Oct AUG Sep
Previous capture 19 Next capture
2005 2008 2009
8 captures
29 Jul 2003 - 19 Aug 2008
About this capture
 
(2002.07)  第7号 1-2ページ掲載記事 ダイジェスト        

ダイジェスト
目次
 
 
 財政難から宮城県が「筒砂子ダム建設事業」を休止決定したことで、集中砲火を浴びている。地元住民や鳴瀬川総合開発促進期成同盟会、宮城県市長会・町村会がこぞって反発。事業の継続を要求している。
6月10日の県議会・建設企業委員会に出席した浅野史郎知事に対し、各議員から批判が続出。その模様はこんな具合である。
 
 
 
(文、前半略)
錦戸委員「金がないから休むということだが、国の方に県の財政事情がよくなったら補助をつけるとか、保証があるのか。それがなければ陳情者は心配になる。補助を休むということは、次は新規扱いだから、簡単にはいかないと思っている」
知事 「国から担保・保証を取りつけるということだが、今の段階で(国が)言うのは難しいだろう、担保はないだろうと、私どもは認識している。ただ、再開できる条件が整った際に、改めて国に対して新規事業として要望していくときに、補助の再開に努める姿勢でいくべきだと考えている」
錦戸委員
「ここで1年でも2年でも休み、担保が取れないのでは、国から県単独でやってくれと言われる心配があるんだ。だから休止しないで、これから事業規模・予算は小さくても継続していく手法を取れるかどうかだ。
 県は金がないから、あれもダメ、これもダメ。市町村と感情的な対立を起こす態度をとっている。県と市町村が仲良くやっていくような手法を選択する。これは急務だ。議会に対しても同じだ。懸案事項が出たら、決定する前に議会や委員会と話し合う。我々に話する気がないのかねぇ。
 あんたの方は銭がないと言ってりゃいいけど、こっちは銭がなくてもあれをやりたい、これをやりたいと、お願いする立場だ。そこをうまくやるには、議会と執行部が政策に関して、お互いが理解を求めていく作業が必要なんだ。それを知事にやってもらわないと困るんだなあ」
(中略)
村井嘉浩委員「国が一旦休止した補助事業を再開して補助事業になった例は、過去にない。国も事業の見直しをしており、ダム事業を休止するものが30くらいある。自治体がやりたい言っても、蹴られてしまう事例が現実にある。このことからすれば、この事業を再開したとしても、国の補助事業になるのは極めて難しいということだ。知事は国土交通省にいったいどの程度足を運んだのか」
知事 「私が直接行ったことはない。今後、条件が整った段階に再開し、その際、国の補助を受けるために改めて説明し、お願いしていく」
村井委員 「国土交通省に国の直轄事業としてやってほしいとお願いしたことがあるか」
知事 「国が直轄事業でやることは、極めて難しい、現実性がないと、私どもで判断した」
村井委員 「それは知事が勝手に判断しただけだ。私が聞いたところでは、国土交通省の担当課は『宮城県は何も相談にこない。浅野知事も何も言ってこない。他の県なら知事自ら来て、一生懸命頭を下げる。地元ではどうしても必要としている。何とかしてほしい。お知恵をお借りできないかと。ところが、お宅(宮城県)の知事はテレビに出てカッコいいことばかり仰っているけど、こういうことになると全然こない。我々国土交通省がこういう知恵があります、こういう方法がありますと、お宅の県に頭を下げて行けますか。まず、そちらの方から頭を下げて来るのが普通じゃないですか』と大変厳しいことを言っている。
 各都道府県の知事の中には、大臣や国会の議長をやったような知事もいる。そうした知事に比べて、浅野知事は若く人脈がない。行動するしかない。是非とも自分で足を運んで、頭を下げてお願いしてもらいたい」
知事 「皮肉でなく、大変いい話を伺った。誰がそう言っているのか。やってもらうようにお願いすることに躊躇はない」
土木部長 「国の概算要望において、なぜ県ができないのかと説明を求められている。また、県の財政状況と他の事業の抑制を含めて、筒砂子ダムをやらない理由を明確にしろと言われ、その説明は行なっている」
村井委員 「私が言っているのはそんなプロセスの問題ではない。知事のリーダーシップだ。この問題を重く受け止め、どう行動するかということだ。そのことを強く要望する」
知事 「(無言)」
(中略)
伊藤康志委員
 「県議会では私の質問に対して『今後の進め方については、関係者による協議の場やダム完成の遅れについての対応も含めて、利水・治水関係者の方々と充分に調整していく』『真摯に地域の方々の考えを聞いていく』『必要があれば、私が地元に出向く』云々と知事は発言している。
 これらの発言を聞くと、行政のトップ、政治家の発言がこんなにも軽く扱われていいのかと感じる。行政責任、民主主義の危機だ」
(中略)
 伊藤委員 「知事は地域の視点で、真摯に取り組むと言っているが、結果的には4階(知事室)や8階(土木部)で考えただけで、地域に入っての検討・議論ではない。地域と隔たりが絶対に縮まらないのはそのためだ。これだけ大規模な事業で時間が限られているということであれば、地元と国と共通認識をもつ努力を精力的に行なわなくてはならないはずだが、それをしていない。こうした手法・非民主的な手続きに、非常に危機感をもつ。こういう手法を取られたら、他の市町村も明日は我が身かと思うから、市長会、町村会が困るし、反省を促す、諌める意味で特別行動要請をしているんだ。
 (中略)
 委員会終了後の記者会見で、町村会会長の鹿野文永・鹿島台町長は「知事は事の重大さを認識していない」と、次のように批判した。
「筒砂子ダム事業は県だけでやっているのではない。国が補助しているということは、国民の税金を使っていることであり、知事はそのことを何と考えているのか。事業を中断するなら、国民に説明する責任がある。知事は行政責任を全うしていない。知事は地元には1度も来ていない。サッカーとかで歩いていて、何故こんな重大な問題に来ないのか」
 (中略)
 「知事は一般論でしか言っていない。これは行政責任者が言うことではない。国が『30億円を返還しろ』と言ってきたらどうするのか。『知事さんあのね』だけやっていろ。金がないなら地べたを這っても集めてこい。それが知事だろう。浅野知事は県政史上最低の知事だ!今度知事に会ったら、はっきりそう言う」
 (中略)
 6月18日の地元説明会に「知事が出席しろ」と地元では要求した。ところが知事は「まず土木部長が行くのが筋」として腰を上げず、結局説明会は中止された。事態の重大性・緊迫性からすれば、知事自ら地元に入る必要があったし、それによって地元との協調の糸口を見いだせる機会でもあったはずだが、小さなメンツのためにチャンスを失い、地元の感情に油を注ぐ結果になった。このことなども行政責任者としての責任を全うしていないし、リーダーシップがないことの現れだろう。
 (中略)
 知事がもはやパフォーマンスで躱せないところにまで追い詰められていることだけは間違いないだろう。
 
 
2002 7月 通巻第7号 1-2ページ  ダイジェスト