米国株はどのセクターも強いけれど
米国株はたいていどのセクターも国際競争力があり、強いです。医薬などのヘルスケア、P&Gなどの生活必需品、圧倒的実力の軍事防衛・・・。どの業界でも国内外で強みを発揮しているのが米国企業です。
国際的な競争力のある、そしてなおかつ変化の乏しい業界を買っておけば、保守的ではありますが安定的に配当が得られるという構図になっています。国際競争力はなくとも、不人気の電力株、公益なども含まれます。
ただし、米国株だからどういう銘柄でも良いというわけではなく、買おうと思わない銘柄もあります。それは、過当競争だったり、米国外の企業で代替可能な産業だったり、何らかの弱みを抱えているセクター、業種の銘柄ということになります。
個人投資家によってその判断はまちまちです。今回は、米国株投資家が買わない銘柄を考えてみたいと思います。
外食産業は栄枯盛衰が激しい
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飲食は日本株をやっていたころからの感覚からも言えるのですが、永久銘柄にはなりにくいと考えます。理由は栄枯盛衰が激しすぎるからです。例えばシェイク・シャック(SHAK)は上場時に騒がれましたが、今は高値の三分の一です。
開店スピードは速く、騒がれた2015年から2年たちますが、この間日本進出も果たしていますね。
他にはヤムブランズ、サブウェイ、ウェンディーズ、バーガーキングなど様々な企業が名を連ねます。知名度という意味では抜群ですが、投資対象としては難しいです。
飲食はリピーターが作れれば大きいです。しかし、リピートしたくなる店というのは私たちのことを振り返ってもオーナーシェフの店など個性のある店です。チェーンで毎月・毎週行きたくなる店というのは多くありません。
この業界での例外はマクドナルド(MCD)とスタバ(SBUX)でしょう。マクドナルドはロイヤリティ収入の向上に血道をあげているとはいえ、まだまだ直営店収入が大きいです。
スタバ(SBUX)は近年足踏み傾向とは言え、2015年までの右肩上がりは素晴らしいものがありました。
圧倒的なブランド力は確かにあります。しかし、ビジネスモデル自体が他社にもコピー可能であることは間違いないところです。ハンバーガー店やコーヒー店は日本国内を見渡しても他にあります。
ハンバーガーならバーガーキング、ロッテリア、ファーストキッチンなど。コーヒー店ならばタリーズやエクセルシオール、ドトールなど。微妙に個性は違いますが、レッドオーシャンな市場です。
そういう中でもマクドナルドの安定的シェア、スターバックスのブランド力は別格で、例外的存在と言えるでしょう。
アパレル産業の栄枯盛衰
アパレル産業も栄枯盛衰が激しいです。これもビジネスモデル自体がコピーされやすいからです。さらに、ファッションは流行があります。例えばかつてのジーンズのように、定番が売れ続ければそれは旨味があるでしょう。
しかし、H&Mやユニクロを見ても分かるように、その年その年の流行に合わせてカッティングやら素材を微妙に変える必要があります。米国株ではスポーツアパレルのナイキが圧倒的な規模と商品開発力を誇ります。しかし、やはり安泰ではありません。
先日タイに出かけたときに面白いアパレルブランドを見つけました。
ALLZ(アリーズ)というブランドです。数年前の店舗をみるとパッとしない感じがありました。しかし、今は完全にユニクロを意識したディスプレイをしており、モノも悪くありません。値札の出し方、モデル写真の出し方が似ています。
そして安くて品質も良いです。タイのユニクロは日本の値段と同じ値段で売っていますので、比較的高級アパレルです。ALLZ(アリーズ)は庶民に広く浸透している印象を受けました。写真にあるTシャツも1枚199バーツ、約600円で展開をしています。
このようにアパレルというのは常に後発にビジネスモデルをコピーされる可能性があるということです。
あえて出店を増やさず、ブランド力を維持したまま高付加価値商品で生き残る道を選ぶもありますね。日本で言うならカジュアルの老舗である聖林公司などは良い例でしょう。一般受けを狙うのか、やや尖った層を狙うのかで変わってきそうです。
持続可能なビジネスモデルの企業
例えばエアバスとボーイングしかないジェット機製造や、ミサイル製造のレイセオンなどはコピー不可能な圧倒的な存在感です。バフェット先生の言うところの「経済的な堀」の広い企業ということになります。「ワイドモート」企業ということです。
これに対して、経済的な堀が無い、あるいは狭い企業は「ナロウモート」と言い、比較的脆弱なビジネスモデルということになります。ここで言う飲食やアパレル、組み立て産業などは代替可能なケースが多いです。
そういう意味では自動車も安泰ではありません。ただ、カリスマ経営者のイーロンマスク氏率いるテスラは同列にできません。
これらの概念は米国株投資をするにあたって議論しつくされてきたところですが、改めて自分が個別株を選ぶときには押さえておきたい視点だと思います。割安割高という決算上の指標は過去の評価でしかありません。そして、流動的です。
株はその企業の未来を買うものですから、強みに注目した投資というのが王道ということになるでしょう。分かり切った強みのある企業というのは旨味は少ないですが、安定的ではあります。
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