JR国立駅前の景観問題が再燃している。国立市民に親しまれた「赤い三角屋根」の旧駅舎の復元工事が始まる駅南口に、高さ20メートルの商業ビル2棟を建設する計画が持ち上がっているためだ。事業者のJR東日本に、地元経済団体は「駅の景観を尊重した計画にしてほしい」と訴える。市議会でも近く論議が始まる見通しだ。
JR東日本は2020年の完成を目指し、国立駅南口の敷地内に2棟の商業ビルを建設する計画をまとめ、6月下旬、市内の経済団体関係者に説明を始めた。JRによると、高さは4階建て相当の20メートルを想定。延べ床面積は1棟が3000平方メートル、もう1棟はその半分の1500平方メートルを予定している。
地元の経済・観光団体がこの計画に警戒を強めているのは、市が20年に復元する予定の旧駅舎を、東西から挟む形で2棟のビルが建設され「せっかく再建される旧駅舎がかすんでしまう」からだ。
高さ約12メートルの木造の旧駅舎は1926(大正15)年の駅開業当時からあり「街のシンボル」として親しまれてきた。90年代、駅の高架化に伴い駅舎を解体する計画が浮上。保存を求める市民運動が起き、結局、市が解体した部材を保存し将来、復元させることで決着した。
こうした経緯から、国立市商工会など4団体は8月25日、JRのビル建設計画を考えるシンポジウムを市内で開催。約170人が参加した。市商工会の五十嵐一典会長(76)は取材に「歴史や景観を大切にして、将来を見越した開発が必要だ」と話し、計画の再考を求めている。
JR東日本八王子支社は、計画について取材に「地域の皆さんに丁寧に説明し、理解を得ながら進めたい」と話している。【川上克己、インターン・中尾敏宏、小磯佑輔】