おこしやす つらら庵 ♪
久々に日本画の道具に触れました(^^)
こんな事ではダメですね(;^_^A
小さい絵でも良いから少しづつ描こうと思っているのですが、なかなか時間が取れなくて…。
でも、涼しくなって制作意欲の増す芸術の秋♪
これから頑張って日本画制作記事を書いて行こうと思います!
前回までの日本画の記事はこちら☆
↓ ↓ ↓
どひゃ~!
最新で3ヶ月近くも前やないのんさ!( ゚Д゚)
こりゃ酷い。。
月日の経つのは早いな~。
さて、前回は骨描き(こつがき)まで済ませました。
下書き的な作業は全て終わったので、いよいよここから実質的な絵を描く作業に入っていきます。
「ではではチューブから絵の具を絞り出して…」
とお思いの方、ちょいとまったぁ~~~!!!( `ー´)ノ
日本画で使う岩絵の具ってどんなのか知ってますか???
出展:http://www.nakagawa-gofun.co.jp/img/img_visual_05.jpg
綺麗でしょ!!(^^)
人工か天然かにもよりますが、岩絵の具は基本的に本物の天然石を細かく砕いた粉です。
青い色の群青系は藍銅鉱、ラピスラズリを砕いた物、緑色の緑青系は孔雀石を砕いた物です。
言ってみれば日本画は、宝石で描かれたスピリチュアル溢れる絵画なのです。
ぜいたくぅ~~!!ヾ(≧▽≦)ノ
でもでも、そのままでは只のサラサラした粉。
水で溶いても和紙にくっつきません。
絵の具には展色材、メディウムが含まれていないと紙にくっつかないのです。
難しい言葉が出ましたが、超簡単に言えばネチネチした物が顔料に含まれていないとくっつかないのです。
例を挙げると…
油絵の具→油
アクリル絵の具→アクリルエマルジョン
水彩絵の具→アラビアゴム
テンペラ絵の具→卵白
こんな感じです。
では、日本画は何が展色材になるかと言うと、、、
出展:http://yukio-kondo.com/img/theory/pic04.jpg?1449493629
膠(にかわ)です。
日本人形や能面などの色付けに利用されたり、他にも金箔貼り、工芸での接着剤にも使われる日本の物作りには欠かせない物がこの膠なのです。
現代では一部の伝統的な物作りにしか使用されていないようですが、日本画ではいまだに膠を使うのが基本になっています。
牛の皮を煮詰めてドロドロにし、固めた物が膠なのですが、皮の種類、形状などで種類分けされているので、写真の様に沢山種類が有ります。
今回は写真で真ん中あたりに写っている細長い棒の様な形状の三千本膠(さんぜんぼんにかわ)の溶き方を実践してみましょう!(^^)
日本画では一番ポピュラーな物です。
①膠の用意
膠を一本用意します。
これからこの膠を湯煎して水に溶かしていきます。
良く言われる水と膠の配分は、水200ccに対して三千本膠2本。
三千本膠1本が大体10gなので、
100ccに10g
と覚えておけば問題ないでしょう。
ただし、これはあくまでも基本的な溶き方なので、作風や季節によって配分は変えなければなりません。
これは結構繊細かつ難しい内容なので、膠の濃度についてはまた改めて記事にしたいと思います。
ここで取り敢えず言いたいことは、
10号以下の大きくない絵を描く場合は、あまり大量の膠を作っても使いきれないと言う事。
なので、本に書いてある通りの溶き方はしなくてもいいです。
ましてや、膠の保存期間は長くても冷蔵庫で3~5日間。
初心者や、あまりハイペースで絵を描かない方はまず少量作ってみてください。
今回は三千本膠を半分に折って5gとし、50ccの水に溶いていきます。
半分に折った所。
ご覧の様に、膠の角などはとても鋭利な上固いです。
そのまま手で折るとケガをしますので、折る場合はペンチで切断するかタオルでくるんで手で折る様にしてください。
この後水に溶かすので、画像の様に2~3㎝幅に折っておくと水が良く浸みて溶けるのが早いですよ。
容器は良く洗ったジャムの空き瓶などが膠の色もよく見えておススメ!!
