そもそもMRF・MMFとは何か
公社債投信にMRF・MMFというものがあります。
MRFは、マネーリザーブファンドと言います。これは公社債投信の性格を持ちます。預り金だと預金保護の観点から限度額があります。しかし、MRFだと公社債投信という形で金融商品化されていますので基本的には顧客の資金が保護されることになります。
今でこそ証券口座に預けたお金はそのまま再投資されずに、キャッシュのまま保持されます。こうなった歴史は比較的新しく、2010年ごろまで各証券会社は顧客の資金をMRFやMMFという形で再投資をしていました。
2000年代にはさかんに利用され、ネット証券も通常はMRFのカタチで資金がプールされました。公社債投信ですので、ほんのちょっとの利息も付きました。ただ利息で殖やすという性質でなく、国内の場合はあくまで資産保全上の措置でした。
殆ど預り金と同じように扱え、解約金もかからない商品でした。
一方、MMFは、マネーマネジメントファンドと言います。MRFよりもやや長期の債券で運用する特徴があります。ただ、国内ものは今すでに繰り上げ償還されてしまっているものが多いです。こちらは解約金がかかる性質の商品でした。
国内ものは低金利も相まって償還されてしまっていますが、外貨建てのMMFは今でもモノによってはまずまずの金利が付きます。外国債券はまだまだそこまで金利が低くないからです。
そのため、個人レベルでも使うあてのない外貨残高の行き先として一定の需要があります。
ちなみにトルコリラ、南アフリカランドなどの新興国通貨に関しては10%近くの金利がつくこともあります。ただ、当然為替変動リスクも大きくなります。新興国投資はインフレなどのリスクを計算に入れて行うのが基本ですから、濡れ手で粟で儲かるわけではありません。
今回はその米ドル建てMMFに関連してご質問をいただきました。SBIの場合ですと米ドル建てMMFで0.92%というのが直近の最高金利ですね。
為替リスクの許容が難しい
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たぱぞうさん
いつも楽しく勉強させていただいてます。
今日は、米国株買い付けの資金について、質問させて下さい。
そろそろ損出ししようかと、先日証券会社のサイトをチェックしたところ、見に覚えのない損が並んでおりました。結局、米ドル建MMFの実現損だったのですが(投資信託と同じ扱いのため?)、想定外の損が出ており、これって逆に益のパターンもあるのかもと困惑しております。
私はまだまだ修行が足りず、たぱぞうさんほど為替に寛容になりきれず、円高タイミングである程度のキャッシュを確保するようにしています。外貨預金よりはだいぶ有利になってきたため、今年からMMFに預けることにしました。
米国株買い付けのタイミングで一部解約し、ささらなければ再度預け入れの繰り返しです。米ドル建では何の影響もない(?)ものの、円建で無用な損益が発生することに今更気づいたということです。
ここで質問なのですが、たぱぞうさんはキャッシュを運用していますか?
また、米ドル建MMFでの運用は、まだ私が気づいていないリスクが他にあるのでしょうか??お時間あるときに教えて頂けますと有難いです。
米ドル建てMMFのメリットデメリット
私は外貨残高はキャッシュとして置きっぱなしです。そのため、米ドル建てMMFでの運用は行っておりません。今の私ぐらいの外貨残高だと、ちょこちょこ動かすことによるメリットよりも、手間がどうかというところです。
ただ、公社債投信という性質を踏まえると、遊ばせている外貨残高の行き先としては悪くはないです。ちなみに2016年初頭までは外貨MMFの為替差益は非課税でしたが、今は課税されるようになっています。
そのため、実現損益の計算が必要になってくるので、特定口座での自動計算が前提になります。外貨建てMMFに関してまとめるとこういうことになります。
- 多少の金利が付く。2017年現在最高0.9%程度。
- 買付解約がしやすく、換金性に富む
- 為替変動の影響を受ける
- 公社債投信なので、まれに元本割れの可能性もある
外貨残高には金利が付きませんので、株やETFを買うつなぎとしては悪くないですね。手間と金利のバランスということになります。
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利上げ基調であることは事実ですから、今後長い時間をかけて金利が上昇してくる可能性があります。
米国株投資において目を通しておきたい名著です。経済的な堀に関しての考え方、その基本について述べられています。こういう本を読むと、米国株の優位性が際立って見えます。
行き場のない資金をディフェンシブな債券ETFにしてしまうという考えもありますが、MMFに比べると値動きはあります。リスクとリターンのせめぎあいは投資につきものということですね。