宮城-岩手旅行記~グルメ編~

夏季休暇を利用して宮城及び岩手まで行ってきた。
旅行記自体はDG-law先生が立派なものを書いてくださったので、私は目先を変えて旅先で食したものについてのレポートを記そうと思う。

8月13日-仙台-

コミケ後、14:30頃東京を発ち、この日はチェックポイントである宮城県仙台市に一泊。せっかく仙台に来たということで、夕飯は牛タンをいただくことにした。

お邪魔したのは、牛たんのせんだい 本店。店に着いた頃には午後九時を回っていたというのに、それでも客待ちが発生しているという繁盛ぶりだった。

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15分ほど待った後、店内へ。
ひとまず、お目当ての牛たん定食、そして本日のおすすめとして紹介されていた牛たんユッケを注文した。

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さっそく、牛たんを一口。これがうまい。
肉厚で歯ごたえがあるのに柔らかいという、今まで経験したことのない食感。噛んだ瞬間はぎゅっと反発があるのに、次の瞬間ジャキンッとあっさり噛み切れる様はまるで歯がハサミにでもなったかのようだった。そして、ひとつ噛むたびに肉の中からとめどなく溢れ出てくるうえ、濃くつけられた塩味がその旨味を一層引き立ててくれる。 
次いでごはんを口に運べば、麦入り飯特有の固めのご飯粒がころころと口の中にひろがり、牛たんを包んでくれる。これが相性抜群で、どんどんごはんが欲しくなる。もし次にこの店に行くことがあれば、ごはんは大盛でいただこうと思う。

次に牛たんユッケ。はじめにメニューを見たときには、牛たんのユッケなんてあるのかと驚いた。ユッケ特有のトロトロした食感なのか、それとも牛たんらしく歯ごたえがある食べごこちなのか、期待に胸を膨らませながら一口目を口に運ぶ。
結論から言うと、この牛たんユッケは牛たんの生ハム+卵黄といった感じで、想像していたものとはだいぶ違うものだった。けれど、これはこれでおいしい。塩漬けされて水分が抜けた牛たんは、焼いた牛たんよりむしろ歯ごたえがあり、またハム肉特有の風味も強い。おかずというよりは、むしろお酒のおつまみに良くあいそうだ。お店としてもかなり豊富にお酒を取り揃えていたので、酒好きの人にはたまらないだろうと思う。
…もっとも、残念ながら私は下戸なのだけれども。

結論として、この日の夕食は大満足だった。このお店で牛たんを食べるまで、牛たんというものがここまでおいしいものだとは知らなかった。普段、焼き肉屋や出店で食べていた牛たんは、いったい何だったのだろう。私の中で、牛たんに対する認識が変わってしまった。これを読んでいる方の中に仙台へ赴く予定がある方は*1、ぜひ、一度食べてみることをお勧めしたい。

8月14日-松島・平泉-

朝早くに仙台を発ち、第一目的地の松島に到着。
ここではご当地グルメとして名高い「ずんだ」を使用したパフェをいただいた。

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瑞巌寺門前に店舗を構える伊達なお土産堂の、その名も「ずんだプチパフェ」。
ずんだ餅とずんだソフトクリームが一度に楽しめるのは、頻繁に訪れる機会がない観光客にとってはありがたい。

まずはずんだ餅をいただく。小豆餡とは明確に違うふんわりとした食感としつこさのない甘さが口の中に広がり、同時に枝豆の風味が鼻を抜けてゆくのが心地いい。そのなかにわずかに感じる塩味か、一層お餅とずんだの甘さを引き出してくれる。また、お餅そのものももっちりとしていて甘く、ずんだとよく合う。

次に、ソフトクリームと合わせて食べる。冷たいソフトクリームと温かいお餅が口の中で絡み合って実においしい。洋風のソフトクリームと和風のずんだ、それぞれのもつ異なる甘味が一体となって誕生する新しいスイーツは、温、冷、和、洋の四つの楽しみが代わるがわる押し寄せて、最後の一口まで飽きることなく食べることができた。

