January 26, 2006
監督からのコメント【Bプログラム】
『童貞。をプロデュース』
「童貞と関わるとロクなことがない」。それが今回の作品を作って得た教訓。真性童貞の加賀と一か月付き合ったが、彼は言われた通りのカットを撮って来ないし、時間は守らない。約束の時間に連絡しても「まだ西荻(加賀の自宅)です」だと。もう「家族に何かあったの?」と聞くのも疲れた。
で、何かを要求すれば「あーだ、こーだ」と(経験もしてないくせに)文句を垂れる。チャレンジ精神が皆無なのね、童貞って。しかも語尾に「すいません」と付けるのも腹立たしい。「いいかげんにその性格、直せ」と童貞を捨てる為に風俗を勧めるも、「風俗嬢は汚いから嫌だ。職業差別と受け取って貰って結構」なんてのたまう。そんな言葉を聞く度に頬をひっぱたいてやったが、叩き過ぎて手が痛い。
やはり23年間もこの日本に生きてて、未だ「童貞」ってのは異常だ。これだけ巷にエロが溢れてると、嫌でも己の性と向き合わざるを得ないはずだ。なのにそれを避け、逃げ、オナニーで済ます。この短絡的な行為が、時間を守らない、約束を破る、仕事が続かないということに繋がっているのだろう。
僕がこういう風に加賀を貶めるようなことを書いても、きっとあなたは「そんなこと言っちゃって、松江さんたら、本当は優しいのに」と思うだろう。
違う、違う、何も分かっちゃいない。あなたは2時間も「クリスマス、クリスマスノうぐぐ」と呟く映像を、「しゃべり場」を見ながらオナニーする映像(さすがにこれはカットした)を、ゴミ貯めの中でギターを何度も失敗し、その度に「テープ無駄にしちゃった」とコメントする映像を見させらえた時、どれだけ腹立たしいか分からないだろう。
僕はそんなものが15本も手渡された時(しかもラベルには「FUCK!」とか「家家家家家」と加賀でさえ判別不能なことしか書いてない)、いいかげんにキレた。それからだ、僕が加賀に対し、距離を置くようになったのは。すると彼が何か失敗をしても「あ、しょうがないか童貞だから」と思えるようになった。
加賀にアドバイスし、一緒に考え、何か面白い素材を期待するような制作の仕方をしていたら、とてもじゃないが僕の方が保たなかった。付き合ってられるか。深夜に突然かかる「まさみさん(仮名)が、まさみさんがノぐごぉ」って、電話だけでもうんざりなのに。
それでも僕が計18時間分の素材を全て見、編集し、まとめられたのは彼の周囲に集まる人間が素敵だったからだ。同居人の(加賀曰く)イケメンの大西くん、クリスマスイブにもバッティングセンターに付き合い、「明石家サンタ」でイブを過ごした友人や、「加賀君は素敵」と、「本気で?」としか思えないコメントを言った女友達に、マドンナまさみ(仮名)さん。皆さんはいい人です、ホントに。
加賀は「友達には感謝してる」なんて言ってるが、そのありがたさに気付くのは彼が童貞を捨て、彼女とイブにケーキでも突っ突きながら「あれ、意外とつまんない」と我に返った時だろう(そんな日、絶対に来ないだろうが)。
あとはやっぱりカンパニー松尾監督と、浜田社長と、女優Rちゃんには感謝。加賀は最後までRちゃんの名前を知らなかったけど、例のプレイと帰り際の松尾さんの言葉は忘れないノはず。あなたがこの作品見て、何かのきっかけで加賀と話をして、もし彼が忘れてたらひっぱたいていいから。僕が許可する。
最後に、この作品を見る観客に言いたいことは、ただただ、笑ってくれってこと。それは素直な笑いでもいいし、懐かしい気持ちでもいい。けど、もし加賀を見てて、切実な共感を覚えた男性がいたとしても、僕は二度とプロデュースをしないのであしからず(女性の場合は応相談)。だって「童貞と関わるとロクなことがない」から。あー、しんどかったなぁ、ノーギャラなのに。(ガンダーラというテーマなら「カレーライスの女たち2」にすれば良かったと締め切り3日前に後悔)
(松江哲明)
『二胡在新宿』
大手カメラメーカーに勤めていた私は、中国に全く縁も興味もありませんでした。このドキュメンタリーで描いたことをきっかけに、勤めていた会社を辞め、単身中国のカメラ工場と交渉し、カメラメーカーを起こすこととなりました。
中国が見た目も内容も混沌としていた時代です。最近見た目は(ごく一部ですが)良くなりましたが、内容はこの時代より混沌としている気がします。
(安原伸)
『子宮で映画を撮る女』
男女問わず、一度でも自主映画に関わったことがある人には、多少共感を持って観てもらえる作品だろうと思います。暴走するノザキ監督の様子が『ばかのハコ船』という映画を作っていた頃の自分たちの姿とダブり、撮りながらちょっとヘコみました。
でも、実際のノザキはすごいイイやつです。
(山下敦弘&向井康介)
『犯罪学会』
本作についてなにもコメントすることはありませんが、あえて言えば、ライブドア騒動を組み込めなかったことが悔しくてしかたありません。映画にはまだまだスピードが足りないと思います。頑張ります!
