ベネズエラ選管、投票者数の水増しを否定 制憲議会選挙で
南米ベネズエラの選挙管理委員会は2日、先月30日に実施された制憲議会選挙の投票者率が水増しされているとの疑惑を否定した。
政府は、ニコラス・マドゥーロ大統領が内外の反対を押し切って実施した新議会の選挙で800万人以上が投票し、投票率は41.5%に上ったと発表している。
電子投票システムを提供した英スマートマティック社は、投票総数は政府発表よりも少なくとも100万人少ないと指摘した。
同社のアントニオ・ムヒカ最高経営責任者(CEO)はロンドンで記者団に対し、「非常に残念ながら、7月30日の日曜日に実施されたベネズエラ制憲議会選挙の投票者数は操作されたとお知らせしなくてはならない」と語った。
しかし、選管のティビサイ・ルセナ委員長は、スマートマティック社が「根拠のない推測で無責任な主張」をしていると反論した。
マドゥーロ大統領は新たな議会が4日に発足すると述べた。野党勢力はマドゥーロ大統領が政権にとどまるために新議会を制定しようとしていると批判している。
野党勢力は選挙をボイコットした一方で、先月16日に非公式の国民投票を実施。制憲議会の制定に反対する票が700万票以上集まったとしている。
30日の選挙での投票率は、政府支持率の指標だとみられている。
野党が多数を占める国民議会は、スマートマティック社の主張について刑事捜査を開始する決議を行った。
一方、ロイター通信は、投票締め切り2時間前の時点で投票総数が400万票を下回っていたことを示す選管の内部文書があると報じた。
2日には、マドゥーロ大統領の妻と息子を含む制憲議会の当選者たちの認定が始まった。新議員の宣誓も行われており、新議会は3日に初会議を行う予定。
マドゥーロ大統領は、憲法を改正し国民議会の権限を奪うことができる新議会の制定によって、何カ月も続いた混乱を終わらせられると述べている。
野党勢力は制憲議会の発足に合わせ、デモ行進などの新たな抗議活動を呼びかけている。
ベネズエラの政治・経済危機は収束しておらず、石油価格の低迷が同国の社会福祉政策に打撃を与えている。政府に対する抗議活動で何十人もの人が死亡した。
しかし、政権維持に不可欠な軍は、依然として政府を支持している。