映画「ダンケルク」の公開が2017年9月9日に迫っています。
わたしは、シンガポールで一足早く、7月20日の公開初日に鑑賞してまいりました。
(シンガポールでは公開初日ということもあり、満席となっていました。)
今回の記事では、映画「ダンケルク」の舞台となった救出作戦の後のイギリスにおける「Dunkirk Spirit」という言葉の意味について考えてみたいと思います。
【目次】
映画のあらすじ
1940年、フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミー(フィオン・ホワイトヘッド)とその仲間(ハリー・スタイルズ)ら、若き兵士たち。
一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。民間の船長(マーク・ライランス)は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロット(トム・ハーディー)も、数において形勢不利ながら、出撃。こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。勇気ある人々の作戦の行方は!?(http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/#aboutthemovieより引用)
映画「ダンケルク」では、 海岸で救助の船を待つ兵士、飛行機で戦うパイロット、そしてイギリスから所有している船で助けに向かう家族、陸・海・空の三つの視点で描かれています。しかも、2時間の映画ですが、兵士の時間軸は1週間、パイロットは1時間、家族は1日と異なる時間軸で進みます。彼ら、それぞれの行動が一人一人の命に繋がっている、と強く印象付けられるものとなっています。
しかも、セリフはほとんどなく、演者の表情、そして彼らの陥っている窮地が全てを物語っているという演出方法でした。歴史的な事件で「ネタバレ」を気にするのも変ですが、この記事ではあえて、この映画の舞台となった作戦後のイギリスにおいて「Dunkirk Spirit」のもつ意味について書いていきたいとおもいます。
映画を見る前に読みたい本!
映画「ダンケルク」に興味がある方は、以下の洋書をおすすめします!!
史実からダンケルク救出作戦に迫る内容ですが、何よりも、この本の冒頭は、クリストファー・ノーラン監督のインタビューとなっています!!映画好きの方、歴史好きの方は要チェックです!!
Dunkirk: The History Behind the Major Motion Picture
- 作者: Joshua Levine
- 出版社/メーカー: William Collins
- 発売日: 2017/06/29
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Dunkirk Spiritについて
映画「ダンケルク」が描いた救出作戦の、その後のイギリスにおいて、Dunkirk
Spiritという言葉が、いかなる意味を持つ言葉となったのでしょうか。
Dunkirik spiritとは、辞書によって意味合いが若干違うようですが、The Cambridge Dictinaryによりますと、
When a group of people who are in a bad situation all help each other.
とあります。つまりは、「困った時にお互い助け合う」という意味になります。
ちなみに、リーダーズ英和辞典第三版では、「ダンケルク魂、危機における不屈の精神」と雄々しい表現になっています。
Dunkirk Spiritが実際に使われるようになったことが確認できるのは、作戦の1年後あたりのようです。英紙Manchester Guardianの1941年7月11日の記事で、Dunkirk Spiritが使用されており、戦時下に週7日で働く工員たちにたいしてDunkirk Spiritと表しています。この場合では、「銃後の」という意味を包含しているものですが、戦後、ご近所での助け合いや、事故などに巻き込まれた時にも、助け合いの精神を意味する語として使われていきました。
しかし、そんなDunkirk Spiritにも、大きな岐路やってきます。
それは、イギリスのEU離脱に関する国民投票でした。そうです。BrexitがLeave派(離脱派)によって、叫ばれる中、Dunkirk Spiritも、この論争の最中にひきづり込まれることになるのです。
BrexitとDunkirk Spirit
2016年6月、イギリスではEU離脱に関する世論を問う国民投票を行いました。この時の離脱派と残留派の論争は、日本のテレビでも大き取り上げられましたので、覚えている方も多かいと思います。
この選挙活動において、Dunkirk Spiritが特別な意味を持つ言葉として用いられることになります。それは、離脱派によってでした。
資産家で、離脱派に多額の資金援助をしていたPeter Hargreavesが、「このEU離脱が、ナチスから逃れるため、フランスから撤退したダンケルクの作戦」と類似していることを強調し、いまこそ、Dunkirk Spiritの時である、と述べたのでした。
ヨーロッパ(EU)から、イギリスが撤退するべきであるというスローガンにDunkirk Spiritが用いられたのです。2016年の国民投票以後、Dunkirk Spiritは、以前のような「助け合い、不屈の精神」を意味するだけでなく、イギリスの孤立主義、ナショナリズムをも意味する言葉となってしまったのです。
そのため、映画「ダンケルク」が上映される際に、この映画は「Brexit以後の、Dunkirk」として注目を集めることになったのです。
それでは、映画において、Dunkirk Spiritがどのように描かれていたでしょうか。フランスやヨーロッパとの関係は?劇場に、足を運び、確認してみてくださいね。
【参考文献】
Dunkirk: The History Behind the Major Motion Picture
- 作者: Joshua Levine
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