ずんだは極端に足が早いため、ご当地でないとなかなかお目にかかることができない、まさにご当地グルメと呼ぶにふさわしいものだが、味そのものも逸品であることを思い知らされた。南東北へお寄りの際は、是非ご賞味を。

 

そのまま平泉へ移動。この日の昼食は平泉でとることにした。
お邪魔したのは、中尊寺の参道中腹にお店を構えるそば処義家
苔むした屋根が参道の雰囲気と相まっていい感じである。

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ここでは人生初のわんこそばに挑戦。メニューではわんこそばの量が一重、二重、三重、から選べるようになっていたが、ひとまず一重(わんこ12杯)を注文した。

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三人分ともなると見た目でまず圧倒される。すごい数のお椀だ。
さっそく一杯目をいただく。お蕎麦をすすると、昆布だしの優しい甘味が口の中に広がる。じつは私、昆布だしのお蕎麦をいただくのは今回が初めてだったのだが、これが非常においしかった。カツオだしのつゆよりもしつこくなく、それでいて前述したとおり、とても優しい甘味がある。さらに、付け合わせのとろろや豊富な薬味のおかけでさまざまな味、風味を楽しむことができるので飽きが来ない。お蕎麦を一杯食べるたび、次はどの薬味を入れようかと考えるて、味の変化を楽しんむ。そうして気づけば、あれだけあったはずのお椀はあっという間に食べきってしまった。
初めこそわんこそばと普通のそばって何が違うのか、と思っていたが、なるほど「わんこそば」という提供形式をとることで、普通に食べるお蕎麦とは一風変わった楽しみ方ができるのだなと知り、良い経験になった。

この日はその後花巻の温泉旅館で一泊した。

8月15日-遠野-

翌日、旅館で朝食を済ませ、遠野へと向かう。
昔ながらの曲がり屋やカッパ淵をめぐりつつ、伝承園で昼食となった。
メニューを見たところ、どうやら郷土食の「ひっつみ」と「焼き餅」が推しのご様子。個人的には歩き回った後でごはんとお肉が食べたい気分だったため、ひっつみ+ミニチャーシュー丼のひっつみAセットと焼き餅を注文した。

焼き餅のほうは待ち時間なしですぐに出てきた。大きさはおむすび大で、餃子のように具を餅で包んである。さっそく一口かじる。もちもちしながらも歯ごたえがある食感で食べ応えがある。すると、なかからシロップ状になった黒砂糖が溢れ出てきた。こぼれないよう急いで食べ進むと、今度は味噌とクルミが現れる。黒砂糖のしっかりした甘さと味噌のしょっぱさが合わさり、さらにクルミのカリカリした触感と香ばしい風味が良いアクセントとなっていている。
調べたところ焼き餅をたべられるのはここ伝承園と、道の駅遠野風の丘だけのようだ。お立ち寄りの際は、食事の用がなくともおやつとしておすすめしたい。待ち時間もないし、ラップにくるんでくれるのでなんなら食べ歩きもできるだろう。

そうして焼き餅を食べている間に、ひっつみAセットが出てきた。
まずはチャーシュー丼といただくと、驚くことにこれがおいしかった。てっきりパサパサのチャーシューがのっかったごはんが出てくるのかと思ったが、肉は柔らかく、良い塩梅に焦げ目がついていて非常に香ばしい。たっぷりとかかっているタレも味か濃く、食が進む。どうせ観光地食堂だろうと見くびっていたが、こればどうやらひっつみにも期待ができそうだ。

そう思い、早速ひっつみに手を伸ばす。ひっつみという料理は初めて食べたが、練った小麦粉をひっつまんでなべに放り込むことからそう呼ばれるらしい。なるほど、箸でつかんでみると、うどんやほうとうのような麺状にはなっておらず、分厚いワンタンのようである。たべてみると、昔お婆ちゃんの家で食べた手作りのお団子を思い出す食感である。もちもち感はあるものの、さっくりと噛み切れる。味のほうも、鶏がらのスープが良く絡んでいておいしい。あっさりした触感としっかりした味付けのおかげでさくさくと食べ進むことができ、あっというまに食べ終えてしまった。

