当ブログでは、一週間毎に日本株の各業種の値動きをAI(機械学習)で分析・視覚化したものを掲載しています。
今回は東証33業種分類別にマッピングを行い、そこから読み取れる市場の特性を確認していきたいと思います。
◆検証要領
<機械学習の手法>
自己組織化マップ(SOM:Self Organizing Map)という手法を使います。
SOMとはニューラルネットにより多次元のデータを低次元のデータに次元圧縮し、視覚的に分かりやすくマッピングするものです。
今回の検証では、東証33業種をそれらの値動きに従って二次元平面へとマッピングします。
値動きが似通っている業種は近い位置に配置されます。
Rによるコーディングは以下の書籍を参考にしています。
<使用したデータ>
東証33業種指数の直近250日分の日足データ(OHLC)を使用します。
それぞれのデータは前日終値を基準として騰落率に置き換えて使用します。
◆結果
まずはSOMの結果をそのままご覧下さい。
グラフ1.東証33業種指数のSOM分析結果
さて、グラフ1から分かることがあります。
仲間外れになっている業種がいくつかありますね。
分かりやすく囲ってみると以下のようになります。
グラフ2.東証33業種指数のSOM分析結果(図解あり)
このように、市場のリスクに応じてローテーションの発生するグループと、全く別の要因で値動きが発生するグループに分かれています。
鉄鋼と海運が一緒になっているのが面白いですね。
これを鉄鋼材輸入系としてみました。
日本の鉄鉱石の自給率は0%であり、全てを輸入に頼っています。
こうした理由から鉄鋼と海運が紐付けで動くのかもしれません。
鉄鋼はリスクオンの特色も持っているため、このような位置になっているのでしょう。
同様に輸入に頼っている石油・石炭ですが、こちらはおそらく輸入条件よりもエネルギー資源価格から受ける影響が大きいため、離れた位置に配置されたのだと思います。
では、続いて仲間はずれの4業種(石油石炭・鉱業・鉄鋼・海運)を除いた29業種でもう一度SOM分析を行います。
以下が結果となります。
グラフ3.4業種を除いた29業種のSOM分析結果
グラフ1のSOM結果と比較すると、各業種がしっかりと2次元平面へ散らばりました。
各業種の特色がしっかりと伺えるマップとなったようです。
では、この図をざっくり三分割してみます。
グラフ4.4業種を除いた29業種のSOM分析結果(図解あり)
(1)内需・ディフェンシブ、(2)金融株、(3)シクリカルの3グループでざっくりと分割ができました。
位置関係にもう少し注目すると、違った特色も見えてきます。例えば、
・「電気ガス~陸運~不動産(=土地)」が近いのは、この辺りはインフラ系になるのでしょう。
・同じ内需・ディフェンシブでも、「食品~農林水産」と「小売~建設~医薬品」は分けて考えたほうが良いかもしれません。
・金融株の中で最も極端な値動きをする業種は証券商品ではなく保険となっています。
・精密機器は「機械~電気機器」でなく「化学~繊維」に近いようです。
・卸売と金属が完全に重なっています。商社と金属材料とは密接な関係にあるということでしょうか。
このようにAI(機械学習)による視覚化を活用することで、市場に対する理解が深まることもありえます。
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