前回の記事で、御在所岳に登ったこと、御在所岳の魅力について書きました↓
とても素晴らしい山なんですが、道迷い、遭難、滑落事故が多数起きている山でもあります。かくゆう私も、先日の登山の際にまさかの道迷いで、なんと山岳警察に救助をお願いする事態になってしまったのです。
山登りで道に迷って遭難するなんて、こんなみっともなくて恥ずかしい話をブログに書くなんて、やめようかどうしようか迷ったのですが、どうしても書かずにいられない思いがいろいろあったので、批判されるのを覚悟で書こうかと思います。
迷った場所
御在所岳の中道というルートを下山していたときです。7合目を過ぎて少し行ったあたりに、写真のようにロープが張られている個所があります。
この先に大きな岩があって、キレットになっているのですが、私はそれに気づかずこの岩の先には道は無いと思ったんです。どちらに進んでいいかわからなくなり、岩を登ってみたりもしたんですが、登山道らしきものを見つけることができず、なんとなく下れそうな坂道へ入って行ってしまいました。
登山ルートは、その岩を登って超えていかなければいけなかったのですが、事前の知識もなく地図も持っていなかったために、誤った道へ行ってしまったのです。
道に迷い、あっという間に遭難
そのまま、道なき道を下って行き、途中で「絶対におかしい」と思いながらも、すでに引き返すことができないくらい進んでしまっていました。
山って、怖いですね。改めて思いました。
ちょっと登山道から外れると、なかなか元の場所に戻れないんです。特に坂を下ってしまうともう登れない。
ずるずると、滑るように斜面を下っていくと、なんとなく道っぽくなっている場所があったので、これは!と思いその道っぽいところを進んでいくと、頭上の高いところにロープウェイが行きかうのが見えました。
なんとなくほっとしてそのまま道っぽいところを進んでいきましたが、その先にあったのは断崖絶壁でした。
これはもうだめだな、これ以上進んだら死ぬ。
と思いました。まだ時間帯はお昼の15時くらいで、ロープウェイからは時々人の声が聞こえてきて、天気も良くおだやかな山の中でしたが、私は死ぬか生きるかの瀬戸際にいる気持ちでした・・・。
どうしようもなくなり、救助を要請
意を決して、とりあえず御在所ロープウェイの代表電話に電話してみたところ、遭難したのなら警察に救助依頼をしてくださいとのこと。
携帯電話があって良かった。
おしえてもらった四日市西警察署に電話をすると、「とりあえず110番通報して下さい」とのこと。
言われた通り、110番通報し、状況を伝えました。
「救助に向かうので、そこから絶対に動かないでください」と言われ、その場で待つことに。ひとまず安心しました。警察は携帯のGPSを頼りに救助に来てくれるそうです。
携帯があって、ほんとうに良かった。
そこから1時間くらい、その場で待ちました。
万が一発見されなかった時の事を考えて、なるべく体力を温存しておこうと思い、横になってひたすら待ちました。
青空を見上げながら、息子のことを考えたり・・・。
息子のことを考えると涙が出そうだったので、もう何も考えないようにしました。とにかく体力を回復させなければ。
1時間ちょっと経過したころ、ふと頭上のロープウェイから「おーい!」と呼ぶ声が聞こえました。
「よかった。救助の人が発見してくれた!」
と思ったのですが、声をかけてくれたのは山岳警備隊の人ではなく、たまたま業務中でロープウェイに乗っていた御在所ロープウェイの職員の方だったのです。
声をかけてくれた職員の方に救助の要請をしたことを伝えると、その方は警察と連絡をとってくれ、なんと自ら私を救助しに来てくれたんです!