(村上賢司)
「童貞と関わるとロクなことがない」。それが今回の作品を作って得た教訓。真性童貞の加賀と一か月付き合ったが、彼は言われた通りのカットを撮って来ないし、時間は守らない。約束の時間に連絡しても「まだ西荻(加賀の自宅)です」だと。もう「家族に何かあったの?」と聞くのも疲れた。
で、何かを要求すれば「あーだ、こーだ」と(経験もしてないくせに)文句を垂れる。チャレンジ精神が皆無なのね、童貞って。しかも語尾に「すいません」と付けるのも腹立たしい。「いいかげんにその性格、直せ」と童貞を捨てる為に風俗を勧めるも、「風俗嬢は汚いから嫌だ。職業差別と受け取って貰って結構」なんてのたまう。そんな言葉を聞く度に頬をひっぱたいてやったが、叩き過ぎて手が痛い。
やはり23年間もこの日本に生きてて、未だ「童貞」ってのは異常だ。これだけ巷にエロが溢れてると、嫌でも己の性と向き合わざるを得ないはずだ。なのにそれを避け、逃げ、オナニーで済ます。この短絡的な行為が、時間を守らない、約束を破る、仕事が続かないということに繋がっているのだろう。
僕がこういう風に加賀を貶めるようなことを書いても、きっとあなたは「そんなこと言っちゃって、松江さんたら、本当は優しいのに」と思うだろう。
違う、違う、何も分かっちゃいない。あなたは2時間も「クリスマス、クリスマスノうぐぐ」と呟く映像を、「しゃべり場」を見ながらオナニーする映像(さすがにこれはカットした)を、ゴミ貯めの中でギターを何度も失敗し、その度に「テープ無駄にしちゃった」とコメントする映像を見させらえた時、どれだけ腹立たしいか分からないだろう。
僕はそんなものが15本も手渡された時(しかもラベルには「FUCK!」とか「家家家家家」と加賀でさえ判別不能なことしか書いてない)、いいかげんにキレた。それからだ、僕が加賀に対し、距離を置くようになったのは。すると彼が何か失敗をしても「あ、しょうがないか童貞だから」と思えるようになった。
加賀にアドバイスし、一緒に考え、何か面白い素材を期待するような制作の仕方をしていたら、とてもじゃないが僕の方が保たなかった。付き合ってられるか。深夜に突然かかる「まさみさん(仮名)が、まさみさんがノぐごぉ」って、電話だけでもうんざりなのに。
それでも僕が計18時間分の素材を全て見、編集し、まとめられたのは彼の周囲に集まる人間が素敵だったからだ。同居人の(加賀曰く)イケメンの大西くん、クリスマスイブにもバッティングセンターに付き合い、「明石家サンタ」でイブを過ごした友人や、「加賀君は素敵」と、「本気で?」としか思えないコメントを言った女友達に、マドンナまさみ(仮名)さん。皆さんはいい人です、ホントに。
加賀は「友達には感謝してる」なんて言ってるが、そのありがたさに気付くのは彼が童貞を捨て、彼女とイブにケーキでも突っ突きながら「あれ、意外とつまんない」と我に返った時だろう(そんな日、絶対に来ないだろうが)。
あとはやっぱりカンパニー松尾監督と、浜田社長と、女優Rちゃんには感謝。加賀は最後までRちゃんの名前を知らなかったけど、例のプレイと帰り際の松尾さんの言葉は忘れないノはず。あなたがこの作品見て、何かのきっかけで加賀と話をして、もし彼が忘れてたらひっぱたいていいから。僕が許可する。
最後に、この作品を見る観客に言いたいことは、ただただ、笑ってくれってこと。それは素直な笑いでもいいし、懐かしい気持ちでもいい。けど、もし加賀を見てて、切実な共感を覚えた男性がいたとしても、僕は二度とプロデュースをしないのであしからず(女性の場合は応相談)。だって「童貞と関わるとロクなことがない」から。あー、しんどかったなぁ、ノーギャラなのに。(ガンダーラというテーマなら「カレーライスの女たち2」にすれば良かったと締め切り3日前に後悔)
(松江哲明)
『二胡在新宿』
大手カメラメーカーに勤めていた私は、中国に全く縁も興味もありませんでした。このドキュメンタリーで描いたことをきっかけに、勤めていた会社を辞め、単身中国のカメラ工場と交渉し、カメラメーカーを起こすこととなりました。
中国が見た目も内容も混沌としていた時代です。最近見た目は(ごく一部ですが)良くなりましたが、内容はこの時代より混沌としている気がします。
(安原伸)
『子宮で映画を撮る女』
男女問わず、一度でも自主映画に関わったことがある人には、多少共感を持って観てもらえる作品だろうと思います。暴走するノザキ監督の様子が『ばかのハコ船』という映画を作っていた頃の自分たちの姿とダブり、撮りながらちょっとヘコみました。
でも、実際のノザキはすごいイイやつです。
(山下敦弘&向井康介)
『犯罪学会』
本作についてなにもコメントすることはありませんが、あえて言えば、ライブドア騒動を組み込めなかったことが悔しくてしかたありません。映画にはまだまだスピードが足りないと思います。頑張ります!
(村上賢司)
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