母ちゃんが教える『何とかなるよ』 nantokanaruyo.com

幸せな生き方、教えたるよ。あなたが辛い時、寂しい時、迷った時、一人で乗り越えていけるように。頑張れるように。相手を思いやれる優しい人になってくれるように。間違わんと生きていってくれるように。あなたの心に、きっと届くように。

母ちゃんが教える82『夏休みの友』

 

 

 

母ちゃんです。

 

 

 

 

子供達の夏休みも、地域にもよるけど、

今日が新学期始業式のとこも多いと思う。

 

 

 

夏休みは暑い中、娘や友達らとのお出かけに

毎日クタクタやった。

 

 

 

部屋も片付かん。

 

 

 

 

夏休みと言えば宿題が付き物やけど、

母ちゃんの頃は、『夏休みの友』という

一冊の課題冊子のようなものが出た。

 

 

表紙は版画やったのか絵やったのか、多分、

どこかの子供の作品やったように思う。

 

 

中身はうろ覚えではあるけど、読書感想文や

日記、自由研究の手引きやら、何から何まで

夏休みの宿題を全てこの一冊にまとめました

というようなものやった。

 

 

この『夏休みの友』を渡されると、

ああ、夏休みが来たなと思ったもんやった。

 

 

今はそんなような、何もかも一冊で表現しよ

うという冊子はないらしい。

 

 

勉強のワークがあるだけで、その他は自分で

考えてこなさんとあかんらしい。

 

 

 

 

母ちゃんはそれを、つまらんと思っている。

 

 

 

 

夏休みの友』には、風情があった。

 

 

 

今の子供達は、風情があまり感じられへんく

て可哀相やなと、いつも思っている。

 

 

 

テレビゲームも今のようなポータブルのよう

なものではなく、テレビにつないでせなあか

ん時代やったし、なので家族の観たい番組と

かぶれば、交渉せんとやれやんものやった。

 

 

そのやりたいのに出来やんというのがまた、

風情があったんちゃうかなと思う。

 

 

 

そういうわけで、その頃の子供達のゲームと

言えば、今のようにいつでもどこでも出来る

ものではなかったので、子供達は仕方なく、

公園で遊んだり、ザリガニを釣ったり、昆虫

採集なんかにいそしんでいた。

 

 

 

鉄棒のプロかというほどの腕前の子供や、

かくれんぼさせたら絶対に見つけられへん

隠れのプロや、小さい紙で小さな鶴が折れる

という達人までおった。

 

 

 

 

多分その当時の子供は、暇やったんやろう。

 

 

 

 

その頃の母ちゃんと言えば、その遊びの合間

にスーパーに食品を買いだしに行く際には、

レジ袋いっぱいの食材を、自転車の前カゴに

一袋と両ハンドルにそれぞれかけて、合計三

袋をサーカスのようにかけ、走行していた。

 

 

 

それは思春期の母ちゃんにとって、誰かに見

られたらとても恥ずかしい光景ではあったけ

ど、重たい荷物を載せて、それを安定させて

自転車を走行するテクニックは、相当なもん

やったと自負しとる。

 

 

 

もちろんそれは、何度もスーパーの袋を破い

てしまったり、食材を転がしてしまったり、

暑さで食材を腐らせてしまったり、転倒した

りの失敗を経ての話である。

 

 

 

今思えばそれにより、生きる知恵が備わるこ

とになったので、お得やったと思っている。

 

 

 

 

 

 

まだ夏休みが始まる前に、娘の担任の先生と

話す機会があった。

 

 

 

担任の先生は、大きなお子さんをお持ちの、

ベテランの男の先生で、愛情に溢れた人や。

 

 

 

担任の先生は、母ちゃんの顔を見るなり

開口一番、

 

 

 

「お母さん!娘さんは最高ですわ!」

 

「私はね、娘さんが大好きなんですわ!」

 

と言った。

 

 

 

 

担任の先生の話では、娘が他のお友達と話す

様子が、とてもいいのだと言う。

 

 

 

誰に対しても、とても思いやりのある話し方

をするのだと言う。

 

 

 

 

先生は、娘の話を聞いていると、とても優し

い気分になるのだと言い、娘の机のまわりに

は、やんちゃで気が強い子も、真面目な子も

気の弱い子も、お友達付き合いが苦手な子も

みんなが集まるのだと言う。

 

 

 

あまり大人びてない娘は、自分の興味のある

いろんな話を自分に聞かせてくれるんだと、

先生は、それを毎日とても楽しみにしている

のだと、そう聞かせてくれた。

 

 

 

 

娘の成績表には、二つ、

 

 

 

・相手の気持ちを考えて行動する。

 

・誰にでもわけへだてなく接する。

 

 

 

特に素晴らしい点として、丸がついていた。

 

 

 

 

勉強の成績については、テストの点数は良く

ても、娘のノートの字は、すこぶる汚い。

 

 

いい成績がつくはずがない。

 

 

 

それについては、担任の先生がいい先生やっ

たために、ちゃんと社会の評価としてつけて

くださったのだと、有り難かった。

 

 

 

 

成績について申し訳なさそうに話そうとする

先生に、母ちゃんは、こう話した。

 

 

 

 

「成績というものは総合的な評価であるの

で、先生がそう判断してくださったことが全

てやと思ってます。いい風につけて頂いて、

申し訳ないぐらいやと思ってます。

 

ただ、私はそれにはあまり興味がありませ

ん。本人が困らなければいいやろうし、それ

は娘がどう考えるかであって、母親の考える

ことではないと思ってます。

 

 

人が一番大切なことは、人の気持ちが分かる

ことやと、いつもそう娘に伝えています。」

 

 

 

 

どうやったら、こんな子が育つんやと感心

してくれていた先生は、

 

 

 

 

「ああ、なるほど。」

 

と、嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

間もなく夜が明ける。

 

 

 

 

娘は、自由提出である本来出さんでもいい

絵をコンクールに出すんやと、宿題として、

寝ずの作業に没頭している。

 

 

 

 

 

ああ、母ちゃんの子やな。

 

 

なんでもっと早く手をつけへんのやろ。

 

 

 

 

 

 

そやけどそれ、間に合うとええな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿題はな、間に合ったらええんや。

 

 

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