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himaginaryの日記

2017-09-03

ノーベル賞経済学者は格差拡大をどう見ているかAdd StarBUNTEN

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引き続きリンダウ・ノーベル賞受賞者会議ネタ。同会議では、格差に関する懸念が大物経済学者から相次いで表明された、とシティ大学ロンドンのSteve Schifferes金融ジャーナリズム教授がThe Conversation報告している(H/T Mostly Economics)。

以下は同記事に記された各学者の指摘の概要(括弧内は受賞年)。

  • ジャン・ティロール(2014)
    • 経済格差はそれ自体が「市場の失敗」の一形態。
    • 格差拡大の政治や社会への影響が、トップクラスの経済学者の関心をますます集めているのは確か。
  • ジェームズ・ヘックマン(2000)
  • ピーター・ダイアモンド、クリストファー・ピサリデス(2010)
    • 両者とも、今やユニバーサルベーシックインカム(UBI)が望ましい、という意見。
    • ピサリデスは、ロボットAIの急速な普及が多数の低技能職への脅威となっており、何らかの政府の介入なしではこれは格差拡大に寄与する、と考えている。UBIについては、最低賃金以下になるように注意深くカリブレートされて労働市場を乱すことがない限り、支持。
    • ダイアモンドは、米国格差拡大はいま取り組むべき問題だと考えている。最近の論文で彼は、所得、富、貧困、社会の移動可能性といった格差の様々な指標において、米国が如何にアウトライアーであるかを示した。
    • ダイアモンドは、格差に関する議論は、政策の失敗に焦点を当てる助けになると考えている。即ち、教育や研究やインフラへの投資の欠如や、重厚長大産業での失業という形でグローバリゼーションのコストを担っている人に補償していないこと、である。そのほか、以下の見解を表明。
      • 子供を持つ人全員への児童手当やUBIといった直接移転は貧困解消に寄与する。
      • 一般に政策の最終目的は必ずしも富の再分配ではないものの、米国における政策課題については高水準の政府支出、およびそれを賄うための高所得者への増税が必要となる。
    • ダイアモンドとピサリデスはともに、ポリシー・ミックスの一環として富裕層への増税に前向き。
      • ダイアモンドは米国について、相続税を大きく引き上げることを提唱。
      • ピサリデスは英国について、住宅課税の強化を提唱。具体的には、現在は住宅は相続時にのみ課税されるが、住宅売却におけるキャピタルゲインへの課税を提唱。このことは、多くの若い人にとって手の届かないところまで上昇した住宅価格を抑制する助けにもなるだろう、と彼は考えている。
  • エリック・マスキン(2007)
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