アメリカで人気がある精神分析理論の祖である、
ハインツ・コフートは
『相手の自己愛を満たしてあげて、自分の自己愛も満たしてもらい、お互いがギブ&テイクの成熟した依存関係になることが良い人間関係を築く方法だ』
という意味のことを述べています。
ハインツ・コフート(Heinz Kohut, 1913年5月3日 - 1981年10月8日)はオーストリア出身の精神科医、精神分析学者。精神分析的自己心理学の提唱者で、今日の自己愛研究や間主観的アプローチの端緒を開いた。
相手の自己愛を満たす3つの方法
そして、相手の自己愛を満たしてあげる方法論として、
3つのパターンを提示しています。
それは、『鏡』『理想化対象』『双子』です。
鏡転移(鏡自己対象転移)
- 能力があり完全である自己をほめてもらいたいという欲求。そのような自分をほめてくれる他人を求め、そのような他人を自己対象とする。理論的には幼少期における誇大自己から派生したものであり、「私は完全である」という自己愛を満たすためのものとして現れる。しばしば母親の肯定的側面として子供には認識される。
理想化転移(理想化自己対象転移)
- 落ち着くことができたり自分の進むべき方向性を見出すことができるような他人を手に入れたいという欲求。そのような完全でもあり、理想的な親となってくれるような他人を自己対象とする。理論的には幼少期における理想化された親イマーゴから派生したものであり、「私は完全ではないが、あなたは完全である。そして私はあなたの一部分である」という自己愛を満たすためのものとして現れる。しばしば父親の動じない指針となるような立派な側面として子供には認識される。
双子転移(双子自己対象転移)
鏡
『鏡』というのは、相手を移し返してあげることです。
相手が頑張っている時、相手が意欲的な時に、
その姿を移し返してあげて、
『よく頑張っているね!』『非常に意欲的だね!』
『前向きにやっているね!』と相手を褒めてあげましょう。
そうすると相手は喜んでくれます。
理想化対象
『理想化対象』は、相手が不安になっている時、
相手が生きる方向を見失っている時などに有効なパターンです。
こういう時には、相手の姿を移し返してあげても、
相手は喜んでくれません。
そうではなくて、
『私がついているから大丈夫だよ!』といって、
相手を安心させてあげることの方が相手は喜んでくれます。
相手が、『この人がそばにいてくれるから大丈夫だ!』
『この人のように生きていけばいいんだ!』
と思ってくれれば相手は安定してきます。
自分自身が、
相手の理想化の対象になるような形に持っていくパターンです。
双子
『双子』は、相手が疎外感を持っている時、
仲間外れになっていると感じている時に有効な方法です。
相手が疎外感を持っている時には、
誉めてあげても喜ばないし、
私がついているから大丈夫だ!と言っても、
『あなたと私は違うんだ!私の気持ちなんかわかるはずがない!』
と思われてしまいます。
そんな時には、『私にもこんな失敗があった』ことを伝えて、
相手に『この人も自分も同じなんだ!』と思ってもらった方が良いです!
つまり、相手と自分は双子であるというような態度をとることが有効です。
まとめ
コフートは、人間の心理ニーズをこの3つに分けて考えました。
すべての場合に当てはまるかどうかはわかりませんが、
私自身が試した限りは、
かなり多くのケースで当てはまりそうでした。
こうした心理手法を覚えておくのも悪くないでしょう。