目次
- サイバーパンクとは?
- リバイバルがおこりつつある
- サイバーパンクはMVにも使われてきた
- 近未来都市・札幌 「chikyunokiki」
- 未来を危機的に描いた 「CORIN」
- 香港=サイバーパンク 「MONDO GROSSO」
- サイバーパンクが生まれる瞬間 「Lycoriscoris」
- 都市こそが・・・ 「Jemapur」
- 狂気の映像 「Björk」
- 吸収し増殖するロボ 「Flying Lotus」
- 国民的ダンスユニットもロボ化 「Perfume」
- おわりに
サイバーパンクとは
このタイトルで来てくださった方は知ってると思うけども、一応ご紹介。
いわゆるSFのサブジャンルの一つで、特徴はこの映像のように、アンダーグラウンドで暴力的な世界観。
いかがわしいネオン街には大量の湿ったケーブルが這ってて、人は体に機械を埋め込んで能力を向上させていて、AIが進歩し人間とアンドロイドの境が曖昧になっているというアレ・・・。
宇宙戦争してるSFと違って、ドラックの売人とかが活躍しそうなのが特徴だろうか。あとやたら漢字が出てくるのは、映画『ブレードランナー』の影響。あの『攻殻機動隊』にも影響を与えた大傑作。
アメリカ人にとって、漢字というのは東洋=悪のイメージだった。サイバーパンクのアングラ感を加速させるための舞台装置として使われた。
リバイバルが起こりつつある
今年、サイバーパンクの何度目かのリバイバルが起こりつつある。関連事項を列記してみよう。
- 『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー2049』(10月公開)
- アニメ『攻殻機動隊』のハリウッド版『ゴースト・イン・ザ・シェル』(4月公開)
- 『攻殻機動隊』のアニメ続編制作決定
- アニメ『カウボーイビバップ』がアメリカで実写ドラマ化
- 漫画『BLAME!』が劇場アニメ化(5月公開)
- 漫画『わたしは真悟』のミュージカル化(昨年末から今年)
- 『ニューロマンサー』映画化
と色々あった。特に多くのサイバーパンクにとって原典となった『ブレードランナー』の続編と、あの『マトリックス』にも影響を与えた『攻殻機動隊』のアニメ続編が大きい。
サイバーパンクの原点となった『ニューロマンサー』は何度目かの映画化告知、やるやる詐欺にならないといいが。『デッドプール』の監督・脚本コンビで作るらしい。舞台が千葉シティなだけに、映像化して欲しい。
AIの急速な進歩
アニメ『PSYCHO-PASS』や『ニンジャスレイヤー』が流行った時も起こらなかったリバイバルが、今起ころうとしているのは、AIの急速な進歩が大きい。
ゲームAIが最後の砦だった囲碁でも最強になったのは記憶に新しい。もしかしたら私たちはサイバーパンクのあの世界へと移っていく過渡期にあるのかもしれない。
AIに人間が支配されたら・・・?という話が世間で囁かれる中、過去のサイバーパンク作品が見直されつつある。
リバイバルはくる。まだFF7のリメイクも控えてるし。
スゲーワクワクする。
サイバーパンクはMVにも使われてきた
その退廃的な世界観はビジュアルも優れている。そのため多くのMVに取り入れられてきた。今回は、最も関連度が高いと言える『電子音楽』をテーマにサイバーパンクのMVを見ていきたい。
近未来都市・札幌 chikyunokiki
エレクトロニカ色の強い札幌のバンド。札幌(というかすすきの?)を8bitなサイバーパンクにしてしまった。赤いバイクは『AKIRA』のオマージュか、「近未来回転寿司」行ってみたい。
エレクトロニカはサイバーパンクの退廃的な雰囲気とすごく相性がいい。「人間である」というアイデンティティが失われるサイバーパンクの不安定さが、歌詞とマッチする最高のMV。
未来を危機的に描いた CORIN
描かれる退廃的な未来都市の姿はサイバーパンクでありながらどこか抽象的。なんとなく寒色の中にネオンが浮かび上がってるイメージがあるので、赤は珍しい。そして突然のピカチュウと日本的な物の数々。
最後のキーボードを叩くシーンが狂気すぎて最高。CORIN(コリン)はオーストラリア在住のアーティスト。顔を見る限りだと日系人なのかな?
香港=サイバーパンク MONDO GROSSO
女優・満島ひかりが歌い踊ることでも話題のMV。香港で撮影。
香港=サイバーパンクだ。このネオンとアジアな雰囲気と入り組んだ町並みがあれば舞台装置は7割完成する。そこに電子音楽が加わるともう自動的にサイバーだ。ていうかダンスうますぎ。
MONDO GROSSO(モンド・グロッソ)は名トラックメイカー大沢伸一の別名義。
サイバーパンクが生まれる瞬間 Lycoriscoris
ここまではSFの世界観の中にある都市の姿を見てもらったが、これはもっと感動的なサイバーパンクが生まれていく瞬間だ。SF好きならウミガメの出産より泣ける。
うるさすぎないノイズが絶妙に落ち着く。Lycoriscoris (リコリスコリス)は東京在住のアーティスト。
去年の暮れに出た『横浜駅SF』を思い出す。無限に増殖する横浜駅が人類を管理するという、年中工事している横浜駅を皮肉った取っ付きやすいサイバーパンクだ。無料で読めたと思うので、興味のある人はぜひ。
都市こそが・・・ Jemapur
さっきの香港よりもSF感が希薄。でも「肉の若林」すらサイバーパンクに見える不思議。ラーメン食ってるだけでそう見えるのは『ブレードランナー』がそれだけすごかったということだろう。
あと音楽が電子的なのも大きい。これが長渕剛だったらこうはならない。都市+夜+電子音=サイバーパンクだ。
jemapur(ジェマパー)は焼津発のエレクトロニカ・アーティスト。
狂気の映像 Björk
Björk(ビョーク)が産んだ狂気の映像。やたら色気のあるアンドロイドの姿は、普通に怖い。
サイバーパンクに定番のテーマが、「機械を体に埋め込んだ人間と限りなく人間に近いアンドロイド、その差はどこにある?」というものだ。サイバーパンクにおいて人間とロボの境界は曖昧である。
吸収し増殖するロボ Flying Lotus
Flying Lotus(フライング・ロータス)はHIPHOPの名プロデューサーだが、この曲ではその色は薄い。
ロボが巨大化し都市を飲み込み、スクラップになるというLycoriscoris とは真逆の都市の消滅だ。
サイバーパンクのパンクとは反社会的であること、例えばほとんどの者が体に機械を埋め込んでいる中、自分だけは決して使わない、といった形だ。その世界を終わらせてしまう主人公もたくさん生まれてきた。このロボもその1人(?)と言えるかもしれない。
国民的ダンスユニットもロボ化 Perfume
もともとロボ感の強い曲を出していたけど、満を持してロボ化。
サイバーパンクとして見るなら、これは人間か?アンドロイドか?そもそも俺は人間なのか?人間ってなんだ?と答えのない思考の迷宮に迷い込んでしまうけども、そんなことを忘れてしまうくらいあ~ちゃんかわいい。
おわりに
さてさて、色々見てきてもらった。電子音楽編の次はHIPHOP編をやろうかなと思っている。サイバーパンクのアングラ感は相性がいいのか、ネタには事欠かない。
しかしサイバーパンクの文脈で語られる危機は、いったいどこまで現実になるんだろう。このスピードでAIが進化して行ったら、2050年くらいには答えが見れるかも知れない。楽しみなような怖いような。
それでは。