②膠をふやかす
膠5gに対して50ccの水を入れました。
膠はとても固いので、この状態で湯煎に掛けてもなかなか溶けません。
なので、このまま冷蔵庫で2~3間寝かせてふやかします。
面倒ですが、描く少し前に用意をしておく癖を付けておきましょう。
”日本画家の朝は早い”(笑)
2~3時間付け置いた膠。
周りが柔らかくなっているのが確認できます。
あまり浸ける時間が長くなると粘着力が落ちるので長くても5時間以内が良いです。
③膠を湯煎で溶かす
膠は必ず湯煎で溶かしましょう。
直火はもっての他です。
湯煎の場合もあまりボコボコと沸騰させてはいけません。
なので、火力の弱い電熱器を使います。
膠は熱に弱く、高温で熱すると組織が破壊されて粘着力が落ちてしまうのです。
匙で膠を動かしながら、飴を溶かすように丁寧にゆっくり溶かしましょう。
ど~ですか?
めんどくさいでしょう??
しかも、まだ絵を描くための絵の具さえ作れていないと言う事実に愕然としながら、これからの長い制作時間の事などを頭に描き落ち込んで下さいネ☆(笑)(笑)
膠のかけらやダマが完全に無くなってトロリとしたら出来上がり!
これで君も日本画描きの招待状はGETだ!!(笑)
剣道で言えば、竹刀と防具を揃えた所かな。
いや、まてよ?入門の挨拶に来た所かな?(笑)
このとろみと色を体で覚えてゆくのが日本画。
慣れてくると天気や季節も考慮して、秤で計量する事無く濃度を決めれるようになります。
でも、しょーちん。もまだ駆け出しなのでちゃんと分量を秤で計ってますよ。
④膠を濾す(こす)
教則本などでは省かれている事も有るこの作業。
まぁ確かに近年では膠の制作工程での精度が上がり、昔ほど不純物も多くないのでいらんっちゃいらんのかもしれませんが、より質のよい膠を作るために是非やっておきましょう!
皿と茶こしを用意します。
茶こしは100均で売っているものでOK。
茶こしにティッシュを1枚敷き、先ほど作った膠を濾します。
膠はトロミがあるので一度で濾せる速度が遅いです。
いきなりタップリ注ぐと溢れるのでゆっくり。
きたきた!(^^)
精製された膠です。
品質保証!!(笑)
濾すのは一度で良いですよ。
これを元の容器に再び移せば…
⑤完成!どやさっ!
ホコリが入らないようにフタをして置き、使う時だけ匙ですくって使います。
絵の制作が終わり、明日へ持ち越す時はフタをしたまま冷蔵庫で保管。
固形の膠には防腐剤が入っていません。なので、夏場や高温の場所では必ず冷蔵庫に入れておきましょう。
いかがでしたか?
まだ絵を描く筆を持つ前の段階なのに疲れていませんか??( ´∀` )
日本画は昔からほとんど姿を変えずに連綿とこうした方法で描かれてきました。
面倒くさいと思う事も有りますが、考えて見るとこうした静かに丁寧に物事を進めていかなければならないからこそ、素晴らしい落ち着きのある優しい日本画が生まれるのではないでしょうか??
日本人は西洋人の様に作業を簡略化する事はなかった。
西洋のチューブ絵の具の最初の形はなんと豚のタマタマの袋に顔料を詰めたもので、それを西洋人は持ち運んでいたんですよ(笑)
ゆっくりと行きましょう。
日本人らしく。。( ˘ω˘)
次回はいよいよ絵の具作り編です!
えっ!?まだ描かないのって!?
そろそろ自覚してください。
あなたは日本画を描こうとしているんですよ??(笑)
ゆっくりと行きましょうゆっくりと。。
長い記事を読んで下さりありがとうございました!
最後に大切な事をまとめましたので今までの説明で所々を忘れちゃった人はこれだけでも覚えて下さい。
今日も一日ありがとうございました~☆
・これだけは覚えてって!
・膠の基本分量は 膠10g:水100cc
・膠の保存は冷蔵庫で長くても5日まで。
・溶かす時には絶対に沸騰させない。
また、おこしやす つらら庵 ♪
〇今日の水墨DEアニメ〇
「ドラえもん」
9月3日はドラえもんの誕生日♪ドラちゃんおめでとー♪ヾ(≧▽≦)ノ