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2017年8月30日 (水)

学校における働き方改革に係る緊急提言

まだ文部科学省のサイトにはアップされていないようですが、昨日中教審の働き方改革特別部会で緊急提言が出されたようです。

https://www.kyobun.co.jp/news/20170829_07/

28004452e1efaae8d2fa1d019dcb2ea5300中教審の働き方改革特別部会(部会長・小川正人放送大学教養学部教授)の第3回会合が8月29日、都内で開かれた。緊急提言がまとめられ、小川部会長から宮川典子文科大臣政務官に手交された。

緊急提言の全文はこれです。

https://www.kyobun.co.jp/middle-school/20170829_07_02/

1.校長及び教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
2.全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと
3.国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること

学校の先生だけが取り残されるわけにはいかないというのは当然ですが、実はその前に、そもそも学校の先生にもちゃんと労働基準法の労働時間規定は適用されているのだということを確認しておくことも、法律に関わる人々にとっては第一段階として必要ではないかと思われます。

まず、私立学校の教職員はいかなる意味でも他業種・職種の民間労働者と異なるところはありません。日本国の法律は、かなり多くの教育関係者の脳内にある教師聖職論を否定しています。初等・中等教育機関のかなり多くが地方公共団体に属し、その教職員が地方公務員であることによる制限があるだけです。

その上で、これは業界関係者にとっては常識ですがそうでない人には案外知られていないこととして、国家公務員は労働基準法が全面適用除外ですが、地方公務員は原則適用であるということがあります。いわゆる現業じゃなく、非現業の地方公務員も、いくつかの規定が適用されないだけで、労働時間の規定も原則適用なのです。ただし、労使対等決定原則が適用されないという理由で、36協定はなく、33条の臨時の必要で見ています。

ここで重要なのが、非現業と現業ってどこで線引きするのか?ということ。労働基準法はやや不思議なことに、交通や水道といったいわゆるブルーカラー系現業と、いわゆるお役所の非現業の間の、民間でも公共でも同じサービスを提供している病院と学校というホワイトカラー系現業について、前者の病院は労働基準監督署の監督下に置きながら、後者の学校は労働基準監督署の監督の下ではなく、人事委員会又は当該地方自治体の長が監督するという、なんという自分で自分を監督するのかみたいな状態にしたわけです。

この、一見微細な違いが、近年、監督署が病院に臨検監督に入って違反を摘発するということが頻発し、医師の働き方改革の議論につながっているわけですね。これに対し、公立学校は残念ながら監督官が入れないのです。

そういう法制度の在り方は、そろそろ見直しても良いのではないか、という議論は、なぜか不思議なことにあまり起こってきません。実は、かつては国家公務員として労働基準法が全面適用除外だった国立学校が、まとめて国立大学法人という名の民間学校になってしまったため、今では逆に完全に労働基準監督署の監督下にあるということも、あまり議論になっていないようなのは不思議です。

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