ロイヤルダッチシェル(RDSB)の事業内容と歴史
ロイヤルダッチシェルはエクソン(XOM)に次ぐ世界2位の生産量を誇る民間石油エネルギー企業です。民間、というのはサウジアラムコ(サウジアラビア)などは国営だからです。規模で言えばサウジアラムコが圧倒的世界一です。
ロイヤルダッチシェルは探鉱、生産、輸送、精製、販売を全て行っています。いわゆる川上から川下までですね。
かつて世界の石油市場を寡占していたセブンシスターズのうちの一社です。
そのセブンシスターズもオイルショックを経て、エクソン(XOM)、ロイヤルダッチシェル(RDSB)、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)、シェブロン(CVX)に集約されました。ロイヤルダッチシェルの社章はホタテ貝です。
その名の通り、ロイヤルダッチ社とシェル社の合併で今の企業体ができました。
シェル社は創業者が日本の三浦海岸でみつけた貝殻が美しく、それを輸入販売したことが事業の始まりだからとか、出資者の家紋がホタテだからとか言われています。いずれにせよ、日本の横浜・関内で事業を行っていたことは間違いないところです。
最初は貝殻加工販売から始まり、のちに石油事業に進出しました。
ロイヤルダッチ社は蘭領東インド、つまりインドネシアでの石油事業が祖業です。東インド会社が華やかだったころですね。この両社の提携の歴史は100年以上前からです。そして、この時代からスタンダード石油がライバルで、ロイヤルダッチとシェルの合併はスタンダード石油へ対抗するためだったとも言えます。
このような歴史から、RDSAとRDSBがあります。
Aがロイヤルダッチの流れを汲みます。オランダ株扱いなので源泉徴収税15%があります。こっちを買うと税金がややこしいです。
Bはシェルの流れを汲みます。英国株扱いなので源泉徴収税がありません。日本の証券会社で買うならば当然RDSBが良いです。
ロイヤルダッチシェル(RDSB)のチャートと配当
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2006年5月 株価69ドル 配当0.63ドル
2016年5月 株価51ドル 配当0.94ドル
2017年5月 株価56ドル 配当0.94ドル
原油安の中、株価は40ドル近辺まで下がる場面がありました。しかし、配当は維持しています。減配リスクがあると言われていても頑張っています。2014年には原油高で80ドルを超えていました。その後原油安に伴い株価は急落しています。
ただ、投資妙味という意味ではこの急落は、逆張り投資の食指を動かしたくなるチャートでして、ついつい下がったときに買ってしまいました。思惑通りに反発はしましたが、構造不況業種になりつつありますね。
長期のキャピタルゲインを狙うような銘柄ではありません。ロイヤルダッチシェルの各種アナウンスやホームページの作りからは株主を大切にしていこうという思いが見えます。過去の配当記録もホームページから確認できます。
ちなみに株価が下がったときの配当利回りは驚きの7.3%。税引で5.8%です。すごいですね。これに引かれて私は暴落の最中2000ドルだけ買ってしまいました。現在は6.5%ほどです。それでも高配当です。
その後買い足して、今はおよそ9000ドルほど投資をしています。原油安は先が見えませんが、やけどを負わない程度に買いました。もちろん業績が厳しいのは他の石油会社同様で、それに伴う減配リスクはありますが、株主重視のホームページの作りと確かな配当に好感が持てます。
ロイヤルダッチシェル(RDSB)基本データ
ティッカー:RDSBとRDSA(日本から買うならRDSBが税制上よい)
本社:イギリスとオランダ・ハーグ
来季予想PER:16.8
PBR:1.21倍
ROE:2.61%
ROA:1.27%
EPS:3.1ドル
配当:年間3.76ドル。3,6,9,12月に配当。
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場(ADR)
PERはとりあえず16.8倍ですが、ぶれが大きいです。さらなる原油安になれば大きくなる、あるいは赤字になるのかもしれません。ちなみに同じ欧州系原油資本であるBPはPERが280倍にもなっています。
2015年にBPは赤字でしたから、赤字にならないロイヤルダッチシェルはそれだけ利益体質としては悪くないと言えそうです。この数字だけ見ると買える水準ではありませんが、そこを逆に将来的な割安としてとらえるかどうかで投資行動が変わってきそうです。
ロイヤルダッチシェル(RDSB)の配当性向
いびつな配当性向は注目されてよいと思います。
原油価格が高値にあった2014年までは配当性向も100%以内に収まっていました。しかし、原油安になってからはたちまち配当性向が700%超えの水準まで上がっています。この数字はなかなか見られないですね。
持ち直しつつあるものの、依然高い水準です。数年続くようならば減配も見えてくるでしょう。原油安になると同時にバフェット先生がエクソンを売り払ったことが思い出されます。
ロイヤルダッチシェル(RDSB)のBPSとEPS
一株当たりの資本と利益です。EPSが地を這っております。ロイヤルダッチシェル、ピンチです。しかし、マイナスにならないのは逆にさすがというべきでしょうか。
BPSはそれに対して横ばい、新規の買収などを抑えつつ、どうにか凌いでいる様子が伝わってきます。
ロイヤルダッチシェル(RDSB)の売り上げと利益
ポートフォリオに資源セクターを入れておくことは賛成なのですが、やはり市況ものと言いましょうか、商品市場の影響をもろに受ける銘柄であることは間違いないですね。
この売り上げのガチャガチャをどう考えるかですね。私は高配当好きですが、あわよくばキャピタルゲインもと考えるとコア銘柄にはしにくいですね。ただ、逆張りという意味ではサテライト的にポートフォリオに加えるのは悪くないと思います。
ただ、こういう銘柄は過度な期待は禁物ですね。
ロイヤルダッチシェル(RDSB)のキャッシュフロー
もうあらかた予想がつくのではないでしょうか。重厚長大、石油産業というのは採掘から精製まで、プラントに莫大な設備投資が必要です。そのため、どうしても投資キャッシュフローは大きくなりがちです。
フリーキャッシュフローはリーマンショックのあおりをうけた2009年と原油安の2016年にマイナスに転じています。2017年はわずかにプラスに転じる見込みですが、決算に注目です。
イギリス国営ガスにルーツを持つ大手天然ガス会社BGを500億ドルで買収したのが2015年ですが、今後この積極買収がどうなるのか。
こういったことが高配当の維持に繋がりますので、見極めたいところです。
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スタンダード石油と言った時代からのライバル、エクソンモービル(XOM)の記事です。セブンシスターズ時代と違い、原油生産国の国営企業の躍進が確認できる石油生産高ランキングも掲載しています。
高配当で有名なシェブロン(CVX)です。シェブロンも連続増配、高配当で有名な企業ですが、しんどいですね。
米国石油会社で独立系のコノコフィリップス(COP)です。ここは他の垂直統合の石油資本と違い、フィリップス66として川下部門を分社化しました。川下部門は原油安と逆相関の業績になります。