既存のものよりも100倍小さいアンテナを実現できる技術が開発される 20
ストーリー by hylom
もっと小さく 部門より
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現在無線通信で使われているよりも100倍ほど小さいアンテナを実現できる技術が開発された。この技術を応用することで、脳に埋め込むようなデバイスや小型医療機器、アクセサリのように身につけられる超小型ウェアラブルデバイスなどを実現できるという(Nature Asia、Science、Nature誌掲載論文、Slashdot)。
この技術は、光と電波、音波などさまざまな電磁波で発生する相互作用を利用するもの。一般的なアンテナは対象とする電磁波の波長に対応した長さが必要だが、今回開発された技術は「特定の周波数の電磁波と共振する膜」のようなものを利用するもので、振動すると磁化状態が変化する膜を共振によって物理的に振動させ、その磁気変化を検出することで信号を受信するという。
すでにUHFおよびVHF帯での実証も行われており、同サイズの既存のアンテナよりも特性が優れていることが確認できたという。
ざっくりした説明 (スコア:3, 参考になる)
既存のアンテナは導体と電場の共鳴を使っているが,これだと波長の数分の一程度までしか小型化できない(サイズが小さくなると共鳴点から外れ,急激に感度が落ちる).
一方で,アンテナの小型化への要望は強い.
そのため,「導体と電場の共鳴」という通常の手法とは別のメカニズムによるアンテナの開発が進められている.
その一つの手法として,磁歪(変形させると磁化が変化する.逆に,磁化を変化させると歪む)を示す物質と,ピエゾ素子(電圧をかけると歪む.逆に,歪めると電圧が発生する)を積層したものが最近提唱された.
これは単純に言うと,
放射時:ピエゾ素子に交流電圧をかけ周期的に伸縮させる.すると上に乗っている磁歪材料が周期的に歪み,その結果交流磁場が生じる.
※交流電場が電波を生じ伝播するように,交流磁場も電波を生み伝播できる.
受信時:磁歪素子に電波の交流磁場が印加され,それが磁歪により周期的な歪みを生じる.積層されているピエゾ素子が周期的に歪むことから,電波を電圧変化として取り出せる.
というもの.ただ,力学的な歪みと磁歪との結合は小さいため,これまではせいぜいkHzオーダーだったり準静的な状況での応答しか実現できておらず,実用化の要望の大きいVHFやUHF帯でこの方式による素子が実現可能なのかはよくわかっていなかった.
今回の論文では,ナノサイズの薄膜素子をうまく作り,それを使うことで60 MHz-2.5 GHzの範囲でアンテナとして働く素子群を作成,その動作を実証した.
という感じ.
磁歪材料としては,鉄-ガリウム合金系(ちょっとホウ素入り)を使用.鉄-ガリウム系は20年ぐらい前に米海軍研究所あたりが開発してからちょくちょく使われるようになった素材でしたっけ.
ピエゾ素子としては窒化アルミ.
Si基盤上に電極としてPtを蒸着して,その上にAlNを成膜,必要な形状にエッチングしたのち上に鉄ガリウム合金をのせ,最後にPtの下を削って浮いたナノ薄膜にする(もちろん完全に浮いているわけでは無く,端が2箇所で細く繋がってますが).
磁歪材料とピエゾ素子がきれいに繋がってないといけないのと,きちっとした薄膜構造を作る必要があるので,その辺の材料選定がうまくいった,という感じなのでしょうか.
なお,共鳴周波数は薄膜部の厚さや形状を変えてどんな音響振動モードで共鳴させるかで変わるので,その辺は普通のアンテナと似た感じ(もちろんサイズは小さい).
