- 作者: スージー鈴木
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/07/13
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Kindle版もあります。
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内容紹介
あの曲のあのメロディの何が凄いのか? 《勝手にシンドバッド》《いとしのエリー》《C調言葉に御用心》など、1978〜1985年の“初期”に発表した名曲を徹底分析。聴いたこともない言葉を、聴いたこともない音楽に乗せて歌った20代の若者たちは、いかにして国民的バンドとなったのか? 栄光と混乱の軌跡をたどり、その理由に迫る。ポップ・ミュージックに革命を起こしたサザンの魅力に切れ込む、胸さわぎの音楽評論!
この本を読んでいたら、いまや「日本を代表する国民的バンド」となった、サザンオールスターズのデビュー当時の僕の記憶が鮮やかによみがえってきました。
当時まだ小学校低学年で、『ザ・ベストテン』を毎週楽しみに観ていた僕は、そこに出演した、「なんかよくわからないことを早口で歌う、おちゃらけた兄ちゃん、姉ちゃん」に、面食らってしまったのです。
なんなんだこの人たちは……
いまの僕の年齢よりもずっと若かった母親が、サザンの曲を聴いて、「何を歌ってるのか、全然わからない。何なのこれ?こんなの歌じゃないよ」と嘆いていたのもよく覚えているのです。
この本のなかでも触れられているのですが、サザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』で登場したときは、「どうせすぐ消えるコミックバンド的な存在だろう」という雰囲気だったんですよね。
そのサザンが、『いとしのエリー』で、いきなり真面目なバラードを歌っているのを見たときには、小学生の僕もけっこう驚きました。
こういうのを「ギャップ萌え」と言うのでしょうか。
当時のサザンと周りの大人たちの評価を覚えている僕としては、今、神格化されているというか、下ネタばかりの曲でも「さすが桑田さん!こんなにビッグになっても、遊び心を忘れない!」なんて言われてしまうことに、不思議さも感じるんですよね。
あの「すぐ消えるであろうノリだけのコミックバンド」が、こんなふうになってしまうなんて。
桑田さん自身は、そんなふうにもてはやされることに、居心地の悪さを感じることもあるんじゃなかろうか。
著者は、リアルタイムで聴いてきたサザンオールスターズというバンドの初期の軌跡を丁寧にたどっています。
「日本を代表するバンド・サザンオールスターズ」として振り返るのではなくて、「学生バンドから試行錯誤しつつ、成り上がっていく過程」を描いているのです。
《勝手にシンドバッド》の歌詞に話を戻せば、重要なフレーズは3つある。
1つは何といっても「♪胸さわぎの腰つき」。この曲の中で、最も重要なフレーズ。
よく考えてほしい。「胸さわぎの腰つき」の具体的意味は何か、と。歌詞の文脈を追えば、その「腰つき」をしているのは「あんた」だから、女性だ。女性自身が「胸さわぎ」をしながらの「腰つき」なのか、もしくは「俺」に「胸さわぎ」を与えるような「腰つき」なのか。そもそも「腰つき」って何だ? 腰のかたち? 腰の動き?
つまりは、意味の連想は人によってバラバラなのである。しかし、文字列としての「胸さわぎの腰つき」が与えるイメージ連想切迫感や焦燥感、卑猥さ……などは、人によっても、かなり均一だと思う。「意味が通じないからということで、このフレーズを、スタッフが「胸さわぎのアカツキ」や「胸さわぎのムラサキ」(!)に変えようとしたという話がある。変えてくれなくて本当に良かった。
僕も子供の頃、「胸さわぎの腰つき」って、いったい何だよ?と思った記憶があります。
大人になったらわかるのか、と思っていたけれど、まあ、たしかにわかったような、やっぱりわからないような……
でも、「アカツキ」や「ムラサキ」にならなくて本当に良かったとは感じます。
あらためて、すごいセンスだなあ、と。
『ザ・ベストテン』の「今週のスポットライト」のコーナーで、サザンオールスターズが番組初登場した際の、黒柳徹子さんと桑田佳祐さんとのこんなやりとりは、もはや伝説となっています。
黒柳徹子「急上昇で有名におなりですが、あなたたちはアーティストになりたいのですか」
桑田佳祐「いえ、目立ちたがり屋の芸人で~す」
この「目立ちたがり屋の芸人」は、サザンファンの中で有名なフレーズだが、実は、事前に台本に書かれていたフレーズらしい。この発言の影響もあってか、その後しばらくサザンは、コミックバンドとして扱われる。
この桑田さんの発言、いまだったら、「芸人をバカにしている」ってネットで炎上するかもしれません。
サザンって、最初の頃は「コミックバンド枠」だったんですよ。
『いとしのエリー』以降は、けっこうイメージが変わったけれど、『チャコの海岸物語』では、『ザ・ベストテン』で、桑田さんが「ここーろーかーらーすきだよー〇〇!」の「〇〇」の部分に、アドリブでいろんな人の名前を入れるのが「お約束」になっていましたし。
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