「セルゲイ・ポルーニンの日本公演の予定はありません」「ロンドンのエージェントは契約した覚えがないと言っています」
チケット販売が始まっていたある海外ダンサーの公演について、関係者が「詐欺の疑いがある」と、記事やツイートで注意喚起を呼びかけている。
問題になっているのは、ドキュメンタリー映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」で注目されているウクライナ人ダンサーの“日本公演”。

興行元のFlagship Japanは8月28日、2018年4月の東京公演を皮切りに、札幌、名古屋、大阪、兵庫、広島、岡山、福岡の計8都市で開催予定と発表していた。
内容が「ショータイム」「トーク」「握手会」と、これまでポルーニンが海外でおこなってきた公演と比べても異質な内容であることから、ファンのあいだでは「日本ではこんなタレントのような売り出し方するの?」と戸惑う声も上がっていた。

2万円のSS席には「握手会参加権」がつく。購入者には銀行振込を求めていた
本当に来日するのか?
映画の配給元であり、ポルーニンのエージェントとも自ら連絡を取るアップリンクの浅井隆代表も、この情報に驚き、違和感を感じたという。

セルゲイ・ポルーニン
今年4月にポルーニンが来日した際、今後の日本公演についても相談しており、「海外のプログラムをそのままではなく、現地のスタッフやキャストとコラボレーションするステージを作りたい」と話していた。
「僕が聞いていた話とずいぶん違う、少なくとも本人の意思を尊重したものでないように感じました」(浅井さん)
BuzzFeed Newsは30日朝、会場であるオペラシティコンサートホールに開催の有無を確認。
「数日前にFlagship Japanから会場の仮押さえの打診はあったが、正式な手続きは完了していない」「この段階で開催を発表し、チケット販売が始まって困惑している」との回答を得た。
Flagship Japanは過去にオペラシティでコンサートを開催した実績がある。
浅井さんも同じ回答を得ており「会場を押さえていない、つまり開催が決定していない状態でチケット代の振込も求めるのは“詐欺”と言っていいと思う」と注意を呼びかける。
エージェントも「契約は何ひとつしていない」
浅井さんは並行して、英国のポルーニンのエージェントにも連絡。
「Flagship Japanからメールが届いていたことは確認したが、具体的な契約は何ひとつしていない」「嘘の情報に惑わされず、チケットを購入しないように日本のファンに呼びかけてほしい」と回答があったそうだ。
フラグシップ・ジャパンが発表した来年4月のポルーニンの公演はありません。その会社とポルーニンとは何も契約していません。 https://t.co/imavKz1qXW
Flagship Japan側は、アップリンクの問い合わせに関し「エージェントから4〜5月であれば空いているという話を受けてホールを押さえた。アシスタントの間違いでチケット販売を始めてしまった」と説明したという。
電話口で「このまま公演情報を掲載したまま、振込を募り続ければ詐欺になる。即刻掲載を取りやめ、返金手続きを促すべき」と対応を促したものの、30日午後1時時点でまだWebサイトには掲載が続いている。
浅井さんはその後、何度か折り返し電話をかけているが、連絡がつかない状態がつづいているという。
BuzzFeed JapanもFlagship Japanにコメントを求めているが、現時点で回答は得られていない。
追記:チケット代金の振込先口座が凍結されたようだ。被害にあった人は金融機関に連絡をとるよう呼びかけている。
架空ポルーニン公演の銀行振り込みをされた方へ。今警察からの要請で三井住友茅ヶ崎支店のフラッグシップ・ジャパンの口座が凍結されました。資金は引き出されていないようです。被害に遭われた方は、三井住友振り込め詐欺資金返還ホットライン 0120-950-136に電話をしてください。
Haruna Yamazakiに連絡する メールアドレス:haruna.yamazaki@buzzfeed.com.
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