そのころ警察の方はちょうどロープウェイで山頂に向かっているところだったので、警察よりも先に、その職員の方が来てくれたのです。最初はその方が山岳警察の方ではないと全然気づきませんでした。救助隊の人が来てくれたんだと思ったんですよね。
その方は、崖の先のほうからなんの装備も持たずに軽装で、「え、そんなところ人間が歩けるんですか!」と思うような断崖絶壁みたいなところを歩いて私のところまで来てくれました。
その方は、御在所岳ロープウェイ株式会社の運輸技術部長である 樋口達也 さんという方。
樋口さんは、とっても優しく私を安全な場所まで誘導してくれました。樋口さんが歩いてきた道なき道を一緒に歩いて戻ったのですが、私のリュックを持ってくれ、私が安全に進めるように、最大限のサポートをしてくれました。
その道なき道を進むのが、本当に本当に怖かった。
崖っぷちで、道なんてなくて、一歩間違えたら谷底に転落するような場所を、生えている草を掴みながら進んでいくんです。心臓バクバクで泣きそうな道中、先を行く樋口さんが私の手をしっかり掴んでくれて、
「絶対に大丈夫!」
「僕が手をつかんでるから、絶対に落ちないから大丈夫!」
「絶対に大丈夫!」
と、力強い声で、何度も言ってくれました。
その言葉で、どれだけ安心できたことか。
山岳救助隊でもなく、登山のプロでもないのに、こんなに頼りになる誘導ができるなんて、並大抵の人じゃないです。運動能力が優れているというのもありますが、この人は精神的にものすごく優れたものを持っている人だと思います。
そんな危険な個所を歩くときも、笑顔を絶やさず、私の不安を取り除こうと、気がまぎれるようなおしゃべりもしてくれました。
とにかく絶叫したくなるような恐ろしい道のりだったのですが、一番最後の最大の難関が、私にとっては眩暈を起こしそうなくらいの場所でした。
ロープウェイの中継地点の大きな柱に登っていくために設置されている、鉄の細いハシゴなんですが、それがもうめちゃくちゃ高い位置にあって、周りに何もなくて、ほんとに細くて途中でちょっと歪んでいる個所がある錆びた鉄のハシゴなんです。
それを見た時、一瞬「ムリ・・・」という言葉が出そうになったくらい。
私って、かなりの高所恐怖症なんです。
このハシゴを登るのは、まさに決死の覚悟でしたね。槍ヶ岳のてっぺんに上るときのハシゴも最強に怖かったけど、このハシゴは槍ヶ岳を上回る恐怖でした。
それでもなんとか登りきることができたのは、樋口さんの声掛けとサポートがあったからだと思います。
一人では絶対に無理だった。
ハシゴを登った先では、ロープウェイのメンテナンスをしてる方々が数名お仕事をされていて、みなさん優しく声をかけてくださいました。体力が低下している私にブドウ糖をくれたり。
ここまで来て初めて、樋口さんがロープウェイの職員の方だということを知りました。冷静に考えればすぐにわかりそうなものですが、遭難して思考回路が正常じゃなかった私は、彼がものすごい軽装なこととか、何も装備をつけていないこととか全然気づかなかった。
靴が登山靴じゃないな、とは思ってたけど。
今思えば、しっかりした登山靴を履いていないのにあの道を歩いてきたって、すごい。
樋口さんは、その場でもとても私の事を気遣ってくださり、自分も汗だくになっているのに、薄い板で仰いで私に風を当て続けてくれたりしました。
そして、私の疲労困憊の様子を見て、いったんロープウェイを止めてここから乗って下まで降りたらどうかという提案もしてくれました。
しかし、さすがにそれは申し訳ないと思い、なんとか心臓のバクバクも収まってきたので、登山道に戻って歩いて降りることにしました。
それに、山岳警察の方が私を救助するために上から降りてきてくれているので、それを放置してロープウェイに乗るのもかなり気が引けたし。
ロープウェイの柱の上から登山道に戻る道もまた、恐ろしい道でしたが、なんとか登山道に戻り、警察の方との合流地点まで樋口さんが誘導してくれました。
その道中も、中道の魅力や珍しい岩の話などをしてくれ、そのおかげで、そんな状況でもとても気持ちが落ち着きました。
本当にいい人。
本来の仕事ではないのにも拘わらず、時間と労力を使ってこんなに一生懸命にサポートしてくださって、本当に感謝の言葉もありません。しかも、ただ単に時間と労力を使っているだけじゃなく、自分の命も危険にさらして救助してくれたんですからね。
なんて素晴らしい人なんでしょうか。
この人の下で働いている人は本当に幸せだろうなって思ったし、この人の家族も本当に幸せなんだろうなって思いました。
その時は猛烈に気が張っていたので弱気になったりしませんでしたが、あの時、樋口さんにかけていただいた言葉や、しっかり掴んでくれた手のことを思い出すと、今になって涙が出てきます。
本当に、本当に、ありがとうございました。
山岳警察の方について
とっても素敵な人への感謝の気持ちの後に、こんな話は書きたくないんですが、やっぱりどうしても言いたいことがあるので、書いちゃいます。
合流地点に来てくれた山岳警察のお二人。
一人の方は「けがはないですか?」と聞いてくれましたが、もう一人の方は、現れるなり横柄な態度で「だから単独で登山するとこうゆうことになるんだと」と説教されました。
そして、「歩きながらの事情聴取なんて疲れるから、もう西署に連れてくわ」と。
え?連れてくって? 連行ですか?
