2017-08-30

オタクは「真木よう子さん炎上」を重く受け留めるべきではないか

はじめに

真木よう子さん炎上について、水龍敬さんがサークル参加者の立場として問題点をよくまとめていらっしゃいます論点は大きく分けてこの4つかと思われます

なので、本炎上の抱える諸問題についての批判を、このブログに対する私見に代えて、以下につらつらと述べさせていただきます

(※ 念のため繰り返させていただきますが、水龍敬さんをディスってるわけではありませんのであしからず

クラウドファンディング金額多寡について

芸能人クラウドファンディングで8万円の印刷費を集めてコミケ写真集を出そうとした」なら(芸能人がなんでそんな金額を捻出できないのかと思われるが)ここまでの批判はあがっていなかったと思うので、やはり「クラウドファンディング」という手段批判しているわけではないように思える。一方で、その金額多寡は一つの原因ではあろう。「商業流通商品頒布してはならない」というのはコミケ公式ルールではあるが、それ以上にコミケには(そして一部のネットユーザーには)商業主義のものに対しての風当たりが強い側面があるのだ。

クラウドファンディング金額が高いのが問題」とは一体全体どういう理屈でしょうか。募集者は出資金額を直接操作できるわけではありません。出資金額が目標金額オーバーすることはしばしばあることです。

サークル参加者のみなさんには、ぜひ身の上に起こる話として想像してみていただきたいのですが、仮にみなさんがクラウドファンディング募集したとして、出資金額が目標よりオーバーした(それこそ800万とかい大金が集まった)らどうしますか?「出資金が予想よりたくさん集まったのでプロジェクトを断念します」と出資者に詫びますか?ありえないでしょう。

芸能人コミケに参加することの是非

一方で、芸能人コミケに参加することの是非もあるだろう。最初にあげた記事中にもあったが、コミケは元々アマチュアのための表現の場である。当然に何のネームバリューもない一般人基本的には参加するものと考えられている。かつてはプロ漫画家が参加すること自体否定的な者もいたし、企業スペースの存在を受け入れることにも是々非々があった。最近では見かけないが、コミケ知名度をあげてプロになった者はコミケ卒業するべきだ、なんて意見を言う者もいた。

芸能人コミケに参加することの是非」なんて、とっくの昔に克服した問題ではないですか。企業コミケ参加するようになって久しいですし、小林幸子さんとか叶姉妹さんとかが参加表明したとき最初は反発こそありましたが、実際に会ってみたらすごく盛り上がりましたよね。会えてよかったって思わなかったのですか。

出品物のクオリティについて

そこにTVに出るようなネームバリューの高い芸能人アイドルが参加すれば、どんな作品を出そうが当然に一般人よりもモノは売れる。一般人一生懸命に描いたフルカラー漫画本より、大物漫画家落書きペラ本の方が、残念ながら売れてしまうのは事実だ。まして芸能人アイドルコミケ写真集CDを出すとなると、それは半ば「握手券」的な意味合いを持ち、その作品クオリティ如何に関わらず、当人バリューを求めて買いに来る人達もいるだろう。それは真剣にモノ創りをしている人達の場では一種の「ズル」に見えなくもない(芸能人写真集が、真剣なモノ創りでないわけではないと思うが)。真木よう子ほどの知名度もあれば、最初から商業流通に乗せてモノ作りをすることも可能なわけで、それができないアマチュアのための場であるコミケであえてモノ作りをする意味が問われるのも仕方のない側面もある。

アマチュアのための場であるコミケであえてモノ作りをする意味が問われている」っていうのは、そのまま自分たちのことでもあるということをちゃんと自覚していますか。わずか16ページのぺらぺらの薄い本が500~1000円とかの値段でさも当然のように取引されていますが、コミケ直前の同人作家Twitter覗くと、どこもかしこデスマでひぃひぃ言ってますよね。みなさんは何のためにコミケに出品していますか?みなさんは本当に真剣にモノ作りをしていますか?それを胸張って真木よう子さんに言えますか?

