引き続き、岐阜県立看護大学の研究報告「イタリアにおける地域精神保健医療システム」より。
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4.トリエステ精神保健局と連携している事業体
1)社会協同組合
イタリアで1900年代に設立された労働者間の協同組合は、私的投機の目的を持たず、助け合いの性格を持つ共同主義の事業である7)が、障害者等の雇用には消極的であった。
しかし、1991年に精神障害者のリハビリテーション活動を推進するための社会協同組合が制度化された。社会協同組合には、デイケアや住居サービスなどの「社会保健サービスおよび訓練サービスを運営する」Aタイプと、「社会的弱者の就労を目的とする活動を展開する」Bタイプがある。
Bタイプでは、労働者である組合員のうち30%が社会的弱者(精神・身体・知的障害のほか、貧困者、移民、虐待を受けた子ども、元受刑者なども含まれる)でなければならない8),9)。組合員は総会での投票権を持ち、幹部は全組合員の投票で選ばれ、組合員の待遇は、障害の有無に依らず報酬も同等である。社会協同組合に対しては税優遇措置や、公共事業入札時の優先権など経済的なメリットがあるため、精神障害者も比較的雇用先を探しやすく、社会の一員と成ることが可能である。
障害者も一労働者として一般の労働者と対等に仕事をこなすからこそ、それ相応の報酬を受けることができるし、組合側が病状等に関与することはない。
トリエステでは、サン・ジョバンニ病院跡地にあるレストラン「野いちご」、ラジオ局と古着を使ったバッグなどを製作・販売する工房を併設した「ラ・コリーナ」(図3)、バルコラ精神保健センター近くの「ホテル・トリトーネ」を訪問した。レストランのランチは大変おいしくサービスが行き届いており、工房で作られている作品はどれもスタイリッシュであり、二つ星ホテルのバルコニーから海を眺めながら頂いた本場のカプチーノは格別であった。そこで働く人々の障害の有無による違いは全く分からない。

図3 社会協同組合 ラ・コリーナの作業場
<次回に続く>
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4.トリエステ精神保健局と連携している事業体
1)社会協同組合
イタリアで1900年代に設立された労働者間の協同組合は、私的投機の目的を持たず、助け合いの性格を持つ共同主義の事業である7)が、障害者等の雇用には消極的であった。
しかし、1991年に精神障害者のリハビリテーション活動を推進するための社会協同組合が制度化された。社会協同組合には、デイケアや住居サービスなどの「社会保健サービスおよび訓練サービスを運営する」Aタイプと、「社会的弱者の就労を目的とする活動を展開する」Bタイプがある。
Bタイプでは、労働者である組合員のうち30%が社会的弱者(精神・身体・知的障害のほか、貧困者、移民、虐待を受けた子ども、元受刑者なども含まれる)でなければならない8),9)。組合員は総会での投票権を持ち、幹部は全組合員の投票で選ばれ、組合員の待遇は、障害の有無に依らず報酬も同等である。社会協同組合に対しては税優遇措置や、公共事業入札時の優先権など経済的なメリットがあるため、精神障害者も比較的雇用先を探しやすく、社会の一員と成ることが可能である。
障害者も一労働者として一般の労働者と対等に仕事をこなすからこそ、それ相応の報酬を受けることができるし、組合側が病状等に関与することはない。
トリエステでは、サン・ジョバンニ病院跡地にあるレストラン「野いちご」、ラジオ局と古着を使ったバッグなどを製作・販売する工房を併設した「ラ・コリーナ」(図3)、バルコラ精神保健センター近くの「ホテル・トリトーネ」を訪問した。レストランのランチは大変おいしくサービスが行き届いており、工房で作られている作品はどれもスタイリッシュであり、二つ星ホテルのバルコニーから海を眺めながら頂いた本場のカプチーノは格別であった。そこで働く人々の障害の有無による違いは全く分からない。
図3 社会協同組合 ラ・コリーナの作業場
<次回に続く>
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