米国を訪問中の宋永武(ソン・ヨンム)韓国国防長官は30日(現地時間)、米国のマティス国防長官、ホワイトハウスのマクマスター国家安全保障補佐官らと相次いで会談し、その席で韓国に米国の戦術核兵器を再配備する問題に言及した。韓国国防部(省に相当)が明らかにした。韓国政府高官が米国との公式会談で戦術核兵器の再配備問題に言及し、その事実がメディアに公表されるのは今回が初めてだ。北朝鮮の核とミサイルの脅威が急速に高まる中、1991年に撤収された米国の戦術核兵器を再配備すべきとの声は政界を中心に高まりつつあるが、韓国の歴代政権はこの問題に否定的な立場を取ってきた。
韓国政府のある当局者はこの日、戦術核の再配備問題について記者団に「(宋長官が)マクマスター補佐官に、野党やメディアから戦術核兵器の再配備を求める声が出ている事実を伝えた」と明らかにした。宋長官はマティス長官にも同じような話をしたという。ただ米国側がこれにどのような反応を示したかは明らかになっていない。韓国国防部の当局者は「安全保障環境が非常に厳しくなっているため、(韓国の)国会や保守層の間では懸念を解消するための方策が議論されているが、このことを宋長官は米国側に伝えた。その際、宋長官はこの問題(戦術核兵器の再配備)にも言及したようだ」と説明した。
一方で韓国では大統領府や国防部の別の関係者が「韓国政府としてこれを進めるという話ではなく、国内の雰囲気を伝えたにすぎない」という趣旨のコメントをしている。国防部の徐柱錫(ソ・ジュソク)次官もこの日、国会国防委員会の全体会議に出席した際「(戦術核の再配備問題は)韓米両国の国防長官が会談で互いに言及した程度と聞いてはいるが、深い話し合いは行われていないようだ」とした上で「韓米両国の間で具体的な協議は行われておらず、米国も消極的だ」と伝えた。