ハリル監督、新マジック用意！！　きょう勝てば６大会連続Ｗ杯

　勝てば６大会連続出場が決定する大一番のオーストラリア戦。バヒド・ハリルホジッチ監督（６５）は３０日の前日会見で「アレ、ニッポン！（行くぞ日本）」と大号令を発した。奇術師は過去Ｗ杯予選で５分け２敗と未勝利のオーストラリア対策として「新マジック」を用意。ホームでロシアＷ杯行きを決める覚悟だ。　

　会見を終えたハリル監督が、立ち去ろうとした時に脚を止めた。大きく息を吸うと「アレ、ニッポン。アレ、ニッポンと書いてください。メルシー」。天下分け目の決戦前夜。突如、指揮官は報道陣に対して異例の要望をした。

　「ロシアへの出場権は誰もただではくれない。自分たちで求めないと予選は突破できない。勇敢に決断力を持って行わないといけない」

　昨年１０月のアウェー戦では、相手を自陣に引き込み鋭いカウンターを繰り出して先制した。結果は１－１の引き分けで勝ち点１を獲得。しかし、同じ策は用いない。奇術師は「相手（オーストラリア）が知らない選手も入ってきた。今度はホームで少し形も変わる。勝つための武器を使っていきたい」と“新マジック”の披露を示唆した。

　Ｗ杯最終予選８戦で同じ先発１１人はない。毎度、手を変え品を変えてきた。今回は２５歳の柴崎や２１歳の井手口ら「速く走れる」新顔の先発が濃厚で、前回対戦から先発は９人入れ替わる見込みだ。「オーストラリアを自分のチームのように把握している。どういう形でくるのか、可能性が２つ見えた」と対策も数パターンを用意。中盤を逆三角形にした４－３－３で前線からの猛プレスでボールを奪い、攻め込む戦略を採用しそうだ。後の先を取るのでなく、機先を制す。ハリル監督は「私が必要とするのは１１人の戦士、サムライです」と語気を強めた。

　前日練習は豪雨の中で行われ、試合当日の気温は２０度前後の予報だ。指揮官が得意とする“走力戦”を仕掛けるのには適した条件がそろう。負ければ解任問題に発展する天王山。狙うは過去Ｗ杯予選で５分け２敗の宿敵から奇術で勝利をつかむのみ。「アレ、ニッポン！」。ロシアへと導くハリルマジックが開演する。　（占部哲也）