2017年8月31日 18:03
2017年8月31日から9月1日の日程で「イノベーション・ジャパン2017」がお台場にある東京ビッグサイトにて開催中だ。国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ゾーン内で出展している株式会社人機一体は、現在開発中の人型重機の歩行アルゴリズム実証実験機である「パワーペダル ver.4」の実機をデモンストレーションしている。
ロボットは二足歩行タイプ。重さはおおよそ200kg程度。片足の足下駄部分だけで30kg程度あるという。
力を双方向に伝えるバイラテラル制御のマスタースレイブ方式で操縦するロボットで、人機一体独自の「力順送型バイラテラル制御」技術によって操作者は、ロボットの重さや力を感覚として感じながら、ほとんど遅れなく操作し、大きな力を出すことができる。
マスター(操作者)からスレイブ(ロボット)だけでなく、スレイブ側からもマスター側へ信号が伝えられており、直感的に動かすことができる。
デモを行なっているのは株式会社人機一体 代表取締役社長で、立命館大学 総合科学技術研究機構 ロボティクス研究センター 客員教授の金岡克弥氏。ロボットが出す力を人間が感じながら操作することにこだわって研究を進めている研究者として知られている。
金岡氏が右足を動かすとロボットの右足が、左足を動かすとロボットの左足が動く。小刻みに動かすとロボットも小刻みに動く。左右だけでなく、屈伸運動も行なえる。
ロボットの足を地面に接地させると、二足でのオートバランス状態に移行し、ロボット自身が自分でバランスをとる。軌道制御ではなく、力制御でバランスを取っている。でこぼこした場所(不整地)であってもロボット自体が力を感じて適切にボディを制御する。足元の板を適当に動かしても柔らかに追従して、常に力の変化を感じながらバランスを取り続ける。
外側から押すと押し返すし、引くと逆に引っ張ってバランスをとる。前後左右、さまざまな動的な外乱になめらかに追従して対応できる。なお、この状態でも操作者が操作を行なうことができる。後で筆者も押したり引いたりさせてもらったが、外から見ていて想像していたのとは異なる、なんとも不思議な力感だった。
オートバランスによって、原則的にはバランスを崩すような動きはできないようになっているが、それをいったん外して、体をわざと大きく傾けさせると、片足だけでバランスを取らせることもできる。十分に片足に重さが乗ったと判断したら、自分で片足バランス状態に移行する。
金岡氏の株式会社人機一体では、将来的に4m級の人型重機を作ることを目標としている。今回公開した機体で実験を重ねたのち、4m級の人型重機ロボットを作るという。これまでにない動きができる身体能力を拡張するロボットで世の中を変えることが金岡氏の目標だ。