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【フサイチホウオーは今・後編】呼び名は「先生」!その“馬生”が引退馬の新たなモデルに

2017年8月29日7時0分  スポーツ報知
  • フサイチホウオーは牧場スタッフから「先生」と呼ばれている

 フサイチホウオーは2008年4月に競走馬を引退後、種牡馬と乗馬を経て、2016年10月から生まれ故郷であるノーザンファームイヤリングでリードホースになっている。リードホースとは、離乳から1歳夏までの馬の母親のような役目。ホウオーはその面倒見の良さから、牧場スタッフから「先生」と呼ばれて重宝されている。ただ、セン(せん)馬がリードホースになるのは前代未聞だった。

 スタッフの松橋亘(わたる)さん(57)によると、繁殖を引退した牝馬がなるのが一般的。「例えば夜間放牧の時に雨が降ったり雷が鳴ったりすると、子馬ってお母さんに頼るんです。そこで、引退した母馬を子守役というか、頼れるお母さん役をやらせて、事故を少なくしようと試みています。離乳したての当歳馬は、環境に慣れるのも大変ですし、臆病な面もありますから」と説明する。その常識を覆したのが、セン馬のフサイチホウオーだった。歩様の悪さなどから乗馬として活躍できず、用途を模索していた際に「リードホースとして使ったらどうか、という話が出て。試しにやってみた」(松橋さん)ところ、才能が開花した。

 リードホースは各厩舎におよそ2頭ずつおり、ホウオーは現在、対馬伸也さん(40)が厩舎長を務める牡馬のみの厩舎に置かれている。「男馬厩舎に男(のリードホース)を置く概念がなかったので、最初来る時は『え~?』って。フサイチホウオーってうるさいイメージもありましたしね。大丈夫かな?って」と対馬さんは振り返る。その不安はすぐになくなった。「頭もいいし、手入れする時もおとなしい。面倒見も良くて、ホウオーを使ってから、けがをする馬が減りました。褒めるところしかないですね。けなすところが本当にない。そのくらい優秀。あと2頭、3頭、4頭とフサイチホウオーが欲しいくらいです」と馬に感謝していた。

 セン馬のリードホースには大きなメリットがある。1歳の春頃になると男馬は色気づくため、牝馬のリードホースは使えなくなるが、セン馬なら通年で置いておけるのだ。「男馬厩舎だと、牝馬のリードホースに乗っかったりとか、じゃれあって乳を飲んだりとかがあるので、途中で抜かなくちゃいけないんです。フサイチホウオーはセン馬なので、そういうことがない。ずっと使えるんです」と対馬さんは話す。

 「なかにはいるんですよ。かわいくない繁殖牝馬のリードホースが。怖いし、いじめる。牝馬って気強い馬がいますよね」と、対馬さんは笑いながら続けた。牝馬特有のピリピリした気性がないのも、セン馬だからこそだ。

 これまでになかったリードホースに、牧場スタッフは確かな手応えをつかんでいる。松橋さんは「男馬厩舎でやりやすいという感触を得たので、他にそういう馬がいれば、置いてもいいかなと。いろんな使い方ができますから。今回が初めてなので、去勢した馬がホウオーみたいになるかどうかは分からないですが、セン馬がみんなホウオーみたいなリードホースになるのなら、すごく楽ですよね」と良さを語る。今後、これをモデルに、種牡馬や乗馬を引退した馬がリードホースになるケースが出てくるかも。「例えば種牡馬や競馬を引退した馬や、ノーザンホースパークで引退した乗馬を使えるねという話になるかもしれません」。ホウオーの歩く跡に、引退馬の新たなキャリアという道ができそうだ。(おわり)

 ◆フサイチホウオー 父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー(父サンデーサイレンス)。関口房朗オーナーがスポーツ報知に命名権を提供し、3000通以上の応募から馬名を決定。栗東・松田国英厩舎所属で2006年10月に東京でデビュー勝ちし、東京スポーツ杯2歳S、ラジオNIKKEI杯2歳S(現ホープフルS)、共同通信杯と無傷の4連勝を飾った。通算11戦4勝。全妹にオークス馬トールポピー、秋華賞馬アヴェンチュラ。

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