失礼な話、観光地で出てくる郷土料理には味に不安もあったのだけれど、まったくの杞憂だった。

この日はこの後八幡平へ向かい、山頂の宿で一泊した。

8月16日-小岩井農場-

翌日、八幡平を観光した後小岩井農場へと向かい、まきば園内の山麓館農場レストランで昼食。少々奮発してWステーキ2種盛りとチーズケーキを注文した。

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正直な話、ここで食べたものは全部おいしかった。暴力的なまでの素材パワーに、私の味覚中枢はあっけなく陥落。なにを口に入れても新鮮。野菜嫌いの私がサラダバーをお替りしたほどで、不満があるとすれば「もっと食べたい」というくらいである。ヒレとサーロインのステーキはどちらも絶品。ナイフを使わずともフォークだけでも食べられるんじゃないかというほどの圧倒的な柔らかさと、口に入れた瞬間広がる肉のうまみ。
サーロインのほうは中までしっかり火が通っており、脂がのっていて柔らかい王道のステーキ。対して、ヒレのほうは赤身が残るレア状態。厚い肉は噛むとぎゅっと歯ごたえがあり、赤身肉のうまみがぎっしりと詰まっている。部位の違い、焼き方の違いをそれぞれ楽しめる。最高の一言だった。

残念なことに、このWステーキ2種盛りは7月から8月までの期間限定メニューであるらしい。今回の旅行で食べることができたのは幸運だった。

食後のチーズケーキも絶品だったが、何より、セットでついてくる牛乳が最高だった。
牧場ご当地だからこそ提供可能な鮮度抜群のしぼりたて生乳は、市販の牛乳とは一線を画す味わいで、甘く濃厚でありながら牛乳特有の臭みがまったく存在せず、すっきりとした心地よい風味が鼻を抜けていくのにはただただ感動である。私がこれまで飲んできた牛乳は「飲みやすいけど水っぽい」か「濃厚だけどくどい」のどちらかだったが、沸かし殺菌していないだけでこれほど違うとは思わなかった。銀の匙で八軒君が五体投地していたのも納得だ。
しかし、これでも低温殺菌しているというのだから、真の生乳はどれほどのものなのか気になるところ。食品衛生法の関係で流通は一切していないが、いつか飲んでみたいものである。

ちなみに、この牛乳は「小岩井低温殺菌牛乳」としてまきば園内のショップでも販売しているが、よっぽど品質管理を攻めているらしく「園内で飲めよ、絶対に持ち帰るなよ!(意訳)」と注釈があった。この味が牧場へ行かないと楽しめないのはざんねんだなぁ…。

――などと思っていたところ、最近発送用の販売も始めたらしい。

TG3 低温殺菌牛乳3本セット | 小岩井農場オンラインショップ

お金に余裕があるときに取り寄せてみようと思う。

 

そんなこんなで、今回の旅行は終了となった。美味しいものをたくさん食べることができて大満足である。 具体的には、半年以上放置していたブログを再開するぐらいには実りがあった。 岩手県がこれほど食に恵まれた土地だとは知らなかった。


ところで、私が好きなとある王様*2の言葉に、以下のようなものがある。

100パーセント満足した旅は不幸だ。もうその場所へ行く動機を失う。

今回の旅行には大いに満足したが、まだまだ猊鼻渓浄土ヶ浜、北山崎、龍泉洞などなど、見ていないものは多くあるので、いずれまた訪れる機会があると思う。

いまからもっとおいしいものがないか、チェックしておかなければ。

*1:じつは東京にも支店があるので、東京の方も

*2:具体的には、サバンナの王様である。二番目の。