ニューライトの動きについてのいい素材がないので、そういうときは神戸大学付属図書館を訪問して昔の新聞を読んで見ることにします。
この記事によれば、朝鮮総督府は律儀に朝鮮人の教育を行っているが、大阪朝日新聞はそんなのは適当にやっとけばいいという考えだったようです。
<鮮人同化と教育>
六日 京城 氷魂生
大阪朝日新聞 明治45年(1912年)5月24日(併合から2年目)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00472159&TYPE=HTML_FILE&POS=1&TOP_METAID=00472159
韓国の併合は形式ではすまない。併合の実を挙げなければ真の併合とはならない。我々は総督政治に対して国家百年の長計というものを問い糺したいのであるが、不幸にしていまだに要領を得るまでに聞くことができない。朝鮮が果して何年後に母国の補助を離れて独立経営をすることができるかという問題に対してさえも、一部一局の長官は、我々が納得できる明確な答えを与えない。行政の整理がどうとか憲兵警察がどうとか言って見たところで、目先ばかりに気が利いて、その実遠大の謀計が欠けているのではないかと思われる。無用の形式を省き冗費を節減し、又は人心の動乱を防ぎ、罪人を検挙し良民の生命財産を保護するのは官吏がなすべき当然の責務であって取り立てて言うを要しない。我々が問わんとするのは朝鮮百年の長計である。
朝鮮人の同化ということは、新領土を開拓統治する上において誰しも異議のある問題ではない。総督政治の方針を見ても、この同化主義に最も重きを置いているように見える。しかしながら、その手段方法に至っては疑いを抱かざるを得ない。当局のやり口を見ると、裁判、徴税、宗教、教育、その他各種の法令、規則、訓示に限らず、大体において朝鮮古来の風俗習慣を参酌して、この同化主義を遂行するよう努めている印象がある。中でも、教育をもって鮮人同化の一大要義としている点も、歴々として現れている。
最近召集された公立普通学校長に対する総督の訓示を見ても、総督は、朝鮮における教育の方法は、内地におけるものをそのまま移して採用すべきものではない、朝鮮の歴史習慣を研究し、時勢を察し、人情を斟酌し、これに適合する方法を講ずべしとの趣旨を明言している。以上の精神は皆すこぶる可である。しかし、これらのこと、中でも教育の一事をもってして、鮮人同化の一大目的が達せられるか否かに至っては、我々は大いに疑わざるを得ない。
宗教によって固められた信念及び現代人間の行為制裁の力を有するほどの宗教というものがない朝鮮は、日本と同文同種の国柄であるからそれだけ他の宗教国に比べて同化ということは割合に容易であろう。しかしながら、教育の一事をもってその功を全うするほど容易でもあるまい。
総督の施政方針及び総督の訓示に基いて、いわゆる時勢に適し、人情に合し、朝鮮古来の歴史習慣を無視しない教育ができたとし、それで同化の目的が達せられるのか否かが既に疑問である上に、今日鮮人教育の任にあたる教育者たちのやり口を見ると、多くは教育をもって鮮人同化の方便とする大乗の意義を解せず、ただ真面目に、熱心に、露骨に言えば馬鹿正直に鮮人を教育し、知識を注入し、もって忠良なる臣民を作り、国家有用の人材を養成するということをもって本義としているらしい。忠良なる臣民、国家有用の人材も結構であるが、総督の言う時勢の状況を顧みずして、内地におけるものの直訳をもって鮮人に臨むことありとせんか。ある意味では、彼らに与える刃は即ち我らを殺す刃となると言い得ることにもなる。朝鮮人に果して今日のような新教育を施す必要があるのかどうか。
毎年多くの経費を投じて、各道の至るところに教育の機関を設けることは、もし鮮人の同化に大きな効果があると言うなら我々も言うことはないが、もしその効果がないだけでなくかえって有害の点があるとするなら、経費多端の今日、鮮人の教育はある程度に止め、朝鮮在来の寺子屋に少し毛の生えたものにしておいても差し支えはないと思う。現に、ある道ではしきりに学校の建設、教育の普及を叫んでいるかと思えば、ある道では機会のあるごとにこれを廃し、かつ教育の普及を躊躇している実例もある。これらは教育行政が統一を欠いている一例であると同時に、同化主義に対する意見が人によって異なっている証拠とも見られるではないか。こんなことでどうして鮮民同化の大目的が達せられるものか。
だからと言って、新領土の施政には徹頭徹尾同化主義をないがしろにするわけには行かないが、今日のような教育では遺憾ながらだめである。仮に時勢に適して人情に合致した教育が統一的に完全に行われたとしても、鮮人の同化は容易なことではない。したがって、我々は、この際どうしても移民の必要性を叫ばなければならない。同化主義が実行できるか否かは理屈の問題ではなく数の問題である。内地人が多く朝鮮に入り込めばそれだけ直ちに同化が実行されるのである。朝鮮の役で捕虜として日本に連れ帰った者は日本に同化した。また、その時朝鮮に留まった日本人は、すっかり朝鮮に同化した例もある。1300百万の人口に対してわずかに20万の母国人が来て、やれ教育がどうの学校がどうのと力み返って見たところで、どうして同化の功が奏せられるものか。むしろ、同化ができないだけでなく、現に母国人、特に教育家などはかえって彼ら朝鮮人のために同化されつつあるではないか。
我々は必ずしも教育の施策に対して理由なく反対するものではない。しかしながら、当局が教育の施策を必要と言うならば、それと共に、少し移民のことにも注意する必要があると思う。しかし、移民に対する当局の方針を糺して見ると、これも要領を得ない。移民請負条件の下に毎年30万円の補助を受けて、8年間に50万人の移民を実行すると誓った東拓会社は何をしているかと言えば、言うに忍びない今日の状態である。それなのに、その監督者たる総督府は何らの命令干渉をなすこともなく、ただその私利私営を計るに任せている。こういう状態を見るにつけ、我々は鮮人の同化を悲観せざるを得ない。
データ作成:2003.9 神戸大学附属図書館
(ただし、読みやすいように適当に現代文ふうに改めた。)
大阪朝日新聞の説明
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/sinbun/snlist/260l.html
|
転載歓迎不都合な衝撃の真実世界はプロパガンダにhttp://blogs.yahoo.co.jp/danpey39/31005844.htmlみちみちている。http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=694856http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=694857http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=611062http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=580655http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=591811諸兄これを見ておいてください。
2008/1/21(月) 午前 0:33 [ - ] 返信する
これはすごい資料ですね、いつも第一級の資料を提供してくれますね。感謝
2008/1/21(月) 午後 1:07
返信する
まあ新聞記事ですから、第一級かどうかは良く分かりませんが、この時期っていわゆる武断統治の時期ですが、朝鮮の実情に合わせた教育をやってたんですね。
2008/1/21(月) 午後 8:14 [ chaamiey ] 返信する