私、なんか悪事を犯しましたか?
で、下る道中も、なんだかひたすら文句ばかり言っている警察の方。なんなんでしょう。なんかほんとすいません。めんどくさいことさせちゃってほんとすいません、って思わせるような態度なんです、ずっと。
しかも、その二人がやたら内輪でいろいろ揉めていて、なんか団結してないってゆうか、っ警察官同士が嚙み合ってない・・・。無線でもやりとりも、無線の相手の人に向かって悪口ばっかり言ってるし、なんだかすごく感じ悪かった。
で、登山道の入り口で待機してくれていたパトカーに乗ることに。そのパトカーの運転してる人もすごく嫌な感じでした。そもそも、何も聞かされずにただパトカーに乗せられて、とにかく何も説明が無い。で、また何か内輪でいろいろ揉めたりしてる。
なんだか本当に雰囲気悪い。車中でも仕事の愚痴ばっかり言ってるし。
でも、文句は言えませんよね。忙しい中、わざわざ私のために3人も動員して、重装備で山を下りてきて、命懸けで救助に向かってくれたわけですから。
登山で道に迷って遭難して救助を要請するなんて、本当に申し訳ないと思っているし、多大なご迷惑をおかけしたと思っているし、来ていただいて本当に感謝してます。
でも、でも、それでもやっぱり物申したい気持ちになるような、酷い対応だったわけですよ。四日市西警察の方は。
救助に来てくれたお二人は途中で降りられ、運転してきた警察官と二人になり、「これからどこへ行くんですか?」と聞くと、ここから車で20分以上かかる西警察署に行って取り調べをする。との事。しかもその取り調べは1時間くらいかかるそうで。
なぜ、わざわざ西警察署まで連行されなければいけないのか、意味が分かりません。
その時の時間はすでに18時半すぎ。私は駅の近くの宿を予約しており、宿の人から電話がかかってきて「19時までに入ってもらえないと夕食が手配できない」旨を伝えられたので早く宿に行きたかったのと、もう疲労のレベルが半端なくて、とにかく早く身体を休めたかったという状況もあって、その警察官の人にお願いしたんです。
「なんとか取り調べはこの場でしていただくか、明日にしてもらえませんか」と。
私のその言葉が警察官の怒りに火をつけたようです。
そもそも、最初から遭難者の救助というものに不満があったんでしょうね。ずっとブツブツ文句を言っていたし(虫に刺されたとかなんとか)。
その警察官は、
「警察はただでさえ人手が足りていないのに、山に登って遭難した人間から110番通報があると夜勤明けでもなんでも行かなけれないけない。こっちは命懸けなんだ。警察をタクシー代わりに使うな。有難いと思え、感謝の気持ちが無い。警察はサービス業じゃないんだ。」
というような話を延々としました。
言いたいことは分かります。腹が立つ気持ちも分かります。
でもね、私もさすがに腹が立って色々言い返しましたよ。私だって悪気があって遭難したわけじゃないし、気軽な気持ちで救助を要請したわけではないんです。
軽く、喧嘩してしまいました。
若造の警察官を相手に感情的に言い返してしまった私も良くないとは思いましたが。
確かに、多大なるご迷惑をかけていることは事実です。本当に申し訳ないと思っているんです。来ていただいて本当に感謝しています。
でもさ、その対応は無いんじゃないの?警察さん。
そもそも、遭難した人を救助をするのは警察の仕事ですよね?
なんで仕事中に、ぐちぐち仕事に対する文句ばっかり言ってるの?
やりたくないなら、やらなければいいじゃない?
仕事に対するプライドとかないの?
警察の方のその言いぐさは、「遭難者の救助なんで仕事めんどくせーし、ダルイからやりたくないんだけど、公務員だからしたかなく来てやってんだよ。おめーら有難く思えよ。」と言っているようにしか聞こえません。
警察官はサービス業じゃないだって?
