活動報告

ライブハウスのサンプリング調査の実態

裁判の中では数多くの不可解な主張をして来たJASRACであるが、自分が裁判で提出した団体が今も存在しているのかどうか、そしてそのアドレスがキャバドレ(キャバクラのドレス)の販売サイトに転売されているのに、そのことも確認せずに裁判所に提出するのかこの団体は・・・。


日本最大の著作権団体の「仕事」としてはとてもお粗末なものである。

今回はプライバシー保護のために仮名で書かせて頂くが、JASRACは「原告第2準備書面」において次のような書面を提出した。

 

ーーーーー引用ここからーーーーー

(このライブハウス団体は)「ライブハウスの経営者が音楽著作物の利用主体であり著作物使用料を支払う主体であることを積極的に認めている。」

ーーーーー引用ここまでーーーーー


つまり「お前のところのライブハウスも認めているのと同じことだ」という主張である。

アメリカにはミュージシャンの「ユニオン」があって、そこに参加しなければミュージシャンは仕事をすることが出来ないと聞く。
だが日本にはそんなものはなく、同様にその団体に加盟してなければライブハウスを営業出来ないという現実もない。

その昔「ライブハウス連盟」というものが名古屋ELLのシゲさんを中心に結成されていて、アマチュア時代の爆風スランプは、ここを通していろんなツアーを組んで下さって非常に助かったという事実はある。

でもこの団体でさえ、別にこの団体がこう考えているから「全てのライブハウスもそうなんだ」などと主張されたら迷惑な話である。

それにJASRACが書面で提出したそのライブハウス団体は、全国のライブハウスに詳しい私でさえその存在を知らなかった団体なのだ。
全国のライブハウスにしてみても、「自分の知らない団体がこう言ったんだからお前んとこもそうだ」と言われたら迷惑な話である。


ところが得意げにJASRACが書面で書き並べるこの団体の代表者名、ライブハウス名を見た時に思い出した。
私はこの代表者と別件でお会いしたことがあるのだ。

その代表者ははっきり私に言った。
「今はもう実質活動してません」
と・・・

特定非営利法人なので活動状況は調べればすぐにわかる。
それなのにJASRACはそんなことも確認せずに得意げに長々と書面を提出して来る。

調べてないんだから当然ながら詳しく書けば書くほどボロが出る。

裁判所に提出したこの団体のアドレスはキャバドレに転売されてしまっている。
つまりJASRACは胸を張ってキャバドレのアドレスを裁判所に提出したのである。

裁判に提出するアドレスの確認もしない団体が、何千万曲の楽曲の管理をしていることも恐ろしい事実だが、この代表者は私にもっと恐ろしい事実を教えてくれた。

 

実はこの団体はJASRACと協議して、包括契約の料金を安くすることに成功している。
その時の話では一番安くて月額1000円ほどになった例もあるということである。

その代表者のライブハウスでは、2回サンプリング調査をうけたそうで、調査はやはり外注の別業者が来る。
やり方としては、特定の日を指定されて、その日一日の演奏曲を録音するということ。

その代表者は試しに、その指定された日に、あまりメジャーでないがJASRAC登録曲を持っているインディーズバンドをブッキングしてみた。

そしたら何と、その日を含む3ヶ月間の分配について、そのバンドには6万円というインディーズバンドにとってはとてつもない多額な印税を分配されたとのこと。
当然ながらその前もその後もゼロとのことである。

JASRACの「サンプリング分配」がいかにいい加減なシステムであるかを表すエピソードである。

7月13日発売の週刊文春の記事によると、JASRACはこのような「サンプリング分配」について、「これらの割合は2%ぐらいに過ぎない」と説明していたということであるが、それでも金額にすれば20億円ほどになる。

その多額の金の分配をJASRACはこのようにずさんなやり方で分配しているのだ。

東京新聞8月27日付朝刊では、著名な著作権学者である安藤和宏教授が次のように語っている。
「統計学でいうなら、全国で同じような曲が演奏されるという前提が必要だが、ライブハウスはそうではない。不適切なサンプリングの典型だ」

9月4日付のAERAの記事は次のように記事を締めくくっている。


JASRAC側は「法的な検討は尽くしており、百%の自信がある」と強気の姿勢を崩さない。居丈高でピント外れ。「著作権の番人」に対するネットやSNSの反応は、おおむねそんなところだ。反論も自負も誇りもあるだろう。
JASRACに、末吉さんの行動や、他の法的措置についての事実確認も兼ねた取材の申し込みを何度も重ねたが、文書での回答も含めて断られた。
国内市場シェア95%超を誇る音楽著作権管理の巨人の歩んでいく先が、見えない。

本当にこの巨人は一体どこに歩んでゆくのだろう・・・

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