小学館が年末に発行する雑誌「小学8年生」の特別号でロボットを付録にすると発表し、話題を呼んでいる。同社によると完成品のロボットが雑誌の付録になるのは世界で初めて。価格は1万9800円(税込み)と、雑誌としては異例の高額。小学生だけでなく、小型ロボットに関心のある大人の人気も集めそうだ。
ロボットの名前は「TABO8(ターボ・エイト)」で手のひらに乗る小型サイズ。専用アプリをインストールしたタブレット端末に乗せて利用する。ロボットの動きを人の指と同じようにスクリーンが感知し、画面内のコンテンツと連動してタブレット上を動き回る。知育アプリで簡単なプログラミングを学んだり、スマートフォン(スマホ)をコントローラーにして無線操縦したりできる。ロボット相手に対戦ゲームも可能だ。
小学館は10月10日から予約を開始し、部数は未公表だが12月中旬に数量限定で発売する予定。同社は今回の特別号の狙いについて、「2020年に小学校でプログラミング学習が必修化されるのを見据え、付録として採用した」と説明する。IT(情報技術)ベンチャーのプログレス・テクノロジーズ(東京・江東)とバスキュール(東京・港)が共同で開発したロボット「TABO」に新たな機能を追加し、小学館オリジナルとしてつくった。
8月30日の発表を受け、ツイッター上では「本当にすごい」「完売の争奪戦になりそう」と興奮する声が出ている。ネット上では「雑誌の付録がロボットというよりロボットの付録が雑誌」との声もあった。小学館の広報室には「IT系メディアからかなり多くの問い合わせがあった」という。
小学館は学年ごとに小学生向け雑誌を発行していたが、部数低迷から09年以降、相次いで休刊し、残るのは「小学一年生」だけ。その代わりに今年の2月から、学年問わず読んでもらう雑誌として「小学8年生」を発刊した。不定期に発行し、発売中の第3号は980円(税込み)で「30倍どこでもけんびきょう」などを付録にしている。今回発表した特別号の予約方法の詳細は9月下旬発売の第4号で発表する。
小学館は7月にマーケティング局内に発足させた「TO2022事業室」の最初のプロジェクトとして、ロボットと人工知能(AI)に着目した「ROBO―GATE PROJECT(ロボゲートプロジェクト)」を立ち上げた。今回のロボット付録はその第1弾。子供の頃からスマホが身近にあるデジタルネーティブな子供に向け、様々な企業と協力しながら活動していく予定だ。
(佐藤史佳)