シーリング材は建築物その他の防水性・気密性を目的とする防水材料です。
シーリング材は建築物その他の防水性・気密性を目的とする防水材料です。
長期的にその機能を維持することはもちろん、外壁さらには建物全体の美観を損ねないようなものを選択する必要があります。
シーリングの機能をより確かなものにするには、シーリングを充填する前にプライマー(接着剤の役目をする樹脂)を塗布します。
シーリング材の種類
水漏れや穴をふさぐのに何気なく使っているシーリング剤ですが、その主成分の特徴を理解しないで使用すると所期の目的を達成できないことがあります。
成分 | 種類 | 主成分 | 塗料付着 | 塗料変色 | 硬化速度 | 硬化追従 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1成分形 | 湿気硬化型 | シリコン系 (脱オキシム形) | × | - | ◎ | △ | |
変性シリコン系 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
変性シリコン系 (低モジュラス) | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | |||
ポリサルファイド系※ | △ | △ | ○ | ○ | |||
ポリウレタン系 (ウレタン) | ○ | ○ | △ | ◎ | |||
酸素硬化型 | 変性ポリサルファイド | ||||||
乾燥硬化型 | エマルジョンタイプ | アクリル系 | |||||
SBR系 | |||||||
溶剤タイプ | プチルゴム系 | ||||||
非硬化型 | 油性コーキング系 | ||||||
2成分形 | 反応硬化型 | シリコン系 | × | - | ◎ | △ | |
変性シリコン系 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
ポリサルファイド系※ | △ | △ | ○ | ○ | |||
ポリウレタン系 (ウレタン) | ○ | ○ | △ | ◎ | |||
アクリルウレタン系 |
※ポリサルファイド・・・このポリサルファイド系シーリング材は、目地の動きに追従する弾性系シーリング材として、1958年(昭和33年)に米国から輸入され、1963年(昭和38年)に国産化された最も歴史のある材料です。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、そのポリサルファイド系シーリング材の可塑剤※として輸入品時代から、1972年(昭和47年)春に有害化学物質として製造中止となるまで用いられていました。 ただし、このシーリング材で施工されたのは同年の夏頃までと考えられています。
※可塑剤・・・目地は湿度変化、地震や風圧など自然条件で変化するので、その変化に追従し、柔軟性を付与するために用いられる材料
施工箇所別にみたシーリング材
シーリング材は様々な種類があり、各成分系統により最適な施工箇所があります。 それ応じて使い分けなければ、施工中の失敗や施工後に耐久性や美観の問題が生じることになります。
種類 | 施工箇所 | 用途 |
---|---|---|
アクリル系 |
| 硬化後、弾性体となり、湿った面にも使用可。 ALCパネルの立て目地新築時のALCパネル目地に使われていますが、耐久性がないため、改修時にはほとんど使われません。 |
ウレタン系 |
| 硬化後にゴム弾力性を持つ。コンクリート、スレートなどに対し汚染がない。 耐久性は一番ありますが、そのままの状態ですと紫外線に弱く、また、ホコリを吸い付けてしまい汚れやすいため、塗膜で被せる場合に使用します。 |
シリコン系 |
| 長期の耐久寿命をもつ。変性シリコーンは、塗装可。 紫外線に強く、乾燥後はホコリも付きにくいため、仕上げ面として使用します。 (塗膜との密着が弱いため、上から塗装膜を被せる時には使用しません。) |
油性系 |
| 皮膜を形成するが、内部は非硬化。 |
ポリサルファイド系 |
長期の耐久寿命をもつ。 |
ブリード・・・シーリング材と塗膜が化学反応をおこし、仕上げ面の塗膜が粘着性を持ち、ホコリを吸い付けてしまう現象。
コーキングとシーリングの違いって?
- コーキング(Caulking):元来木船建造時に外板の木と木の間に詰めた”まいはだ”(槙肌=木の幹をたたいて繊維状にしたもの)を詰める行為をさす。
- シーリング(Sealing):秘密や内容を保障するために蝋で封印をすることが本来の意味ですが、現在では気密性や水密性を維持する行為を指す。建築で用いられるコーキングとシーリングは同じ意味として捕らえています。