核攻撃や核戦争は起こってほしくないこと。でも万が一、万が一起こってしまったら私たちはどうすればいいのでしょう?
日本は核攻撃を受けた唯一の国ですが、その悲惨な経験を知る人は年々少なくなってきているので、戦争体験談を聞く機会もうんと減りました。今後、核の脅威を知るならば博物館や展示会に行くことになります。しかし、もっと手っ取り早いのが核戦争をテーマに映画ではないでしょうか。
というわけで、今回は核攻撃を扱った映画9選をお届けします。
ちなみに、核実験を描いた作品でまず先に頭に浮かぶのはスタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのをやめて水爆を愛するようになったか』やジョン・デイリー監督の『ミラクル・マイル』かと思いますが、ここではコメディ要素が強く核の恐怖が伝えきれていない作品は除外しています。
『ラスト・カウント・ダウン 大統領の選択』 1990年(原題:By Dawn’s Early Light)
冒頭、ソ連の領土にミサイルが撃ち込まれます。アメリカによる攻撃だと判断したソ連はすぐさま核戦争に突入すべく行動に移しますが、攻撃は国内クーデターによるものでした。
核戦争を食い止める、ではなく核が撃ち落とされた後のソ連とアメリカを描いた異色核戦争テレビ映画。
『ザ・デイ・アフター』1983年(原題:The Day After )
カンザスとミズーリを舞台に核戦争の前、最中、後を描いたもので、個々人に焦点を当てたストーリー構成ゆえに視聴者は感情移入しやすく、核攻撃に強い恐怖心を抱きました。
ABCでテレビ放送された当時、視聴率46パーセントでアメリカ人の多大なる影響を与えたといわれています。日本では劇場公開されたが興行成績は振るわず、のちのテレビ放送で高視聴率をとりました。
1983年にしてはスペシャルエフェクトの出来が甘いですね。
『原子怪獣と裸女』1955年(原題:Day the World Ended )
B級映画の帝王、ロジャー・コーマン監督による、核攻撃後に生き残った人々と核の影響で現れたモンスターの恐怖を描いた作品。
このリストに出て来る核攻撃映画には珍しく、終わりに希望があります。
『未知への飛行』1964年(原題:Fail-Safe)
アメリカの軍事コンピューターのミスによりソ連に向けて核攻撃司令が発動。その命令を受けて爆撃機がモスクワに向けて発進し、帰還可能なポイント(フェイル・セイフ)すら超えてしまう。アメリカはソ連側に爆撃機の撃墜を依頼しなくてはならない事態になるが、爆撃機の一機がソ連の攻撃をかわしてしまったため、米ソは最悪の事態を避けようと対応に追われることに。
主な舞台は会議室。派手さは無いけれど緊迫感はこの手の映画でも群を抜いています。
『ゴジラ』1954年
核の恐怖を知る唯一の国、日本からは放射能の申し子『ゴジラ』がランクイン。
オリジナルの『ゴジラ』がつくられたのは、第二次世界大戦終戦から9年後。たった9年で核と放射能を映画のテーマにできた当時の日本人は頼もしいです。
『渚にて』1959年(原題:On the Beach)
第三次世界大戦で核攻撃された後、北半球が全滅しオーストラリアだけが生存可能な土地となった。核攻撃をかわしオーストラリアに到着した潜水艦乗組員と生存者の「いかにして死ぬか」を描いた作品。
薬物による安楽死を望む人たちの姿が印象的。
『ターミネーター2』1991年(原題:Terminator 2: Judgment Day)
リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーの悪夢。核が平和な日常を一瞬にして地獄絵図に変える。
こんな夢をみたら平和を守りたくて1人で行動したくもなります。
『スレッズ』1984年(原題:Threads)
『ザ・デイ・アフター』から一年後にイギリスで放送されたドキュメンタリー風テレビ映画。核戦争の悲惨さよりも、生き延びた人々に訪れる地獄のような生活が重点的に描かれています。
考えうる悪要素が全て詰まっているとも言えるので、核戦争開始前には予習として是非見ておきたい1本。
『ウォー・ゲーム』1983年(原題:WarGames)
マシュー・ブロデリック演じるパソコン少年が偶然米国防省の軍事コンピューターをハッキング、単なるシミュレーションゲームと勘違いしてプレイしてしまったために、核戦争の危機を迎えることに。
突拍子も無い話ではなく、「ありえる」の連続ゆえに肝が冷えます。ハッキングやパソコンウィルスが身近にな今の時代、最も警戒すべきはリアルな『ウォー・ゲーム』でしょう。
おまけ: 『ツインピークス リターン』第8話
セリフを最小限に抑えた衝撃の第8話に登場したのは、広島、長崎の原爆投下直前の1945年7月16日にニューメキシコ州のホワイトサンズで実際に行われた核実験。リンチ監督は核実験により悪が生まれたと伝えようとしたのでしょう。
Cheryl Eddy - io9[原文]
(中川真知子)