海に出現した膨大な量の魚の群れは、自然が作り出す驚くべき光景の1つだ。けれどもサメにしてみれば、食べ放題の大宴会のようなものかもしれない。(参考記事:「【動画】サメやクジラも結集!「世界最大の魚群」」)
その日、ドローンを携えて海を訪れていた行楽客が、ホラー映画さながらの場面に遭遇した。ニューヨーク州郊外にある米国有数の保養地ハンプトンズの沖で、数匹のサメがニシン科の魚メンハーデンの大群に襲いかかる様子を目撃したのだ。(参考記事:「サメが群がる「狂乱索餌」の動画が話題に」)
ただし、これは珍しいことではないと、米マサチューセッツ州海洋漁業局の上級科学者グレゴリー・スコマル氏は話す。「この海域のサメの回遊パターンはよく研究されていて、巨大な魚群を定期的に襲うことがわかっています。今年は、この海域のメンハーデンの群れが大きくなっているので、サメによる捕食が例年よりも多く観察されています」
スコマル氏は、動画のサメはメジロザメかドタブカだろうと考えている。どちらも北大西洋沿岸ではよく見られるサメだ。「これらのサメは、米国東海岸の海域を季節ごとに移動しながら暮らしています」
サメたちはハンプトンズ沖にもしばしばやってくるが、スコマル氏によると、いずれも人間に危害を及ぼすことはないため、行楽客が恐れる必要はないという。(参考記事:「相次ぐサメの襲撃、防衛策は?」)
近年、ハンプトンズ沖ではサメの活動が盛んになっていて、昨年はホホジロザメの赤ちゃんが9匹誕生したと報告されている。サメを研究する非営利組織OCEARCHはこれらのデータから、米国大西洋沿岸に生息するサメはニューヨーク州のロングアイランド辺りで生まれ育つのかもしれないと推測している。
スコマル氏によると、ドローンを利用してサメの採餌行動を記録することで、新たな角度からサメを見られるようになったと言う。(参考記事:「ドローン空撮の最高峰 コンテスト優秀作23点」)
「今回のような映像は、ドローン技術の利用によって初めて可能になりました。サメの自然な生態や、食う食われるの関係を目の当たりにできて、非常に興味深いです」(参考記事:「【動画】拿捕の中国船にサメ数千匹、ガラパゴス」)