「BORUTO -NARUTO NEXT GENERATIONS-」ナルトの子供たちが躍動する続編!
「NARUTO-ナルト-」と言えば、2000年以降の週刊少年ジャンプにおいてあの「ONE PIECE」とともに間違いなく中心にいたマンガであり、現在の若手マンガ家やこれからデビューしていくであろうマンガ家さんたちにとっても多大なる影響を与えたマンガとして語り継がれるマンガであることは、ほぼ間違いないでしょう。
また、売上部数やマスコミなどの露出度で言えば「ONE PIECE」が圧倒的なんでしょうが、連載当時、僕のまわりの友人やお客さんなど(おっさん中心ですけど)の間で”今一番面白いジャンプのマンガは?”となった時は、僕も含めてほとんどが「NARUTO」推しだったような気がするので、現代のお化けマンガ「ONE PIECE」と唯一太刀打ちしていたマンガと言えます。
そんな大人気マンガ「NARUTO」も連載が終了してしばらくたちますが、現在はその正統後継作品である「BORUTO(ボルト)」(正式名称は「BORUTO -NARUTO NEXT GENERATIONS-」)が「NARUTO」も連載されていた集英社の少年ジャンプに連載されていることをご存知の方も多いでしょうが、最近ちょっと個人的に”微妙じゃね?”と思い始めたので取り上げてみることにしました。(画像引用:週刊少年ジャンプ「BORUTO -NARUTO NEXT GENERATIONS-」より)
「BORUTO -NARUTO NEXT GENERATIONS-」とは
「BORUTO -NARUTO NEXT GENERATIONS-」(以下「BORUTO」)とは1999年から2014年まで集英社の週刊少年ジャンプで連載された大人気漫画「NARUTO-ナルト-」(以下「NARUTO」)の正式な続編であり、2016年より月1回のペースで連載されています。
前作と大きく違うところは「NARUTO」の作者岸本斉史(きしもとまさし)さんが執筆しているのではなく、彼の元アシスタント(「NARUTO」に約15年近くかかわっていたそうです)であった池本幹夫(いけもとみきお)さんが書いているという点です。
元々の原作者であった岸本先生はあくまで「NARUTO」の設定を考えたという位置づけからか原作・監修という立場でこの作品にクレジットされており、ストーリー(脚本)に関してはアニメ版に関わった小太刀右京(こだちうきょう)さんの名前がクレジットされています。
ストーリー
前作「NARUTO」ではマダラやオビトが原因となっておきた第四次忍界対戦を戦ったあと、最終的に最終的に諸悪の現況であったカグヤを、主人公うずまきナルトとうちはサスケの活躍により倒して終了します。
今作ではその正式な続編ということもあり、もちろん設定はそのままで前作の終了から十数年たった木ノ葉隠れの里が舞台となります。
主人公は前作の主人公ナルトと同期の日向ヒナタの長男うずまきボルトが主人公であり、ナルトは6代目火影はたけカカシのあとを継いで7代目の火影の任についており、ボルトは前作のナルトが登場した年齢と同じぐらいでのお話となります。
登場人物
「NARUTO」が終了して週刊少年ジャンプを読まなくなったという人も多いと思うので簡単に登場人物を紹介しておきます。
うずまきボルト
父は七代目火影うずまきナルト、母は血系限界”白眼”の日向一族の本家の長女ヒナタであり、父ナルトがどこの出かも分からない(実際は四代目波風ミナトの息子なんで良血なんですが・・・)スタートだったことを考えると、超良血のボンボンで雲泥の差があります。
性格は子供時代のナルトと同じような設定になっていますが、師匠はナルトのライバルうちはサスケであり、彼を尊敬しています。
うちはサラダ
父はナルトのライバルであり同志のうちはサスケ、母は前作のヒロイン春野サクラなので、同じチームの一員が両親ということで、ボルトの幼馴染となっています。
ボルトが白眼を開眼していないのに対して、サラダはある出来事がキッカケですでに写輪眼を開眼しています。
性格は父に似てクールですが、体力は母サクラの影響を受けてかパワー系女子に進みそうです。
感想
さてここからが「BORUTO」の感想です。
2014年に「NARUTO」の連載が終了しましたが、当初”ナルトロス”に陥いった人も多かったのではないでしょうか。
ジャンプを手に取れば、とりあえず「NARUTO」と「ONE PIECE」、「BLEACH」とりあえずこの3つは間違いないので読むという人も多かったでしょう。
中々これに続く作品の突き上げがなかったので、”おいおいジャンプ大丈夫かいな?”と思いつつ、15年も連載していた作品なので僕も少し寂しい気分になりました。
その後、少しの時間をおいての「BORUTO」の連載が発表されましたが、作品が作品なだけに当初は”余計なことをしなくていいのに”と思いましたね。
実際、どんな酷い続編がでてくるのか心配で心配でしょうがありませんでした。
絵はイマイチだったが中身は「NARUTO」だった