いや、サービス業でしょ、公務員は。だって、困っている人を助けるのが警察官の仕事じゃないの?困っている人を助けるのって、サービス業みたいなもんじゃん。
大体、「警察はサービス業じゃない」なんていうセリフを吐く人に、助けてもらいたいって思わないよね、普通。
なんでそんなに「助けてやっている」という上から目線なんでしょうね。
てか、何様なの?
こうゆう人がいるから、警察って嫌われるんでしょうね。
市民の安全を守るために、日夜働いているんでしょうけど、それを仕事だと思っていないようです、この警察官は。
やりたくないけど仕方なくやっているボランティアみたいなものだと思っているんでしょうか。
そもそも、人としてどうなの?ってことですよ。
山で遭難した人に対する対応って、もっと優しくなりませんか?普通。
私、なにか犯罪を犯してパトカーに乗っているわけじゃないんですよ。遭難をしたのは自業自得だってことは分かっています。私が悪いのは分かっています。迷惑をかけているのは重々分かっています。
でもね、山で一人で道に迷って、遭難して、歩き回って、不安で、心身ともに疲れ切っているんですよ。そんな人間を相手にあんな態度がとれるのって、人としておかしいと思うんです。
あの警察官の人間ができてない。
なぜあんな風になってしまうのか、育った環境が悪かったのか。謎ですが、警察官にはそうゆう類の人間が多いというのは、よく聞く話ですよね。
もちろん、そうではない、素晴らしい人間性を持った警察官の方もたくさんいらっしゃると思いますので、一概に警察官はどうのこうのとは言えませんが、とにかく、四日市西警察署の若造は最悪でしたね。
警察署についてからも、横柄で高圧的な態度は変わらず。「俺よりももっと厳しい上の人に自重聴取されるから覚悟しろ」的なことを言ってきました。
なんだそれ、小学生かよ。あほかよ。
それと、「ハッキリ言って、いま俺の腹わたは煮えくり返ってるから」
とか言われた。
なんだそれ、あなたの腹わたの煮え具合のことなんて知らんし!
警察署ではお決まりのマニュアルに沿った簡単な事情聴取と、始末書を書かされました。
その始末書も、マニュアル通り。始末書の見本を見せられ、それを丸写しすればいいとの事。
なんだそれ?
そんな丸写ししただけの始末書なんて、書く意味あんの?
お役所仕事はほんと、バカバカしい。
警察署で対応してくれた警察官の方は、まともな方で良かったです。大人な対応をしてくださいました。
しかし、車で20分以上かかる場所にある警察署に勝手に連行しておいて、その若造のいう事と言ったら「ホテルに電話して迎えに来させます」だって!
あんた、まじで何様なの?
結局ホテルに電話してくれないし、結果タクシーでホテルまで戻ることになって・・・。なんであんな遠いとこまで連行されたのか、未だに意味が分からない。
あー。ほんと、警察なんて大嫌い!!!
救助に来てもらっといてこんなこと言うなんて、罰が当たると思うし、失礼にもほどがあるということは重々分かっています。
だけど、やっぱり警察なんてバカヤローーーーーーー!!!
と、どうしても言いたかったのです。
あの若造の警察官には、御在所ロープウェイの樋口さんの爪の垢を煎じて飲ませたいわ!あいつがこのまま公務員という職業に胡坐をかいて年をとって管理職になると思うと、将来の日本が不安で仕方ない。
もし、実際に私を救助してくれたのがロープウェイの樋口さんではなく、あの警察の人だったとしたら・・・。不安であの恐ろしい道を歩けなかったかもしれません。
そう考えると、恐ろしい。
先に樋口さんに発見してもらえて、本当に良かった。
いまここで生きているのも、樋口さんのおかげだと言っても過言では無い。命の恩人です。
今回の遭難で、本当にたくさんの人にご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした。
次からはちゃんと準備して、責任を持って行動します。
地図は必ず持っていきます。
前の記事でも紹介した、樋口さん に教えてもらった「御在所岳イラストマップ」。
めちゃくちゃ分かりやすいんです!
ところどころ、危険な個所とかも示してあるし、分岐点などもとても見やすく描かれています。ビジュアルで見やすくなっているので、地図を読むのが苦手な女性にはとっても有難い!
これは必携ですね( `ー´)ノ
山麓の売店にも売っていますし、ネットで事前に買うこともできます↓↓
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今回は悲惨な目に合いましたが、これに懲りず、素晴らしい魅力がいっぱいの御在所岳に、イラストマップを持ってまた行こうと思います
(*´▽`*)
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