桑田真澄氏、高校野球の体罰問題に提言「昔は『愛のムチ』、現在は『犯罪』」

2017年2月6日12時0分  スポーツ報知
  • 桑田真澄氏

 先月下旬、高知県高野連が監督会総会を開き、指導者による「体罰根絶宣言」を採択した。全国の高野連で初の試み。部長やコーチを含む計56人の出席者から反対意見は出なかった。今なお、体罰問題は高校野球の現場に深く残る。PL学園時代に甲子園通算20勝を挙げたスポーツ報知評論家・桑田真澄氏(48)は「指導者の暴力」について持論をつづった。

 まずは「体罰根絶宣言」を採択した高知県高野連に、エールを送りたい。誰かがやらなければ、何も変わらない。新たな一歩を踏み出したことを応援したい。従来の野球界の見方では驚きもあるかもしれないが、社会全体の変化を踏まえると当然の流れだと思う。今回の宣言をきっかけにして、全国各地の高野連にも積極的に、体罰の撲滅へ取り組んでいただきたい。

 私がなぜ体罰否定派かといえば、スポーツマンだからだ。スポーツは暴力と最も遠い存在でなくてはならない。本来なら指導者は、それを子どもたちに教えていく立場にある。昔は「愛のムチ」と呼ばれていたが、現在では「犯罪」とみなされる。スポーツマンシップは選手にだけ求められるものではない。スポーツに関わる人、全員に求められるものだ。

 野球で成功した人は、「体罰を受けたからこそ、成長できて、今の自分がある」と思う傾向が強い。体罰批判は、自分の野球人生を否定することになるからだ。「嫌だった」と言いながらも「必要だった」と答える人が多い。だが、僕の経験上、体罰は技術の向上に結びつかない。失敗を恐れ、選手の主体性を奪うだけだ。

 指示され、怒鳴られ、殴られた高校球児が将来、どんな人生を送るか。自主的に考え、行動する習慣を身につけるのは難しいだろう。それは野球人のセカンドキャリアの難しさにもつながっている。指導者の皆さんには、グラウンドの外でも自分で考え、行動できる選手を育ててほしい。そのためにも、言葉で伝える、真の指導力をつけてほしいと願う。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
高校野球
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ
blank