17年産の主食用米生産量を生産数量目標の735万トンと仮定した場合、18年6月末の民間在庫を182万トンとした。17年の6月末を17万トン下回る水準だ。さらに自主的取組参考値の733万トンと仮定した場合、180万トンと見通している。
2017年08月31日
「抗酸化イチゴ」開発 低温プラズマで栽培実験に成功 他作物応用も 名古屋大
名古屋大学は、低温プラズマ技術を使って抗酸化成分のアントシアニンを通常栽培よりも最大25%増加させた「抗酸化イチゴ」の栽培実験に成功した。同大によると世界初。生育促進や増収だけでなく、他の農産物への応用の道も開け、付加価値向上による農家手取り増へ期待がある。
同大は高密度で低温プラズマを作り出す最先端の装置を独自開発。愛知県幸田町が、地方創生加速化交付金を活用し同大に研究を委託し、2016年度から5カ年で実験に取り組む。
実験は同大のプラズマ医療科学国際イノベーションセンターの堀勝教授らの研究グループと町が共同で、2016年9月~17年2月に実施。地元JAあいち三河の生産部会、幸田町いちご組合の組合員がハウスを提供、栽培指導で協力する。
低温プラズマ装置を導入し、①苗の生育段階で根にプラズマを直接照射する②プラズマを照射した特殊な溶液(プラズマ照射溶液=PAL)を苗に与える――条件で比較。直接照射すると通常栽培と比べアントシアニンが25%増え、PALを与えたケースも12~19%増えることが分かった。
約2割の増収傾向や糖度の向上、成長促進効果も確認した。直接照射は効果が高いが設備導入コストが高額になり、より安価なPALでの普及が有力になりそうだ。殺菌作用を持つPALを農作物に散水することで、減農薬への期待もかかる。今後はデータやノウハウを蓄積し、トマトやイチジクといった同町の特産品での応用も目指す。
実験の中心となった橋爪博司特任助教は「安全性が高く、高付加価値な農産物の実現につながる。実用化に向けた試験を進めたい」とする。
JA営農担当者は「数値の裏付けや導入費用、出荷規格などの課題があり、すぐに生産、販売とはいかないが、機能性が評価され差別化できれば、農家の手取りアップにつながる」と期待する。
<ことば> 低温プラズマ
電子が離れた状態の気体(プラズマ)を25度で発生させたもの。殺菌や止血作用があり、医療などのバイオ分野での応用が進む。
2017年08月29日
水田給排水を自動化 管理時間8割減 遠隔操作装置+アプリ 農研機構
農研機構農村工学研究部門は、スマートフォン(スマホ)などで水田の給排水を自動設定し、水管理の時間を8割減らすシステムを開発した。給水バルブと排水口に遠隔操作装置を取り付け、圃場(ほじょう)に行かなくても水深が制御できる。給排水の両方を自動化したのは日本初で、今年度中に市販化の予定。水稲の労働時間の3割を占める水管理を軽減し、農地を集積する担い手を支援する。
研究は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環。遠隔操作装置はソーラーパネルやアンテナ、モーターなどを組み合わせて作り、給水バルブと排水口の両方に使える。電波で開閉し、各社のバルブに後付けできる。この他、水深を感知するセンサー、電波の基地局などを設置する。
制御の仕組みは、センサーが水深の変化を感知すると自動で給排水を調節し、元の水位に戻す。水位の設定は専用のアプリを使いスマホやタブレット、パソコンでできる。アプリでは水位や気温の確認もできる。省力の他、豪雨で急に増水したときも有効だ。
20アール区画で実証試験をしたところ、水管理の年間の労働時間は3時間と、慣行水田の15時間に比べて8割減った。無駄なかけ流しが減るため、使う用水量を50%に節約する効果もあった。
