幼い頃は見るもの全てが新鮮で、毎日が冒険の日々でした。
ジャングルジムは無敵の要塞だし、大人はなんでも知っているすごい人だし、白線の上しか歩けなくて困ったり、バリヤーを張ればどんな攻撃も無効でした。
今回紹介する『メイドインアビス』はそんな空想の日々を思い出させるRPGのような世界観で描かれる冒険ファンタジー。アニメも絶好調で一躍知名度をあげています。
可愛らしい絵柄と裏腹な嗜好とハードな展開が面白く、結末が非常に楽しみな作品です。
あらすじ
限界深度2万メートル以上!?
人類最後の未踏の深淵には何があるのか…?
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。
「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』呼ばれるようになっていった。
アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。そんなある日、リコはアビスを探窟中に、少年の姿をしたロボットを拾い…?
細密で独創的な絵柄が魅力のイラストレーター界の鬼才・つくしあきひとが、待望の商業デビュー!!
幻想と機械が入り混じる大冒険活劇、第一巻がついに登場!!
作者の紹介
神奈川県出身。コナミに勤務した後、2010年よりフリーのイラストーターとなる。細かい描写とストーリー性のある絵が特徴。尊敬する人物としてノーマン・ロックウェルを挙げている。WEBコミックサイト・まんがライフWINで連載中の『メイドインアビス』が2017年7月にテレビアニメ化された。
作者ブログ(http://doorbeetle.sakura.ne.jp/)
pixivに載せてるイラストがまあ凄いんですわ。ぜひ覗いて見てくださいまし。
壮大なスケールで迫る「アビスの謎」
人類最後の未踏「アビス」には理を越えた不思議な遺物が眠る深淵。
地球上でも深海はいまだ不明なことだらけだと聞きますが「アビス」は構造もおおまかにわかるだけで、その全貌は長年謎に包まれています。
深淵に眠る上級遺物は通常では考えられないものばかり。特級遺物一つで国の勢力図が変わるほどの力があります。確かにこんなものがあれば一生遊んで暮らせそうです。
時間停止物のAVにはこんな特級遺物が…おっとやめときます。
こんなものが眠っているならみんな探しに行くのも当然です。
さあ希望に満ち溢れた冒険の始まりだ!とワクワクが止まりません。
しかし、そこには多くの危険な生物が潜み、遺物を見つけてウッキウキな冒険者の帰路を阻む原因不明の謎の現象が待ち受けます。
ここで原因不明の謎の現象とは一体なんなのかご覧ください。
何か設定が重くない?( ゚Д゚)
というかどうやって帰るの( ゚Д゚)?
というのが物語の結末で私が気になるところです。
・主人公のリコとレグは、なぜそんな過酷なアビスに潜るのか。
・彼らにどんな過酷な試練が待ち受けるのか
ぜひ読んで確かめてみてください。
ほんの少しですがこのブログでもその一端に触れていきます。
戻れない旅に挑むものたちに希望はあるか
本編はテンポよく進行し、既刊6巻では深界六層まで到達しています。
迫りくる困難や目を覆いたくなるような事実と対照的に、下に進めば進むほど、アビスはその神秘さを増していきます。
こんなところ実際に見れたら「すごいな~」「美しいな~」「ワクワクするな~」という気持ちになりますよね。何も心配がなければ。
主人公のリコたち、そして私たち読者は、常に覚えていかなければいけないことがあります。それは帰路を阻む謎の上昇負荷。
六層の上昇負荷「人間性の消失 もしくは死に至る」で人間性を消失して生き残ってしまう前者のパターンでは、一体どうなってしまうのかご覧下さい。
もうどうやったって 元には戻れない
頭では分かっていることも、実際に体験してみないと分からないことって沢山ありますよね。虫歯になって初めて歯磨きの大切さを知ったり、身近な人が亡くなって初めて命のありがたみが分かったり。
「人が嫌がることをしてはいけません」と言われても、実際に痛い目にあうまでは懲りないだろうなという人も中にはいました。若い時なら許される経験があります。手遅れになる前に色んな経験をすると選択肢が広がって人生が楽しくなるはずです。
また若い人に限らず、変わろうとする意志があればきっと変われます。後悔は常について回るものです。リコたちはそうした「後悔するかもしれない」という不安を乗り越えて、アビスに踏み出すという大きな経験をしています。
そういう経験を積んでいくことで少年から青年になり、無知の知や足るを知ることで青年から大人になっていくのだと思います。
こんな人によっては心が折れてしまうような過酷な事実にも、彼らは決してくじけません。
なぜくじけないのか。それは子どもだからという理由も多少なりとあるでしょう。
しかし、子どもだから起こせた行動、勇気、それでも知りたいという渇望もまた決して侮れません。それらは彼らの決意と成長の源です。
子どもだから起こせた行動、勇気、知りたいという渇望。くじけない心。これらをあなたは今も覚えていますか?
もしこうした野心を、たとえ心の奥底であっても失くさず持っていたならば、『メイドインアビス』を面白いと感じるかもしれません。
度し難い性癖のオンパレード
さきほどなんかいいことっぽい発言をしたにも関わらず恐縮ですが、子どもの頃に、このマンガを読むとなかなか罪深い思い出になりそうです。
『メイドインアビス』では「度し難い」という言葉がよく出てきます。
意味が分からない人も、何となく分かる人も、ここで一度おさらいしておきましょう。
度し難い(どしがたい)[形容詞]
・道理を説き聞かせてもわからせようがない。
・救いがたい。どうしようもない
救いがたい
どうしようもない
色々とまずい人に対して使われそうな言葉なのがお分かりいただけただろうか。
作者の自虐も込められてそうです。どう度し難いのか、実際に見た方が早いですね。
ちんちんて何?
ああ!『パパ棒』のことか!
お前の触り方が いやらしいからだろぉー!!
無邪気そうなキャラにこういう経験を積ませる作者。嗚呼度し難い。度し難い。
チラッと出てきたナナチさんはケモナーの血を滾らせ
可愛らしいキャラたちのキャッキャウフフはロリコンやショタコンの血を
彼らの苛酷な試練の数々はリョナラーの血を騒がせます。
「パパ棒」ってどんなタイミングで生まれたんでしょうか。私気になります。
そういえばおへその穴に何かを突っ込もうともしてましたね。度し難いですね。
色んなワードが出てきましたが、知らなくても全然困らないです。良い子の皆さんは検索しなくても大丈夫ですよ。
読んでみようかなってときに注意する点はここら辺で、ストーリー自体はとても面白いです。逆にここら辺にぴくッと反応するならそれはそれでより濃い人生が送れそうです。みんな違ってみんな良い。
【感想まとめ】
「戻れない旅」に挑む冒険者の話。 この絵柄でなかなかにエグい内容をやるというアンバランスさが何とも勧めにくいですが、面白いです。 RPGでもここまで凝った設定も珍しいのに、それが独り歩きせずに面白く描けてるのが凄い。ロマンに溢れてます。
ここ大丈夫かなという部分も、評判を適当に見る限り悪い話はそんなに聞きませんし、杞憂なのかもしれません。個人的にはR12指定ぐらいの感覚で、RPGが好きな人や業の深い者たちなら間違いなく好きだと思います。
今回はこの辺で。なかなか上手く魅力を伝えるレビューを書くのは難しいですが、これから徐々に慣れていきたいところです。それではまた。