「櫻井よしこ氏の記述はフェイクニュース」植村隆氏が産経に訂正求め、調停申し立て
元朝日新聞記者の植村隆氏(59)が9月1日、産経新聞に掲載された事実に反する記事により名誉毀損されたとして、同社に記事の訂正を求める民事調停を東京簡裁に起こした。
●櫻井氏が論説で書いた内容は?
植村氏は1991年、朝日新聞社在籍中に慰安婦として韓国で最初に名乗り出た金学順さんについての署名記事を書いた。植村氏は2014年に同社を退職したが、2014年に週刊誌が記事の内容を「捏造」と報道したことをきっかけに、ネットを中心にバッシングが発生した。
今回訂正を求めているのは、2014年3月3日の産経新聞に掲載された櫻井よしこ氏の「美しき勁き国へ『真実ゆがめる朝日報道』」という論説の一部だ。
櫻井氏は論説の中で、「91年8月11日、大阪朝日の社会面一面で、植村隆氏が「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』」を報じた。この女性、金学順氏は後に東京地裁に裁判を起こし、訴状で、14歳で継父に40円で売られ、3年後、17歳のとき再び継父に売られたと書いている」として、植村氏を批判している。
●植村氏の反論
これに対して植村氏は「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件の訴状を見ると、金氏が騙されたという記載はないし、誰かに売られたという記載はない。訴状にないことをあたかも訴状にあるかのように書いて、私の記事を批判している」と訴えた。
代理人の神原元弁護士は「最初に2016年の7月に産経新聞社に訂正の要求書を出した。その後やりとりしているが、記事訂正については対応してくれていない」と調停申し立ての経緯を説明。「産経新聞では2015年6月8日に、植村さんに関する記述が間違っている記事に関した『おわび』が掲載されたこともある。当然報道機関であれば訂正してもらえると考えている」といい、記事を訂正すれば、賠償金は求めないとした。
植村氏は「新聞社としての基本的なルール、事実に基づいて記事を書くようにしてほしい。今世の中では、フェイクニュースという言葉が流布している。この櫻井氏の記述も、その類ではないでしょうか」と話した。