アノ映画日和

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「新感染/釜山行き」感想 韓国大ヒットゾンビ映画の何がヤバイかお教えします

 

ヤバイよ ヤバイよ ヤバイよ

何がヤバイって韓国がこんな凄いゾンビ映画創っちゃたんだからヤバイよって話!

昨年「アイアムアヒーロー」が公開されて
こりゃゾンビ映画においては韓国より一歩リードかな?なんて余裕こいて
日本ゾンビ映画の夜明けぜよ!とか言っちゃいましたけど
韓国のゾンビ映画はお天道様上がっちゃってます。
ピーカンです。

まだ未見の方も多いかと思いますのでネタバレは極力控えますが、とりあえず何がヤバイかだけ緊急でお伝えします

2016/韓国
監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク、ほか
上映時間:118分

f:id:hagane-mk:20170830223309j:image80点

ざっくりあらすじ

ソウル発釜山行き高速鉄道KTX101号
今日も様々な事情をかかえた人々が乗車していた。
家庭に問題のある親子、妊婦と夫、野球チーム、老人姉妹、浮浪者、などなど
しかし今日ばかりは乗客は人だけではなかった...

時速300kmで突っ走る電車には招かざる客も乗り込んでいた。

その電車ゾンビ乗車中につき、お気をつけ下さい

 

栄光に向って走る あの列車に乗って行こう
はだしのままで飛び出して あの列車に乗って行こう

・設定がヤバイ

舞台はソウル発→釜山行き高速鉄道
「電車の中という密室でのゾンビ映画」という設定からヤバイです

最近のA級ゾンビ映画のスタンダードは世界規模のウィルス蔓延
とにかく逃げて逃げて絵変わりさせて見せ場のバリエーションを増やします。
ところが韓国はそれを逆手にとって、あえて限られた空間にしてきました。

これが抜群に面白い!

ワールドウォーZ観ました?
飛行機の中でゾンビが!ってシーンありましたよね
逃げ場ないしどうすんの?という面白さ
あれを追求しまくった感じです。

主人公の親子が乗る釜山行きの電車に1人(1匹?)のゾンビが乗り込んで来た事から、パンデミックが起こります。
1人から乗務員に、乗務員から乗客へと、どんどんゾンビが車内で増加していきます

じゃあどうすんの?って話しですよね?

ここが設定の上手いところで、ゾンビには知性がありません。
電車のドアって開閉がちょっと複雑じゃないですか?
だからゾンビは閉まっているドアは開けられないんです
するとどうなるかというと、車両によって

安全地帯危険地帯が生まれます

じゃあ安全地帯にずっといればいいじゃん!
と思いますよね
でも、そういう訳にもいかない様にするのがまたこの映画を面白くさせている要因なんです。
これは後程書きましょう。

電車内にいるので、外はどうなっているかも分からないというのも上手いです。
母や同僚に電話をして外の状況を知るが、その音声だけで規模を知らせます。
絵で見せるだけでなく、こちらの想像力まで利用する上手さ。

もう設定だけでこの映画は面白い
予算がないから場所を限定して...というB級、C級ゾンビ映画とは一線を画します。


・迫力がヤバイ

ゾンビ映画における迫力とは何でしょう?
バイオハザードの様に、強力なゾンビを出したりするのも1つの手です
が、王道のゾンビ映画の迫力とは

物量

ゾンビなんて知能もなけりゃ特殊能力もありません。
要は噛まれなければ良いんです。
タイマン勝負なら楽勝です。

ところがあいつらは増殖して群れるんです。
数で勝負して来ます。

この映画、ゾンビの数がヤバ過ぎるんです。
電車というスペースに対してゾンビの数が多いという事もありますが
もう1つあるんです。

こんな状況な訳ですから当然避難の為、電車は途中の駅で停車します。
軍に救助の要請を出しておいて無事停車。

ところが駅で待っていたのは
既にゾンビ化した軍人たち

ふぅ...助かったと思っている所にくる

アーミーゾンビーズ!

戻れー!電車に戻れー!

もう凄いっすよ、数が...
この緊急事態に対応すべく集められた軍人が全てゾンビ化してるんですから

知性がないのが逆に怖いしタチ悪い
ガラスの扉を集団の力技で突き破り
2階から電車めがけてダイブ
身が砕けようとお構いなしに降り注ぐゾンビ雨

怖え~~~

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泣きたくなるほど ノスタルジックになりたい
せまいベッドの列車で天国旅行に行くんだよ
 

・人間物語がヤバイ

主役はファンドマネージャーのソク、仕事ばっかりで家庭を全然大事にしない人。
妻は愛想を尽かし釜山の実家に戻り、母と娘の3人暮らし。
1年に1度の娘スアンの誕生日に昨年と同じプレゼントを買って来るという...

で、悲しむ娘に「お母さんに会わせて」と懇願され釜山に向う親子
この親子が主軸。

でも釜山行きの電車に乗り込むのは当然親子とゾンビだけではありません。

まずはちょっと粗暴な男サンファとその妻ソンギョン
妻は妊娠しておりサンファはその妻にだけは気を遣い頭も上がらない感じ。
偶然ゾンビ乗車中の電車に同乗したエリートのソクとワーキングクラスのサンファ。
全くそりがあいません。
しかし、この非常事態でエリートもワーキングクラスも関係ありません。
揉めながらも共に戦い、逃げるのです。

また別の車両にいるのは高校野球チーム。
ヨンゴクとマネージャー ジンヒはチームメイト公認のカップル。
気弱なヨンゴクであるがジンヒの為ならゾンビとも戦う。
それが元チームメイトたちであったとしても...

