イエレン議長は続投アピールというより、思いの丈を表明-規制巡り
- ジャクソンホールの年次シンポでの講演で金融規制の意義強調
- 来年2月が任期満了のイエレン議長、規制では大統領とは異なる世界
イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が25日、ワイオミング州ジャクソンホールで行った注目の講演は、来年2月の任期満了後の続投をにらんでアピールするというよりも、思いの丈の最後の表明とも受け止められる内容だった。
イエレン議長はカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで、金融危機を受けて過去10年間に導入された広範な金融規則をおおむね擁護し、自身を交代させるかどうか決定権を握るトランプ大統領の反規制の立場とは距離を置いた。
一連の規制は経済を過度に損なうことなく金融の安全性を高め、こうした規制を緩和させるなら「控えめ」なものにとどめるべきだとイエレン議長は語った。
キャピタル・アルファ・パートナーズのアナリスト、イアン・カッツ氏はこの発言の趣旨について、「自分を再指名するつもりなら、金融規制を巡るトランプ氏の世界観を受け入れない人物を続投させることになるという点を大統領は知っておく必要があるとのメッセージを発しているように見受けられる」と解説した。
トランプ大統領は7月、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、イエレン議長(71)続投の可能性も検討しており、国家経済会議(NEC)のコーン委員長や他に2、3人の候補者がいると発言。ただ、ブルームバーグのエコノミスト調査では、コーン氏起用に比べてイエレン議長続投の可能性は低いとの見方が示された。
エバコアISIのクリシュナ・グハ副会長は、「規制の中核部分を擁護するというイエレン議長の判断によって、政権内で同議長続投を快く思わない勢力が発言力を増すだろう」と指摘。「少なくとも今のところ、トランプ氏は金融政策についてイエレン議長に文句がないが、規制を巡る両者の優先事項は極めて異なっている」と話した。
原題:Yellen Gives More Swan Song Than Job Audition in Jackson Speech(抜粋)