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【社説】

里親への委託 担い手をどう増やす

 家庭の事情から親と暮らせない子どもを家庭に迎える里親への委託率について、国は就学前では75%とする新たな目標を決めた。里親をどう増やすか。子どもを里親に預けた後の支援こそが肝心だ。

 虐待を受けたり貧困などのために親元で暮らせない子どもを社会の責任として育てる。その姿はどうあるべきか。日本で養護を必要とする子どもは約四万六千人。厚生労働省は今月、原則十八歳まで家庭で一時的に子どもを預かる里親への委託について新たな目標を導入した。

 就学前の子どもは原則として乳児院や児童養護施設に入所させないで里親への委託を優先する。それにより、二〇一五年度末で17・5%だった里親委託率を年齢によって時期や目標は異なるものの、就学前の子どもはおおむね七年以内に75%に、就学後の子どもは十年以内に50%に引き上げる。

 この方針は、昨年の改正児童福祉法に沿うものだ。養護を必要とする子どもの多くが、親の暴力や育児放棄に遭い、心身や情緒の発達に困難を抱えているケースが少なくない。改正法は、子どもが特定の大人との愛着を築けるよう、集団で生活する施設よりも、欧米のように一人ひとりが家庭の中で育てられる、里親などへの委託を優先するよう促している。

 これまでにない、大幅な委託率の引き上げに、児童養護に関わる現場には不安の声もある。現在、児童相談所の面接などを経て里親登録している家庭は一万ほど。新たな担い手をどう増やすのか。

 児相は養護が必要な子どもの個性や成育歴を踏まえ、里親登録者から相性の合う候補を探すが、職員は虐待への対応に追われている。里親と子どもをつなぐ専門職員の養成や確保も急がれる。

 また里親の元に預けた後こそ支援が欠かせない。生い立ちに困難を抱えた子らは里親との新しい生活に慣れていくまでにさまざまな問題が起きる。里親にとって、トラブルが起きても専門的な支援が得られる、安心できる態勢がなければならない。

 一五年度末で里親委託率が全国一の46・9%だった静岡市はNPO法人と協力している。里親には委託前の研修のほか、委託後に養育力アップのための研修や相談や訪問などの支援を行っている。

 里親にも育児休業が幅広く適用されるような議論も必要だろう。一人ひとりの子どもが安心の中で育っていけるよう、財源確保を怠らず支援の道を整えたい。

 

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