2014年9月の国会において、第2次安倍政権が「地方創生」に取り組む姿勢を示してから、3年が経とうとしている。
「地方創生」は、「少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指している」(「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」)ものである。2014年11月には、「まち・ひと・しごと創生法」が制定された。
ときを同じくして11月21日に、衆議院が解散され、12月14日の総選挙で政府与党は圧倒的多数を獲得した。そして、総選挙後の同年末には「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2014年12月27日閣議決定)が策定された(なお、2016年12月22日改訂)。
このように、「地方創生」または「まち・ひと・しごと創生」は、第2次安倍政権が、単に大都市圏の富裕層だけをターゲットにしているのではなく、人口減少や地域経済縮小に苦しむ地方圏への配慮もしていることを掲げるものである。
しかし、総選挙での与党大勝の結果、国は自治体に集権的な介入を開始した。「一強」政権が、被治者に対して「配慮」をすると、家父長(パターナル)的な権力行使になりやすいのである。
このため、法的には義務づけられてはいないものの、都道府県および市区町村は、それぞれ「地方版総合戦略」の策定をせざるを得なくなった。そして、地方創生関連交付金を獲得する陳情競争をすることになったのである。
「地方版総合戦略」には、基本目標や重要業績評価指標(KPI)を掲げなければいけないことになっている。そのため、自治体としては国に対する「公約」になっているわけで、その達成に向けて、政策パッケージ・個別施策に取り組むこととなった。
これまでの2014・15年度はまだ計画策定段階であったが、2016年度からは事業展開の段階に入ったとされる。
そこで、「地方版総合戦略」で掲げてしまった目標に対する成果が問われる。目標を達成していない場合には、国から「検証」を受けることになるので、自治体としては相当な危機感を持たなければならないだろう。