そんな不安しかないまま「BORUTO」の連載が始まりましたが、最初は全体的に絵の線が細かったですね。
このあたりが15年も連載していた連載作家とアシスタントの絵の違いなんでしょうが、絵についてはどうしても長年「NARUTO」になれていただけに、絵の弱さやスピード感のなさが気になった方も多いのではないのでしょうか。
ただ、良かった点はしっかりと「NARUTO」の続編として成立していたところでしょうね。
おそらく連載開始にあたって原作の岸本先生のチェックとアドバイスなどの打ち合わせはかなり綿密におこなわれたのでしょうが、前作の良さの一つであった登場キャラクターの色分けがしっかりできていて、新キャラクターとなる前作の子供たちもぜん親世代と同様に魅力的なキャラクターに仕上がっていました。
ギリギリではあるものの、なんとか期待を裏切らずに連載が開始された感じでした。
徐々に絵に力強さが出始めた
連載が開始されてから約1年近くが経ちましたが、当初は少し弱いと感じた画力の部分に関しては最近は絵に慣れたせいもあるかもしれませんが、全く気にならなくなりましたね。
最近は色々な雑誌で本作品のスピンオフとして別のマンガ家が連載をしている作品も多くなりましたが、ほとんどの作品が”ぱっちもん”感タップリなのに対して、この「BORUTO」に関しては非常によくできていると思います。
おそらくまったく先入観をもたずに週刊少年ジャンプを久々に読んだ人なんかは、書いている人が変わっているのに気づかないかもしれません。
また前作の主要キャラクターであるサスケもしっかりと登場しますし、サクラの体力馬鹿ぷりが発揮されるシーンもあるので、中々ストーリー的に見どころがあります。
未読の方のために詳しくはきませんが、本当の母親は誰か探す話なんかはナルトぽくって面白かったですね。
敵キャラクターの個性が弱い
さてここからが、この作品に対する注文なんですが、最近絵については満足なレベルになってきたものの、ストーリー面に関してはかなり弱くなってきたように感じます。
なんというか見ていてワクワクしないというか、続きが気になりません。
つまりそれほど面白くない(それでも他の連載作品よりはマシ)というわけなんですが、なぜか?と考えてみると、その原因は敵キャラクターにあるような気がします。
月一連載なのでそれほどまだ話が進んでいるわけではありませんが、前作では序盤で音忍が登場したり、口寄せや尾獣を使った戦いなどの他に、暁という木ノ葉隠れの上忍たちが束になってもなんとか互角という、かなり魅力的な敵キャラが登場したりしました。
特に暁のメンバーなんかは敵キャラクターであるにもかかわらずスピンオフができるほど、個性も立ち絶望感、ワクワク感などもあったりしました。
ところがですね、「BORUTO」の敵キャラクターが兎に角しょぼい。
当然まだ忍者学校に入ったばかりのBORUTOが相手するような敵なので、あまり強すぎるキャラクターを登場させるわけにはいかないとは思うんですが、個性が弱いですね。
面白いマンガやアニメというものには前作のように魅力的でいて愛すべき敵役というものがいるべきなんですが、まだこの「BORUTO」という作品にはそこまでのキャラクターが出てきていないので、それが作品としての弱さにつながっているように感じます。
前作のキャラクターをもうちょっとリスペクトすべき
あともう一点気になった点としては、前作の主人公ナルトとそのライバルであるサスケの扱いでしょうか。
前作の最後では話としてはグダグダになった(笑)ものの、最終ボスのカグヤを共闘してやっつけた二人ですが、いわばこれって二人が歴代最強の忍びになったことに間違いないとは思うんですよね。
その二人がBORUTOのまわりに出てきた敵キャラに苦戦とまでは行かないまでも一瞬遅れをとるというのは、前作ファンとしては納得いきません。
また「BORUTO」の連載の最初のページでナルトはすでにいなくなっているのを匂わせる発言がセリフの中にありましたが、九尾がしっかりと搭載されているナルトが特段病気になっているわけでもなく老け込んでいるわけでもないのに、こういった展開は少し面白くないような気がします。
このあたりはいかにもアニメ業界出身の人が脚本を担当しているだけあって、少しばかり行き当たりばったりな話のような気がします。
もし、前作ファンであればやはりナルトとサスケはこのマンガの世界では二大巨頭ではあるべきで、正体不明な敵が主人公BORUTOの前に出てきても、最後はかれら二人が圧倒的な力で敵を倒したり、息子たちを援護するというベタな展開を見たいのではないのでしょうか。
結局のところ、連載開始当初はしっかりとした打ち合わせで作られた登場キャラクターたちはしっかりしていたものの、最近はその貯金が底をついてしまっているような気がします。
まだまだこれからのマンガで可能性も感じる作品ですが、このままだと一気にアニメのオリジナルストーリーのようにクソ化する可能性もあるので、原作愛を感じさせる展開になるよう期待したいものです。