明け渡しと鍵の返却をする
修繕負担で納得がいかなければ支払いは拒否しましょう
荷物の搬出とトラックへの積み込みが終わり、トラックは無事新居へと出発する準備が整いました。
ここで搬入開始時刻や、荷物の受け入れ態勢などについて、業者ともう1度確認しておきましょう。
あと残されている作業は、物件を明け渡し鍵を返却することだけです。
このことについては、貸し主または不動産仲介業者に解約予告をする段階と、引越しの挨拶をする段階でしっかり打ち合わせをしているはずです。
一般的に引越しの当日、貸し主が立ち会って部屋を明け渡し、鍵を返却するのが通常の流れです。
ただ、契約期間の関係で明け渡すまでに余裕があり、引越し当日ではなく後日掃除をした後に明け渡す、と言ったようなケースも特に近隣への引越しではあり得ます。
そのような場合には、解約予告、または引越しの挨拶をする段階で、引越し日と明け渡し日が違う事をしっかり話して了承を取っておきましょう。
貸し主が明け渡しに立ち会う場合
大家が近所に住んでいたり、不動産仲介業者が近隣の場合には、「明け渡しの準備が出来たら声をかけてください」と言われるようなケースが多いでしょう。
その場合、貸し主または業者が立ち会い、部屋の状態を確認して、借り主の負担で修繕する箇所と、おおまかの見積もり金額を提示されます。
この時に大変重要なのは、借り主の負担で修繕しないといけない損耗の範囲です。
畳やふすまが日焼けしたなどの、通常の使用での自然の損耗は、原則的に貸し主負担で修繕することになっています。これは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められています。
裁判でも判例が数多く出されています。
借り主が負担すべき修繕箇所は、例えばカーペットや畳にたばこの焦げ跡をつけた場合や、ものを落としてタイルや床に傷をつけたような、明らかに借り主の過失による修繕が必要になった部分です。
それ以外の通常使用の自然損耗箇所は、一切修繕費用を負担する必要はありません。
ですから、そういった借り主負担ではない部分について、修繕費の支払を求められた時には断固拒否をしましょう。
大家など、貸し主が書面を用意し、それに借り主負担の修繕箇所を記入し捺印やサインを求めるケースがありますが、決して簡単に応じてはいけません。
引越しで忙しかったとしても、じっくり確認し納得できない箇所は説明を求め、その場では結論を出さずにしっかり交渉を続けるべきです。
交渉の際に役に立つのは、入居時そして退去時に撮った写真やビデオです。これは必ず撮っておくようにすることをお勧めします。
貸し主が明け渡しに立ち会わない場合
大家が近所に住んでいなかったり、不動産仲介業者が遠方であったりといった理由で、明け渡しの際に貸し主が立ち会わないといったケースもあります。
しかし、この場合修繕箇所の確認が双方でできないことになるので、明け渡しの打ち合わせの際に「ぜひ立ち会ってほしい」とお願いした方がよいでしょう。
それでもどうしても立ち会わないと言われた場合には、後日不当な修繕費用を請求されることのないように、退去時に写真やビデオを細かく撮って残しておくようにしましょう。
預かっていた鍵を返却します
大家など貸し主立ち会いで明け渡しを行う場合には、その時に鍵やエアコンのリモコンなど預かっていたものを全て返却しましょう。これで明け渡しは全て完了し、新居に向かって出発します。
立ち会いがない場合には、管理を委託されている不動産仲介業者などに直接鍵を返却することになるのが通常の流れです。この場合は解約予告の際などに確認した明け渡しと鍵の返却方法により、次のようなケースが考えられます。
引越しの当日に返却
引越しの当日に明け渡しと鍵の返却をするという約束になっている場合、必ず引越し当日に明け渡しをし鍵を返却しなければいけません。
賃貸契約で明け渡し期限まで余裕があったとしても、近隣の引越し以外ではあらためて明け渡しと鍵の返却のために旧居まで来るのは大変です。二度手間にならないためにも、中距離以上の引越しでは当日に明け渡しと鍵の返却をする方がよいでしょう。
ただし、明け渡しの貸し主が立ち会わない場合には、鍵の返却のために引越し前に不動産業者などに立ち寄る必要が出てきます。時間的に余裕があればよいですが、そうでないと新居に引越し業者が到着したのに、本人がおらず搬入ができないと言った事態も起こりかねません。
家族や友人と手分けをするなど、よく打ち合わせをして効率のよい計画を立てておく必要があります。
引越しの翌日以降に返却
明け渡し期限に余裕があって、引越し日と明け渡し日を別日にすると言った約束になっている場合には、引越しの翌日以降の約束の日に明け渡しと鍵の返却を行います。
近隣の引越しであれば、この方が旧居の掃除も落ち着いてでき、新居への搬入作業に支障がないのでよいでしょう。
鍵の紛失には注意しましょう
入居時に預かった鍵を紛失した場合には、鍵の交換費用を請求されるのが普通です。渡された鍵には番号が刻印されていて、貸し主は必ず控えているのでスペアキーを返却すればすぐにわかってしまいます。
鍵の交換費用は、鍵の種類にもよりますが、通常1~2万円程度です。
これを防ぐ方法としては、入居時に鍵を渡されたらすぐにスペアキーを必要本数作成し、そちらを使うようにすることです。預かったマスターキーは賃貸契約書と一緒に大切に保管しておけば、紛失することもないでしょう。