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PimoroniとRaspberry Pi愛好家が交流 「Raspberry Jam Tokyo #008」レポート

2017年8月31日(木)
高橋 正和

PimoroniはRaspberry Piの関連ハードウェアなどを開発し販売しているイギリスのサイトで、Raspberry Pi愛好家に親しまれている。このPimoroniから、ディレクターのPaul Beech氏と、Niko Kotilainen氏が8月に来日。それに合わせて、イベント「Raspberry Jam Tokyo #008」が、Japanese Raspberry Pi Users Groupの主催で8月8日に開催された。以下、スタッフに準ずる立場でレポートする。

Beech氏らの主な来日目的は、同時期に開催された「Maker Faire Tokyo 2017」と日本市場の視察だ。プライベートな来日のため(ちなみに初めての日本だという)、Raspberry Jam Tokyo #008は参加者をMaker(工作する人)たち中心に絞って小規模に開催。日本のMakerたちが自分の作品を見せながらPimoroniの人と会話する、BOF(Birds of a Feather)的なイベントとなった。なお、参加者でもMaker Feather Tokyo 2017にも出展した人が多くいた。

Beech氏は挨拶で「最初はドローンを安く作ろうとしたが、あまりうまくいかなかった。Raspberry Piが登場したので、そちらに移った」とPimoroniの背景を紹介。「今日は、みんながどんなものが欲しいかを聞きたい」と語った。なお、氏が「Raspberry Piを壊したことのある人」と参加者に尋ねると、Makerたちの集まりだけあって、ほとんどの人が手を挙げた。

左から、Japanese Raspberry Pi Users Groupの太田昌文氏、PimoroniのPaul Beech氏、Niko Kotilainen氏
左から、Japanese Raspberry Pi Users Groupの太田昌文氏、PimoroniのPaul Beech氏、Niko Kotilainen氏
各自の作品を手にPimoroniのBeech氏と会話
各自の作品を手にPimoroniのBeech氏と会話
自由に技術談義しているところ
自由に技術談義しているところ

参加者が自分の作品で自己紹介

イベントは、参加者が自己紹介で各自の作品を紹介する形式で進められた。

スタートアップ企業も何社か参加していた。そのうちIdein社は、一般にエッジAIと言われるような、末端機器で機械学習を実行する技術をRaspberry Piでデモした。学習は予めほかのコンピュータでしておき、そこで作られたモデルを使って、Raspberry Piで高速に画像認識などを実行する。Raspberry PiのGPUを最大限に活用するためのコンパイラやライブラリなども自分たちで作っているところが強みだということだ。

カメラに写っているものをRaspberry Pi Zeroで認識
カメラに写っているものをRaspberry Pi Zeroで認識
カメラに写った中から人間を認識
カメラに写った中から人間を認識

たまたま同日にKDDIによる買収を正式発表したソラコムの人も、会社というより個人の立場でデモした。エナジーハーベスティングのEnOceanやUART接続のLoRaWANをソラコムのサービスをRaspberry Piで使う例のほか、ソラコム回線経由で鉄道模型(いわく「機関車ト○マス」)を制御したり車両からのカメラ画像を受け取ったりするところを実演した。

ソラコム回線経由で鉄道模型を制御しカメラ画像を送信
ソラコム回線経由で鉄道模型を制御しカメラ画像を送信
エナジーハーベスティングのEnOceanとソラコム
エナジーハーベスティングのEnOceanとソラコム
UART接続のLoRaWANとソラコム
UART接続のLoRaWANとソラコム

OTON GLASSは、カメラを内蔵してRaspberry Piと組み合わせたメガネだ。カメラに写った文字情報を、クラウド経由で音声により読み上げる。もともと父親の失読症の補助のために作られたが、視覚障害者の補助や外国語の翻訳などにも対応するという。

メガネに内蔵したカメラに写った文字情報を読み上げるOTON GLASS
メガネに内蔵したカメラに写った文字情報を読み上げるOTON GLASS
OTON GLASSを装着したところ(モデルは筆者の知人)
OTON GLASSを装着したところ(モデルは筆者の知人)

DACなどのデジタルオーデイオ関連キットが付属する雑誌「DigiFi」のステレオサンド社は、それらの機器を使ったハイレゾ音楽再生を実演した。また、「オーディオマニアが喜ぶ」というアルミ削り出しのRaspberry Piケースも展示した。

雑誌「DigiFi」付属キットでハイレゾ音楽再生を実演
雑誌「DigiFi」付属キットでハイレゾ音楽再生を実演
「オーディオマニアが喜ぶ」というアルミ削り出しのRaspberry Piケース
「オーディオマニアが喜ぶ」というアルミ削り出しのRaspberry Piケース

「ゆるUnity電子工作部」は、「幼女ビンタVR」を実演した。VR空間の中のキャラにビンタされるというもので、画像だけでなくGVS(Galvanic Vestibular Stimulation、前庭電気刺激)も使っている。GVSは、頭に電気を流すことで加速度を感じさせるという技術だ。主な機能はPC上で動いているが、PCを直接接続すると電力によってPCが壊れるので、Raspberry Pi上のNode-REDを介して無線経由で制御しているとのことだった。

「幼女ビンタVR」を実演
「幼女ビンタVR」を実演
自作したGVSデバイス
自作したGVSデバイス

Raspberry Piを搭載したロボットを持参した人も多かった。

その1つとして、プログラミング制御ロボット教材のLEGO MINDSTORMS RCX(約10年前に販売終了)のコンピュータをRaspberry Pi Zeroに換装し、Raspberry Pi Zeroをプログラミングして踊るロボットにした人もいた。

LEGO MINDSTORMS RCXのコンピュータをRaspberry Pi Zeroに換装したロボット
LEGO MINDSTORMS RCXのコンピュータをRaspberry Pi Zeroに換装したロボット
かわりにRaspberry Pi Zeroが入っている
かわりにRaspberry Pi Zeroが入っている

複数台を持ち込んだ人もいた。1つめは、感情を表情で表現するオムニホイールのロボット。2つめは、ペンを差して絵を描く機能も付いたマイクロマウス。3つめは、GPSから現在地やその天気を表示や音声で知らせてくれるGPSビューアーだ。

そのほかにも、各種ロボットやHAT(拡張基板)、Raspberry Piを加工したものなどが各自により持ち込まれていた。3Dプリンターで作った、MZ-80などのクラシックパソコン風のRaspberry Piケースを持ってきた人もいた。

オムニホイールのロボット、マイクロマウス、GPSビューアー
オムニホイールのロボット、マイクロマウス、GPSビューアー
四脚ロボット
四脚ロボット
レンズを基盤に付けたカメラ風Raspberry Piと、Raspi 2を分解した薄型のもの
レンズを基盤に付けたカメラ風Raspberry Piと、Raspi 2を分解した薄型のもの
クラシックパソコン風やフロッピーディスク風のRaspberry Piケース
クラシックパソコン風やフロッピーディスク風のRaspberry Piケース

フリーランスのライター&編集者。IT系の書籍編集、雑誌編集、Web媒体記者などを経てフリーに。現在、「クラウドWatch」などのWeb媒体や雑誌などに幅広く執筆している。なお、同姓同名の方も多いのでご注意。

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