50代うすぼんやり生きています

50代のあれやこれや、管理人「凡子」が関わってきた今昔を綴っていきます

お金持ちのお金に関する感覚を疑ってはならない

それは、ある日突然職場に、もたらされました。

会社にどでかい二個口の荷物が届き、いつものように下っ端の凡子が封を開けます。ガムテープでぐるぐる巻きになった雑な梱包を解いていくと、何やら古色蒼然とした寸胴型の箱が出てきました。

相当古っぽいものですが、凡子にそういう知識は一切ありません。

「届いたんだ? 蓋、開けてみぃ」とこともなげに言う社長。

何となく嫌な予感がしながらも、箱の蓋を開けてみます。

中を開けると、戦国時代のものと思われる鎧が顔を覗かせます。

お金持ちのお金に関する感覚を疑ってはならない

 ????? なぜ、こんなものが会社に????と、パニックになる凡子。

「すごいでしょ? 価値ありそうだよね」と、社長は、めちゃめちゃ嬉しそう。

立派と言えば立派、確かに歴史的価値がありそうと言えば歴史的価値はありそう。

頭に?マークをたくさん浮かべたまま、もう一つの荷物も開けてみるように促され開けてみると、出てきたのは、これまた戦国時代のものと思われる兜。

うちの会社って、骨董屋だっけ? と一瞬記憶が飛びそうになりますが、うちは不動産会社。

突然現れいでた戦国ワールドにビビリつつ、社長の話を聞けば、どっかの県にツーリングに行った際に立ち寄ったお寺で、展示販売していたものを買ったらしい。

はぁ…。わざわざこれ買うんだ。

寺では、檀家さんから持ち込まれたものを、委託販売していたらしい。
檀家さんの預かりものなら、もう少し丁寧に梱包した方がいいんじゃないかと思われ。お金はもらったからいいということなのか。

「売ったら高そうだよね」と、目を輝かせて言う社長。

相当年期は入っているが、ぱっと見、名のある武将が使っていたようには見えない。

鎧は、乾燥した土がこびりついてガッビガビ。そう、かつてのどろどろの泥は、長い長い年月を経て土に変わり、鎧を箱から取り出そうとすると、土ぼこりが舞い上がってむせそうに。寸胴型が入っていたダンボールも、砂でじゃりじゃり。

馬とか乗っていたらこれほどじゃないはずだから、多分足軽とか、下っ端のはず。
ただ、兜にはそれらしい立物とかがついてるので、足軽じゃないかもしれないけど、よー知らん。

うちの会社では、扱っている商品をヤフオクで売ったりする場合もあり、その担当は他ならない凡子。これをオクで売れと言われたら、どうしよう。顔面蒼白、額にうっすら汗がにじみます。

甲冑を繋いでいる紐とかボロボロに劣化していて、写真を撮る為に箱から出したら、粉になっちゃうくらいの風化具合。

これ、触ったら絶対ダメなやつ。
ドラクエでいったら「寺から買ってきたよろいには のろいがかけられていた! 凡子はのろわれてしまった!」のパターン、間違いなし。

写真を撮ったら、落ち武者とかむっちゃ写りそう。

買う人、いるんだろうか。凡子は絶対うちには置きたくない代物なのだが。ただでくれるって言っても絶対いらない。呪われたくない。

数日ビビりまくっていた凡子でしたが、後に社長が呼んだ骨董屋が来て、無事鎧と兜は引き取られていきました。

枕元に落ち武者が立っても、気にしない、骨董が所有できればそれでいいというご奇特な方がこの世にはいらっしゃるようで。

骨董屋に売るという、社長の英雄的決断に、心が震えました。

社長、ありがとう。

そして、呪いをもたらすか見えた鎧兜でしたが、ここに来て、まさかのフェイント。結構な値段がついたようで、後日、従業員一同、蟹をたらふくおごっていただいたのでありました。カブトガニじゃなくタラバガニを。これはもう、呪いというより祝い。

社長、ありがとう。鎧兜よ、ありがとう。

教訓。お金持ちのお金に関する感覚を疑ってはならない。お金持ちの、物を見極める感覚は、やはり別格。庶民は、ただそれに従うのみ。

信ぜよ。さらば救われん。なのです。

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