他にも乗車客それぞれのドラマを見せてくれます。

この映画ゾンビ頼りだけの映画ではありません

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 ・展開がヤバイ

一度駅で降りアーミーゾンビーズに襲われ、再び電車に戻ります。
ところがゾンビから逃げるのに必死で、それぞれ大事な人達とバラバラの車両に乗り込んでしまうのです。

ソク、サンファ、ヨンゴク達男陣は後方の車両に、スアン、ソンギョン、ジンヒ達女性陣は前方の車両に

今はそれぞれ安全地帯にいますが、そこがいつ危険地帯になるか分かりません。
男たちは力を併せ前方車両を目指します

間の危険車両を潜り抜けて

ここめっちゃ面白いです!

各車両の移動ごとに上手く作戦をたてます。
力技も使います。
ソク、サンファ、ヨンゴクそれぞれの持ち味が活きます。


・窮地における人間の醜さがヤバイ

まず主人公のソクですが、こういう時は自分達だけの事を考えれば良いと娘に言います。
他人が危険と分かっても放置、助ける義務は無いと
それに対して娘は
「いつも父さんはそう...自分の事ばかり...」

この会話がわりと前半であるのですが、中盤以降のソクの心情変化に繋がります。

その一方、クズかよ!と言いたくなる人間が中盤以降続出します。

その代表格が鉄道会社お偉いさんの

ヨンサク

この映画の面白さは彼のクズっぷりあってこそです
自分が助かる為なら何でもあり

お前早く死ぬかゾンビになれよ!

誰もがそう思うはずですが、こういう人間ほど巧みに生き延びます。

またヨンサクの口車に乗せられた他の乗客たちのクズっぷりもヤバイです。

こいつら感染してる恐れがあるから同じ車両にいさせるのまずいぜ!
そうだ!そうだ!出ていけ!出ていけ!

お前らマジか?

ゾンビにも劣る人間の集団心理の鬼畜っぷりもお見逃しなく!


この美しき 腐りゆく世界で

胸に挿した白いカーネーション

・胸熱ポイントがヤバイ

誰が何をしてどう熱いかは言いませんが

ここは俺に任せてお前ら先に行けー!

俺はお前を見捨てない、何があろうと

ここでやらなきゃ男じゃねえ!

的なシーンがマジ熱いんです。
ジャンプの王道漫画の如く熱いんです。

書きてえ、でもこれは書けねぇ

とかいてと読む

とだけ言っておきます。


・マ・ドンソクがヤバイ

流れで言っちゃいますけど、漢の中でも特にマ・ドンソク演じるサンファは激ヤバです
マ・ドンソクと言えば、韓国映画好きにとっては結構有名な役者で主に悪役...いや極悪を演じることが多いです。
特に「罠」なんてゾンビの顔色が更に真っ青になる程恐ろしいです。

だから彼が出て来た時はゾンビよりこいつが怖えよ~とガクブルでした。

ところが今回の彼はでした!

もうね、ゾンビにドロップキックする人間はじめて見ましたよ。
しかもオカダカズチカばりの見事なドロップキック
ゾンビが吹っ飛んだところにはヒャッハー!です

で、例のあのシーンですよ...

兄貴ー!!!

今作でファンジョンミンのチョンチョン兄貴に続く、兄貴認定致しました。

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・ラストがヤバイ

流石にこれ書いたら怒られるから詳細は書きませんが
数あるゾンビ映画の中でも秀逸なラストじゃないかな?

笑顔で散るゾンビ...
前半のそれ要る?っていうシーンの見事な伏線回収

正直、泣けたし

あ、ヤラレタってなりましたね

 

ま、ざっと言うとこんなところかな 

「新感染/ファイナルエクスプレス」のヤバヤバポイントを紹介しました。
極力抑えたつもりだけど、結構ネタバレしちゃったかな?
でもご安心下さい。
本編を観れば、ここに書いてある事なんてこの映画の面白さのごく一部だという事が分りますから。

正直この映画を観終わった後、面白い映画を観たという満足感と、日本ゾンビ映画より2歩も3歩も先を行かれた悔しさが入り混じった複雑な心境になりました。

王道ゾンビ映画でありながら、新しい要素を織り込み、韓国映画特有の雰囲気もしっかり活かしている。

アイデア一発勝負じゃなく
ゾンビの怖さ、人間ドラマの面白さ、アクション映画としての興奮、どれをとっても1級品です。
普通これだけ色んな要素詰め込んだらとっ散らかってつまらなくなるのにな...

韓国映画の底力を見せつけられました

是非、
ゾンビ集団に喜び
下衆人間たちに怒り
散りゆく男たちに哀しみ
迫りくる迫力を楽しんで下さい

ゾンビ映画バンザイ!!!

 


追伸、邦題に「新感染/ファイナルエクスプレス」とかつけたヤツ誰や
こんなクソセンスタイトル付けてるうちは韓国に追いつけねぇぞ

頑張れ!日本!
アノ映画日和は日本ゾンビ映画を応援しています。

 

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・アイアムアヒーロー
・ワールドウォーZ
・ドーン・オブ・ザ・デッド