システムは年度内に国内メーカーから発売される予定だ。価格は基地局が1台20万~30万円、バルブを動かす装置(給水、排水共通)が同10万円。サーバーの利用料が1カ月当たり2000~4000円ほどを見込む。
同部門は「農地の集積で分散した水田が増える中、担い手の省力効果は大きい」と説明する。品種などから水管理が自動で分かり、収量や品質が向上できる仕組みも開発中だ。
2017年08月28日
家畜ふん 良い香りに 資材代 3分の2助成 静岡県湖西市
畜産の環境対策で、ふんの臭い成分と混ざると甘い香りになる資材を、行政と生産者が連携して普及する地域が出てきた。地域住民と共存しながら経営を持続できるツールとして期待する。静岡県湖西市では市が効果を認め、市の予算で運営する団体が資材代の3分の2を助成。市街地に近い養豚農家を中心に利用が進み、モニタリング調査で臭いを感じる場所が減る効果が出ている。
臭気対策資材はJA全農の関連会社、科学飼料研究所が取り扱う「デオマジックHG」。多様な香りを混ぜて良い香りにする香水の考え方を応用したもので、原料は食品添加物に使う香料とエチルアルコール、水。医薬品には当たらないので畜種を問わず使え、生産物や堆肥に影響はないという。湖西市ではJA静岡経済連、JAとぴあ浜松を通じて供給する。
市内では臭気対策のため数十年前から、畜産農家26戸でつくる市畜産環境衛生対策協議会で地域との共存を模索してきた。市から予算の拠出を受け、臭いを防ぐカーテンや、消臭のための資材などを導入を進めた。しかし、同市農林水産課の吉田善行主査は「対策で臭いをどれだけ弱めても、不快に感じる声はある」と、対策に試行錯誤してきた。そこで2015年に出合ったのが、臭いを変える資材だ。
15年末と16年1月、市が実演会を主催し、農家に紹介。効果が見込めそうだと判断し、協議会を通じて資材や散布装置などに購入金額の3分の2を助成すると決め、現在までに養豚農家7戸とウズラ農家1戸が導入。約80万円を助成した。
同市で母豚170頭規模で経営する土屋勝久さん(67)は、16年夏から利用。飼養スペースに1000倍で薄めた資材を噴霧。堆肥化施設では600倍に希釈し、切り返しの時に吹きかけ、1年間で1缶(18リットル)を使ったという。「確かに甘い香りになる」と話す。
市の職員が12年から、毎年6月から翌年3月まで行っているモニタリング調査では、導入した16年度は臭いを感じる地点が減ったという。
吉田主査は「畜産業が地域で持続でき、後継者の確保につながる動きになれば」と期待する。
2017年08月28日
トマト50トン取り 密植1.3倍+CO2 独立ポット耕
岐阜県農業技術センターはトマト独立ポット耕で、10アール当たり換算収量50トン超を達成した。栽培ベンチを改良し、栽植密度を1.3倍にして増収。過繁茂による影響はなく、1株当たり収量、果実品質ともに慣行区と同じで実用化できることを確認した。
2017年08月20日
放牧草地を効率管理 肥料2割減 システム開発重点箇所明示 農研機構
農研機構は放牧地の草地管理を効率化する支援システムを開発した。傾斜の度合いなどの地理情報から、草地内で手厚く管理する場所とそうでない場所をパソコン画面などで“見える化”し、管理作業に役立てる。200ヘクタール規模の牧場での実証試験では肥料を2割削減できた。同機構ではシステムを試験利用する牧場を募集している。
2017年08月18日
畜産現場 障害者と相思相愛 参画促進へ手引 経営支援協注意点周知
畜産の現場で、障害者の就労を促す取り組みが進んでいる。労働力不足に悩む畜産側と、就労先を求める障害者の双方にメリットがある。ただ、分担してもらう作業を“切り出す”ことや、両者の接点の少なさなど課題は多く、就労は容易でないのも実情。畜産経営支援協議会は、障害者の参画を進める手引を作成して関係者に活用を呼び掛ける他、シンポジウムを開いて就労促進につなげる考えだ。
2017年08月16日