阪急電鉄が大阪(伊丹)空港へ乗り入れる新線の設置を検討していることが1日、分かった。具体的なルートは未定だが、阪急宝塚線の曽根駅(大阪府豊中市)からの約3キロを地下で結ぶ案が浮上しており、実現すれば大阪市中心部の梅田と同空港が初めて鉄道路線で直結する。同社は国土交通省などと需要や採算性を慎重に協議した上で事業化の可否を判断する。
大阪空港に乗り入れる鉄道は現在、大阪モノレールのみで、梅田など大阪市中心部からは乗り換えが必要。直通バスを利用するケースも多いため、阪急は直結の路線ができれば一定の利用があると見込んでいる。実現すれば、神戸・阪神間からのアクセスでも利便性が高まりそうだ。
ただ事業費は1千億円規模になるとみられ、市街地の大規模な地下工事が必要なことから、さらに膨れ上がる可能性がある。このため需要予測や採算性の検討次第では、実現は難航も予想される。
大阪市中心部の鉄道新設を巡っては、訪日観光客の増加で活況が続く関西空港へのアクセス改善を目指し、大阪駅北側と難波付近を結ぶ「なにわ筋線」の2031年の開業が見込まれている。これに加えて阪急の新線が実現すれば、関空、大阪の両空港間の移動時間を短縮するなどの効果も期待される。
石井啓一国土交通相は1日の閣議後の記者会見で「阪急が(新線を)構想しているのは聞いている。まずは鉄道事業者や関係自治体で検討を進めることが重要だ」と述べた。