Re:ざっくりした説明 (スコア:1)
なるほど。MEMSカンチレバーを利用したいわば電磁音響力学アンテナっていうところか。
なんか昔のコヒーラー検波器みたいなのを想像してた。
応用としてはメタマテリアルの実現が妥当か。
Re: (スコア:0)
感度を落とさずに波長の数分の一以下の効率的なアンテナを作れるというのなら、ぜひダイポール比のゲインを公表してもらいたいものだ
#実は既存の小型アンテナよりも少し特性が良い程度というオチがついても驚かない
Re: (スコア:0)
2.5 GHz用のやつ(直径200 μm)で今回作成したものが-18 dBiなのに対し、同サイズのループアンテナだと-68 dBiだから、このスケールでアンテナ作ろうとすれば50 dB違うよ、だって。
まあこんだけ波長とサイズが違ってれば(何せサイズが波長の1/600ぐらい)、古典的なアンテナの感度はとんでもなく低くなるしね。
100倍小さい (スコア:1)
「1/100に縮小」という意味でしょうけど。
タレコミがそうなってたのでhylom様の文責ではなさそう。
リンク先でも
ってなってるし。
電磁波の波長と周波数の関係は確か
波長(km) = 300000(位相速度?) /周波数(Hz)
だっけ。
#そして、波数は波長の逆数。
どっちも同じ現象に対する違う表現と言うか単位のような気がするけど、なんだかよくわからない。
Re:100倍小さい (スコア:1)
音叉の共鳴のようなものと考えれば分かりやすいんじゃないかな。
440Hzの音は、おおよそ80cm。その1/4波長な20cmの閉館気柱や、1/2波長な開管気柱で共鳴させることができます。空気の振動である音を、空気の振動として共鳴させるので、その波長に依存したサイズの「受信部」になるわけです。
一方、音叉を使えば、数cmサイズの音叉で440Hzに共鳴させられます。金属内の音速は遙かに速いので、空気中での波長に依存せず「440Hz」に対応した音叉で共鳴させられるわけです。
300MHzの電磁波は、その波長が1mになります。従来のアンテナは、電線中の電気の伝達を電磁波と共振させるものですが、その伝達速度はほぼ光速と同じなため、1/2波長や1/4波長とほぼ同じ、25cmとか50cmというサイズのアンテナになります。
一方、今回の研究は、「その波長よりもはるかに小さいサイズで、300MHzの振動に共振する薄膜を作成した」というものですね。
Re: (スコア:0)
>一方、音叉を使えば、数cmサイズの音叉で440Hzに共鳴させられます。金属内の音速は遙かに速いので、
>空気中での波長に依存せず「440Hz」に対応した音叉で共鳴させられるわけです。
昔、幾つかの金属(素材が判らなかったので、鉄と似てそうなその他金属)内での音速を使って、
440Hz音叉の腕の長さとか測って計算したことがあるんだけど、腕の長さと波長(周波数)の関係が
どうしても合わせられなかった記憶があります。
どうしても合わなかったんで勝手に想像したんだけど、
440Hz音叉の形状は腕が2本あるわけだけど、振動が2本の腕を交互に移動
Re: (スコア:0)
同感。
>特定の波長ではなく、特定の周波数の電磁波と共振する膜
特定の波長は特定の周波数と同等なので、違和感あります。トンデモ科学っぽい。
Re: (スコア:0)
速度が一定なら波長と周波数は同等だけど、速度が変化するなら異なりますよ?
あとは長さを見るのか時間を見るのかでも異なりますし。
Re: (スコア:0)
高校レベルの知識だけども、電磁波なんだから速度は光速で一定なんじゃないの?
Re: (スコア:0)
高校レベルの知識だけども、電磁波なんだから速度は光速で一定なんじゃないの?
光速は媒質によって変わりますよ?
Re: (スコア:0)
光速だって媒体に依るだろ?
Re: (スコア:0)
真空で重力の影響を受けないときですよね?
水中やガラスは遅くなりますよ。光の屈折は中学校レベルですけど。
Re:100倍小さい (スコア:1)
誘電率で変わるんだっけ
Re: (スコア:0)
「真空中の」光速とあるように媒質によって光の速さも変わる。
Re: (スコア:0)
ネタ元の一つは英文で"100 times smaller"って書いているので、直訳すると「100倍小さい」のかもしれない。
でも英語で良くても日本語じゃ変だよね。
Re: (スコア:0)
強磁性層の磁化が電磁波の周波数に対して共振するということを言いたいんでしょう
波長に対しての共振ではないのでアンテナの物理的サイズを小さく出来ますよという主張
衝撃の事実 (スコア:0)
音波は電磁波だった!
Re:衝撃の事実 (スコア:2)
3度読んでしまいました
小人さん (スコア:0)
アンテナの100倍小さい小人さん達が見つかちゃたんですね(走召糸色木亥火暴)
------------------------------ "castigat ridendo mores"