出品物が「実写モノ」であることの是非

そもそもコミックマーケット」の名前にある通り、コミケ基本的には漫画の祭典である黎明期にはコスプレに対する扱いの是非も問われてたし、さらに実写モノの写真集となると今でも肩身の狭い部分がある。コミケット運営側だって、必ずしも実写モノの文化理解を示してくれるわけではなく、過去には一部のROMサークルが明確にコミケから排除されたりもしてきた。自分コスプレROM等には元から偏見もなかったし、今では自分でもROM撮影してリリースしたりしてはいるが、やはりコスプレイヤーに話を聞くと、そうした人々に拒否感を示す参加者も多いと言う。まして、コスプレでもなんでもない写真集となれば、さらコミケ同人世界では風当たりが強くなる。

「実写モノの表現自体そもそもデリケートな分野」って、そんなことないですよね。「あらゆる表現を受け入れる」、それがコミケのよいところです。「子ども向けアニメ鬼畜エロ漫画はいいが、ふつう写真集二次元ベース創作じゃないかダメ」っていうのは、端的に狂ってます

(あとついでに言うと、「コミケ排外的」っていうのもウソですよね?コミケ歴史的に「コスプレ」も「企業」も「有名人」もみんな受け入れてきました。こういう風に、「オタク」と「世間」とを分断する文脈コミケを語るとき、「○○○について不満を感じてる人がいる」とかい検証不可能な話を引用する記事が多いように感じるのですが、問題は「自分はどう思ってるのか?」です。そこを隠して知り合いの意見引用するのはフェアではありません)

まとめ

結局のところ、真木よう子さんの「ふつう写真集」じゃ抜けないか批判してるわけですよ。だってAKBとか大人声優とかが「ふつうじゃ出版できない過激でドスケベな写真集します」とか言ってたら大喜びでザーメンシャンパン撒き散らしてたでしょう。「クラウドファンディング金額が高い」だとか、「コミケアマチュアのための場でもある」だとか、「本のクオリティ」だとか、「本の中身が二次元ベースじゃない」だとか、あと排外性?だとか、さももっともらしいこと言ってますが、どうせ自分たちちんちん勃起すれば全部お咎めナシだったでしょう。

メディアに対する不信感についてはまったくその通りだと思いますしかし昨今、「オタクに対する謂れのない偏見」も薄れてきていて、一般の人たちにもオタク文化だんだん受け入れられてきているように思います真木よう子さんのコミケ参加表明がその証左になり得たはずでした。でも今回の一件で、「一般人オタクを嫌っている」のはでなく「オタク一般人を嫌っている」というのが明らかになりました。オタクのみなさんはどうかこのことを重く受け留めていただきたいと思います。長文すまんこ

追記:一部の誤字、衍字を修正しました。

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  • https://anond.hatelabo.jp/20170830170902

    オタクが一般人を嫌っている。 たしかに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!...

  • https://anond.hatelabo.jp/20170830170902

    もうそういうの論議する段階は終わってるんだけど 今は真木ようこの裏で儲けようとしてたゴミクズを炙り出す段階

  • https://anond.hatelabo.jp/20170830170902

    オタク文化が好きな一般人というのがいても、そいつらだって今のオタク自体は大嫌いなわけでね 今回は元々あった溝がただ顕在化しただけだと思っている

  • https://anond.hatelabo.jp/20170830170902

    こうしてみると水龍って俯瞰ポジに立つことで自分はどうかというのを巧みに避けててポジショントークすげーと思った。

  • https://anond.hatelabo.jp/20170830170902

    「あらゆる表現を受け入れる」、それががコミケのよいところです。「子ども向けアニメの鬼畜エロ漫画はいいが、ふつうの写真集は二次元ベースの創作じゃないからダメ」っていうの...

    • https://anond.hatelabo.jp/20170830201838

      いや今回の炎上を表現のせいにするのはさすがに無理があるでしょう 似たような立場で出展した某姉妹は普通に歓迎されていたわけで 企業ではなく個人参戦という体で、「ファンに会い...

      • https://anond.hatelabo.jp/20170830204444

        水龍敬氏のブログで一番問題だったのは「写真集」とあげていてそれに賛同するブクマカも多いのだから、表現が問題と捉えるオタク側の人間も多かったんじゃとも考えられる。 真木よ...

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